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映画「アナログ」

北野武(ビートたけし)さんというのは、本当に不思議な人だ。
多彩な人は沢山いるが、この人は全く異種な才を沢山持っている。
この映画を大きく(勝手に)3つにわけて観てしまった。
ひとつ目は、ほの酸っぱい恋模様。でも主人公の設定は40歳なので若い人たちのそれとは違う。
トキメキは幾つになっても相手次第でこのようなことになるというエピソード。
ふたつ目は、親子にしかわからない愛情。主人公・二宮和也さんの母親役は高橋恵子さん。出演場面は、決して多くはなかったが、その演技は演じるというよりも普通にいる母親という感じであった。
そして、みっつ目は愛の無情さと奇跡のエピソード。
波瑠さんの姉役の板谷由夏さんも自然な演技に感動しました。
そして、脇を固めた桐谷健太と浜野謙太、何よりも秀逸なのはカフェ・ピアノのマスター役、リリーフランキーの静かな演技が全編を通しての静けさを醸し出す。これだけしっかりした役者に囲まれ、さぞかし二宮さんと波瑠さんはかなりプレッシャーを感じたのではなかろうか。
心なしか観客は若い時からの二宮さんのファンだった女性客が多い。
後半、啜り泣く音が聞こえる。
高橋さんが、「人にはそれぞれの愛のカタチがあってもいいのよ」みたいなことを息子に諭し、去りゆく親として子どもにできることは、「幸せになるのよ」とエールを送ることだけしかない。そして、指切りをする。
その関係性を見ていて、親友に母が死んだ時に、「お前の親父が死んでから、お前たち親子を見ていて、親子というよりも同志になった感じがして羨ましかったよ」と言われたことを思い出した。

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