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夜のローズハウス(女装編)

発展公園を後にし、せっかく女装したのだからローズに行こうということになり、友達の「ヨネ」ちゃんに車を出してもらった。

〜酒々井に向かう道中〜

「それにしても、さっきは怖かったね」ヨネ
「うん…やっぱり体目当てで来るよね」ウメ
「まぁ〜気持ちはわかるけど、ちゃんと順序ふむというか、挨拶くらいはしてほしいよね」ヨネ
「いきなりアレ出されてもね…笑」ウメ
「ローズなら室内だし、スタッフさんもいるから安心でしょ」ヨネ
「そうだね。男としては何度か行ったことあるし」ウメ
「女装デビューだね!」ヨネ
「男性料金で取られたりして!笑」ウメ
「僕がメイク指導したんだから〜それはない!笑」ヨネ

車中で女装っぽい会話をしながら、私は内心ドキドキしていた。
少しでも女っぽく見えるかな…
誰にも相手にしてもらえなかったら、どうしよう…
逆にAFとか御口とか要求されて、拒んだら嫌な顔されないかな…
友達のヨネちゃんに気を使わせても悪いし…

「どうしたの?」ヨネ
「ん?なんでもないよ」ウメ
「また変な人来たら、僕がやっつけてあげるからね!」ヨネ
「大丈夫だよ〜笑」ウメ
「これでも合気道やってたんだから〜」ヨネ
「えっ!そうなの?」ウメ
「さっきは二人がかりで抑えられちゃったから難しかったけど…」ヨネ
「ふふっ…ありがとう」ウメ

名前が「ウメ」と「ヨネ」だから、おばあちゃん二人の会話みたいだが、ヨネちゃんは全然若い。
地雷系メイクがお似合いの「男の娘」です。

〜酒々井駅前駐車場〜

「じゃあ、行こうか」ヨネ
「うん…行こう」ウメ

店まで大した距離じゃないのに足がすくむ。

大丈夫?
大丈夫!
こうなりたいって自分で決めたんだから。
変わりたいんでしょ!
いざとなったら後ろに「俺」がいるから、楽しんでおいで。
さぁ、ドアを開けて。

「いらっしゃいませ~」絶世の美女店員さん
「こんばんは~」ヨネ
「こんばんは…」ウメ
「はい、じゃあ御一人1500円ずつになりますね」絶対的美女さん

(女装子料金だ!良かった〜)

料金を払い鍵を受け取る。
ロッカーに荷物を入れて、鍵をしめる。

「僕ちょっとお手洗い行ってくるね」ヨネ
「うん、大部屋で待ってる」ウメ

大部屋に入ると、数人がソファーに座っていたので、入口付近に腰をかけた。
すると……

「ねぇ!今来たの?」酔っ払い
「あっ…はい。」ウメ
「へぇ〜俺としようよ〜」ヨッパライ
「今、友達待ってるから…」ウメ
「いいじゃん、上行こうぜ」ヨッパ
「ん〜…でも…」ウメ
「服脱いじゃえよ!」ヨッパ
お酒臭い若い男は私が着ていたカーディガンを無理矢理脱がせ、ふざけて自分で着始めた。

「どう?似合う?笑」酒男
「…ちょっと…やめて」ウメ
「ほら、俺と来ないと返さないよ〜」酒男
「借り物なんです…」ウメ
「なら、尚更とりかえさないと〜笑」酒男

「どうしたんですか?」ヨネ
「おっ!可愛い娘キター!」酒男
「ちょっと立ってもらえます?」ヨネ
「え〜勃たせてくれるの〜笑」酒男

ヨネちゃんは男が立った瞬間、背後に周り腰を押さえカーディガンをスッと剥ぎ取った。
まさに、一瞬の出来事。

「ウメちゃん、上行こ」ヨネ
「うん。」ウメ
「はぁ?なんだよ〜」酒男

足早に階段を登り、空いてる部屋に入る。

「平気?」ヨネ
「また、ゴメンネ…」ウメ
「僕が連れてきちゃったせいだよね…」ヨネ
「ううん、違うよ」ウメ
「少しココに居ようね」ヨネ
「………ちょっとトイレ行ってくる」ウメ
「うん…待ってるね」ヨネ

 

トイレに駆け込んだ途端に、涙が出てきた。情けなくて一人で泣いた。
歳下のヨネちゃんの前で泣いたら、恥ずかしいし余計に心配させると思ったからトイレで落ち着くまで一人でいた。

なんでこんな目にあわなきゃいけないの?
一生懸命頑張って準備して来たのに。
あんな若い男にナメられて、ぞんざいに扱われて…
レベルが低いのはわかってるよ、歳くってるのも自分が一番よくわかってる。
でもさ……

悔しい

可愛いとかキレイとか
言って欲しいわけじゃないよ

人として見て欲しいだけだよ

奴隷とか性人形じゃないもん

クソっ

こんなんで帰れるかよ

冗談じゃない!

頭にきた

おいで、本当の「私」

覚醒しなさい

貴女は真正のS女装

男と見ればムチを打ち
それを快感とする
正真正銘のサド

また新たに産まれた新生「S女装ウメ」は、化粧台の鏡を見ながらブラウスのボタンを1つ外す。
涙でぼやけたアイメイクを指で直し、スカートの丈を腰まで上げる。

さて、気合入れて行こうか

マスクの下の悪魔の笑みを隠しながら…

(コンコン)
「ウメちゃん…大丈夫?」ヨネ
「うん、もう平気」ウメ
「もう帰ろうか?」ヨネ
「何いってるの〜?コレからでしょ!」ウメ
「は〜元気になったみたいで良かった」ヨネ
「ゴメンね、ヨネちゃんは普通に遊んでていいからね」ウメ
「え…ウメちゃんは?」ヨネ
「さっきの男の子と遊んでくる」ウメ
「…本当に?」ヨネ

続く






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