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発展女装

ニューハーフヘルスで一通りの体験を済ませた私は、ウチに帰ってから撮った動画を見返した。

「う〜ん、やっぱり付けまつ毛とウィッグで印象がかわるんだな…」

この先も女装したいが、その度に風俗を利用する資金もないので、自分で道具等は購入しようと決めた。

NH嬢さんに教えて貰った通りに…
とはいかないが、自分なりにメイク用品を揃えてみる。

ほとんどが量販店で買えるプチプラ商品だが、一通り揃えると中々の金額になる。

「女って結構大変なんだな…」

ウィッグはドンキなどでも買えるが、安っぽい感じがしたのでネットで買うことにした。

「このショートカットみたいなのが可愛いかな?いや、ロングで茶髪っぽい方が似合うかな…」

今までこんな物を検索して悩んだ事などないから、妙に新鮮で楽しい。
実際に試し被り出来ればいいけど、ネット注文だとそうはいかない。
一つ一つジックリ見て会心の一品を探る。

「よし、これにするか…(ポチッ)」

このウィッグが届くまで毎日メイクの練習をしよう。
少しでも、女装子になれるように…
そして日々、「ナオコ」の質を上げてTwitter(X)の中の人達の仲間になれるように頑張ってみよう。

新しい扉を開くんだ。
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〜数日後〜

ウィッグが届いた。

被ってみた。

オス感が丸出しだった。

「やっぱり、そう簡単にはいかないよな…」

頭に描いたナオコのイメージには程遠い私。
ちょっと道具買って身に付けたくらいでは、女装子は仕上がらないと思い知る。

元の良し悪しも多分にあるが、もう少しは見れるようにしたい。

「誰かにアドバイスしてもらいたいな…」

出来れば熟練の女装子さんに教えてもらいたいと考える。
いきなり初対面の未熟者に優しく手ほどきしてくれるような方がいるなんて思ってないが、下手に出てゴマすれば上手いことメイクのコツなんかを聞き出せるんじゃないかと思ったりした。

「行ってみるか…」

私はかねてより気になっていた場所に出向く覚悟を決めた。
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ただの映画館

まだ明るい時間帯。
割とキレイな感じのムービーシアターには、私の先輩達が訪れるという情報があった。

館内入口には二つの入口があり、赤と青に分けられていた。
青い方は500円で映画が見れるらしい。
安さにつられ青い方に行こうとも考えたが、何か言いしれぬ妖気を感じ、一般的な客層が入る赤い入口へと入館した。

「あ…なんだか懐かしい感じだな〜」
子供の頃に近所にあった映画館を思い出す。
キレイな造りだが、どこかノルタルジックな雰囲気が漂うロビーは、受付の人の制服など見ても古き良き昭和の香りがした。

券売機でチケットを購入する。
一階のみの利用と、二階にも行ける割高なチケットがある。

「せっかくだし二階に行こうかな…」

私は女装さんが多いと言われる二階席のチケットを選び、階段を上がってトイレに向かった。

〜女装準備中〜


「よし、出来た…」

まだ、自分の容姿に自信はないが、ここは映画館。
上映中の館内に入ってしまえば、辺りは一面暗くて私の顔の化粧など分からないだろう。

「とりあえず行ってみるか…」

私はウィッグを目深に被り、口元はマスクで隠しトイレから出た。

シアタールームの扉の前に、数人のお爺さんが井戸端会議をしてらっしゃる。

皆さん、こっちを見ているので軽く会釈をして扉から館内に入る。

「お〜…スゴイ…」

スゴイ猥褻なシーンがスクリーンに映し出されていた。
普段はPCモニターかスマホでエロ動画を見ているので、こんなにも大画面で猥褻動画を見ると迫力に感動してしまう。

「そんなことより、女装さんは…」

いたるところに人の気配はするのだが、なにぶん暗すぎて分からない。
あまり近づいたりして覗き込むようになっても失礼なので、とりあえず中程の席に座ってみることにした。

席に座っておとなしく映画を見ていると、周りから何かが動く音がしてきた。

(ガサガサ…ガサガサ…)

なんだ?
デカい虫か?

私は産まれが田舎の方なので、虫には免疫がある。
むしろ、昆虫などは好きな方だ。

夏は山にカブト虫やクワガタを採りに行ったっけなぁ〜
セミとかカミキリムシなんて、捕まえなくても勝手に窓にへばりついてて…

ウチの爺ちゃんなんかコオロギとかバッタを素揚げして美味そうに食ってたな〜
「ほらっ、お前も食え!」って、口の中に無理矢理入れられたし…

そんな物思いにふけっていると、脚になにやら蠢く感触があった。

「ん…?なんだ?」

私は脚に纏わりつく物を手で払い、隣を見ると、あの夏の日の爺ちゃんが現れた。

「えっ?!爺ちゃん!!?」

爺ちゃんはビクッ!っとして後退り、後ろの方へと逃げて行った。

「あ…違う人か…」

そりゃそうだ、私の爺ちゃんが今ココにいるはずない。

しかし…
なんということだろう

私の周りには沢山の虫…
いや、沢山の爺ちゃんが群れをなして私を取り囲んでいた。

近づいてくる爺ちゃん達の鼻息は荒く、目は心なしか血走っているように見えた。

「えっ…皆さん大丈夫ですか? 顔色が少し悪いようですが…もしや、お薬の時間では?血圧等お気をつけて下さいませ。」

という、私の心配をよそに無言でにじり寄ってくる爺ちゃん達。

「ちょっと、私は看護師じゃありませんのよ。皆さん、どうか気を確かに…」

一人…また一人と私の真横にピタッと身体をくっつけ、右から左から身体に触れてくる。

「やだっ…ちょっと、何をするんですの〜」

大勢の年配男性に囲まれ、いたるところから身体を触られる。
まるで、ゾンビに襲われているようだ。

ウォーキングデッドみたいに、刃物や銃でも持っていれば対応出来ただろうが、今日の私はほぼ丸出しの丸腰だ。

今日の衣装
後ろ
腿毛も未処理

ゾンビ達は容赦なく、私の胸やら股間やらを弄ってくる。

「あら〜いや〜よしておくんなまし〜」

口に何かを入れてこようとする。

「コオロギはやめておくんなまし〜」

背後のゾンビが勝手にTバックをずらし、指を穴に突っ込んできた。

「い゛た゛っ!!?」

潤滑剤もなしに肛門に異物をねじ込まれたので、痛さと驚きで私の身体は跳ね上がった。

その勢いで、被っていたズラが後ろに吹っ飛んでしまい、私は無惨な首下女装のような状態になってしまった。

「………スマネェ」ゾンビ

私の周りを囲んでいたゾンビ爺ちゃん達は、なぜか皆すまなそうな顔して側から離れていった。

私はわけが分からず呆気にとられていると、一人のオジサン紳士が私のズラを持って謝ってきた。

「お嬢さん…怖かったでしょう。あの人達が申し訳ないことをしたね。僕から謝罪させてもらうよ、スミマセンでした。」

私は丁寧な謝罪に恐縮してしまった。

「いえいえ…こちらこそ、勝手がわからずにこんな格好で来てしまったので…」

するとオジサン紳士は目をギンギンに見開いてこう言った、
「いや〜女装って本当に良いものですよね〜!」

「あはは…オジ様も女装さんが好きなんでございますか?」

「はい!映画と女装さんをこよなく愛しております。」

「あら、そうですの?実は私、今日はココに女装さんとお話しがしたくて来館したのでございますのよ」

「そうでしたか〜ですが、今日いらしている女装さんは貴女以外に二人いらっしゃいますが、ハッテンの真っ最中でして…」

「あの前の方の席の人集りと、右奥の方の人集りがそうですか?」

「はい、きっと上映が終わるまでお話しするのは難しいかも知れませんね…」

「なるほど…では、また日を改めてお伺いいたしますわ」

「お役に立てずにチ◯コばかり勃てて申し訳御座いませんでした…」

「はじめての経験でしたので少しビックリしましたけど、性の対象として見られた事が嬉しかったですわ」

「今度は貴女も楽しんでいただけるように願っております。またの御来館を心よりお待ちしております…」

「はい、ではまた…」

私は館内を出てトイレで着替えた。

「ふぅ…」
なぜか、どっと疲れた気がする。
少々、私にはハードルが高かったようだ。

男性服に着替え個室から出る。
すると、洗面台の前で自撮りをしている女性が目に入った。

ハッ?!と思い、一瞬慌てて身を隠そうとしてしまう。

色気漂う後ろ姿
ハイセンスなワンピースドレス
濃いめのメイクでハッキリした顔立ち
この人スゴイ!

いや待て…
ここは男子トイレだ。

もしや彼女は…と思い、恐る恐る近づいてみる。

すると、
「あら、ごめんなさ〜い。お邪魔だったかしら〜」
艶っぽい声で話かけてくれた。

A級女装子

私は思わず、
「本当の女性かと思ってしまいました…こちらこそ撮影の邪魔してごめんなさい」

「あら、嬉しい。いいのよ、気にしないで」

私は勇気を出して彼女に聞いてみた。

「あの…」

「ん、なに?」

「どうしたら、そんなに綺麗になれるんですか?」

すると、彼女は笑って、
「たくさん男に抱かれることかな…」
そう言ってトイレから出ていった。

男子トイレには彼女の香水の甘い匂いが漂っていた。


階段を降り、ロビーから出口に向う。
受付の熟年紳士が挨拶をしてくれる。

「またね…」

素敵な女装さんの一言を心にとめ、私は映画館を後にした。
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私は思い悩んだ。
男に抱かれる…
そんなこと出来るのだろうか?

私の…
いや、俺の性対象はいまだ女性だ。

まかり間違っても、男性と肌を触れ合ったりキスしたりなんてこと出来る気がしない。

そりゃ、こないだ元男性でチ◯コも付いてる方と色んなことして、アッチの扉開きかけたけど…

もろに男の人と行為をするとなると、臆してしまう。
というか、きっと興奮しない。

たまに男同士で抱かれるなら誰なら良い?
とか、馬鹿な仮想ゲイ話なんてするが、芸能人やスポーツ選手を想像しても、なかなか難しい。

唯一いいかもと思える人は…

大谷翔平

くらいかもな〜
でも、彼は日本中の老若男女から愛されてるから私なんか相手にされるわけないし…

結婚するみたいだし…

おめでとうございます✨

世の中の全ての男性が大谷君みたいで、
この世の全ての女性が「中条あやみ」なら嫉妬とか争いとか生まれなかったのにな。

完全に個人的な意見ですがね。

浜辺美波ちゃんも人気スゴイよね。
千年に一度の橋本環奈と仲良いみたいだし…

誰もが大谷翔平になりたくても、誰もがゆりあんレトリバーになりたくても、あんなふうにはなれないんだよ。

でもさ、
はぁ〜…キレイになりたい
もぉ〜…可愛くなりたい

あそこ、行ってみるか…

次の場所へ。。


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