ドリーム燃料は本物なのか?

さて、YouTubeで拡散されているドリーム燃料。
彼らの話を動画を見ている限りでは、燃料として使えているような説明ではありました。
インタビュアーのさとうみつろうさんも必死に拡散を促しており、日本に資源がないという根本的な問題を解決できると期待しているのでしょう。

私自身も「現実に燃料として使えている」というのであれば、それはそれでいい話だと思います。

なぜか?
以前からも植物性由来のエコ燃料などは市場に出回った時期もありましたが、全部潰されました。
20年以上前の話ですが、実際に自身の自動車に入れて走っていたので全く問題ない燃料だと思います。
しかし、それでも潰されるのです。

そんな利権まみれで国益を無視した政策はいい加減にしてほしいものです。

科学者の武田邦彦氏はこの手の専門家です。
そんなドリーム燃料についての評価をメッタ斬りしていたので、とてもショックを受けました。

以下、武田邦彦氏の話を書き出しておきます。

【公式】水と空気から石油がつくれるというドリーム燃料が話題ですが、武田先生はどう思いますか?
(2023/11/18)




概要

地球と二酸化炭素と作物


地球ができたときに水と二酸化炭素は空気中に95%(現在0.04%)もあった。太陽の光の3つを使って石油を作ったのが生物の身体。
(つまり、生命体の死骸が石油の元)

二酸化炭素(CO2)は炭素のCは使えるが酸素(O2)は使えない。
だから炭素だけを抜く。

稲はなぜできるか。
空気中のCO2から炭素(C)だけを抜いて米粒にしている。
人間は炭素しか食べられないので米粒を食べる。
稲は酸素(O2)を捨てている。(空気中に残る)

地球ができたときに酸素はなかったが、生物の活動で空気中の酸素が増えた。
その代わりに二酸化炭素が減った。

※ 二酸化炭素(CO2)は地球誕生時の95%から0.04%に減り、食料の作物が出来にくい状態にある。

この表現を今中教授は話をしていない。

ドリーム燃料は普通の生物活動


水とCO2から石油が出来るというのはドリームではなく、通常の生物活動である。

もちろん、人間も現在の価格で石油はいくらでも作れる。

ただし、通常は水とCO2から石油を作ると、どんなに頑張っても石油を作ると石油から得られるエネルギーの5倍以上はかかることが証明されている。
したがって、1kcalの熱を得るために5kcalの石油を使うことなるので、だったら最初から石油を燃やせばいいじゃないかってことで誰もやらない。

高等学校の理科


こういう話は、高等学校の理科を勉強していれば絶対に出てこない。

科学者はよく知っている。
水とCO2で石油が出来るのは生物の光合成反応であるからよく学んでいる。

ところが、普通は5倍以上のエネルギーが必要なのに、今中教授の開発されたものが1倍以下のエネルギーで作れているのか。
(石油のエネルギーよりも小さいエネルギーで作れないと意味がない(実用化は不可))
それが可能だという原理を聞かないといけない。

今中教授のチームの説明


今中教授はいろんな会社がありますが、この仕組みについての解説が1回もない。
エネルギーとして成立するのか不明である。

石油が作られる原理は大昔から分かっている。
皆さんが光合成反応として習ったことがそのままですから。

太陽光はタダ?


太陽光のエネルギーを受けるにはタダでは出来ない。
いろんな機材と装置が必要で、太陽光発電はタダでは出来ない。

石油を燃やすよりも高くなっているのが今の太陽光発電。
装置がなくてもエネルギーを得られるというものがないといけない。

※ この手の話は下記投稿で紹介しました。


石油よりも高効率であることの説明責任


石油に勝るには、元来から5倍以上の石油エネルギーが必要と言われていることを打破し、それが解消されたのであればそのメカニズムを言わないといけない。

詐欺の手段とは


「本来こういうものですが、違う方法で出来た」ということを言わないといけないが、そのときに一番人を騙すのが触媒。

触媒というのは、エネルギーを転換するものではありません。
触媒は化学反応を早めることは出来る。
エネルギーの転換は出来ない。

今中教授の場合は、特殊な触媒を使っていると言っていますが科学的な説明としては嘘です。

なぜこれがドリームなのか?
水とCO2から石油が出来てはいけないのか?
今の石油が水と空気(CO2)から出来るのは元々が当然のことである。

この話で何の知識が不足しているのでしょうか?

京都大学の教授であろうが道路工事の人であろうが、科学というのは言っている内容で正しさが決まります。


感想

全く、日本人というのは科学に疎い。
武田先生の知識というのは本物であると確信しているので間違いはないであろう。

そして、一般人はそういった科学的なことを聞いたり見たりしたことを鵜呑みにする。
しかし、鵜呑みにするしかないのです。
頭がいい人、勉強が出来る人はその世界に通じる知識を限られた時間の中で取得できます。
私のように頭が悪い人、回転が遅い人は膨大な時間が必要です。
だから諦める。知識がない。

武田先生のお話はよく理解できました。

しかし、今中教授の話が詐欺なのかどうか、ここで確定するものではありません。
それは、武田先生が解説した話は原理であって今中教授が説明し切れていないことを指摘しているだけからです。

つまるところ、今中教授の話が原理的に正しくても、石油エネルギーよりも効率がよくないと意味がないというお話でしたね?
今中教授の話を聞いて納得していた人たちは、水と空気中の二酸化炭素が化学反応して石油が出来ると聞かされた。
そして、その装置には元となる石油だけでよく、水をくみ上げるポンプさえあれば時間と共に自然に増えるというものです。
全くもって無尽蔵にエネルギーが作られるじゃないかというのが「ドリーム」だった。

これについては、また今中教授の話を切り出して投稿したいと思います。

「ドリーム」というのは科学者が否定したとしても、原油を買わなくても作れる、あるいはその原油価格よりも安く作れるということであれば、「ドリーム」として一般人に語ってもいいと思います。

例えば、脱炭素エネルギーとしてジェット燃料を世界で開発途中にあります。
日本もユーグレナが知られた企業ですが、2025年にはその原料となるミドリムシの大量培養施設ができるという段階に来ました。

現状、軽油に混ぜて利用する燃料として実証実験を行い、現実にトラックやバスが道路を走っています。
ゆくゆくはジェット燃料としても使われる。
しかし、単価が少し高い。ですから大量に培養して家庭の油も回収し利用するという試みをしています。

水素燃料も同じ。
石油に変わるエネルギー源として開発されていますが、コストがやたらと高い。
だから市場には出回れない。

結局はコストの問題です。

つまるところ、ドリーム燃料の原理が胡散臭いとかいうよりも、燃料として利用できたなら、それはコストとの兼ね合いであり日本に十分な原油が採掘できたのであれば見向きもされない話でしょう。
しかし、仮にエネルギーを海外に依存しなくて済むというのであれば、間違いなく「ドリーム」だと思います。


石油価格は需要と供給で決まります。
コロナショックの時、石油は暴落しました。
世界経済が一気に冷え込むと「投資家が思った」からです。
その直後、原油価格は回復しロシアウクライナ戦争が始まるまで価格上昇は続きました。


日本の食糧自給率がこれだけ低くてもやっていけているのは海外から輸入しているからです。
しかし、国を守るためには海外から輸入すれば良いという単純な話ではないのがエネルギーと食料です。

アフリカで安くカカオが採れるから、日本でカカオは生産しない。
安いのは、グローバリストが現地人に過酷な労働を強いて実現させているからでしょう。
彼らに平等な利益をもたらせば、カカオの価格高騰は必死ではないですか。

この話も同じだと思います。
そこが肝ではないか。
武田先生の話を聞いて、否定するのではなく「石油を安く作れたというのであれば使ってみれば良いのでは?」と一般国民としてはそう思います。
EV電池やレアメタルの海底資源のために何十兆円も使うより、よほど安く検証できるはず。

一般国民からすれば、やってみて「ガソリン入れている方が安いね」となるのか、「ガソリンより安い!」となるのか、それだけの話ではないでしょうか?

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