未だ視ないあの感じ

今日、アレを体験した。

そう、いわゆるアレである。

昼食を摂った一時間ほど後の話だろうか。

いつものアレが、いつの間にか更新されていた。

一日一回とまでは行かないが、二、三日に一回は確認していたのに、気づかなかった。

変だなと思いながら、経理の女性に訊いてみた。

「これ、なんか新しくなってるんですけど、いつからですか?」

「私が見た限りでは、前と同じですが……?具体的に、どこが変わりましたか?」

何を言ってるんだろう。どう見ても全然違うのに。

「いや、この真ん中より下の部分なんか、全く見覚えないんですけど」

「私の記憶が正しければ、最後に大幅に更新されたのは、二年程前ですね。その後はずっと同じのはずです」

そんな馬鹿な、と言いたかった。僕はこれを、少なくとも五十回以上は見ているはずだ。それを間違って覚えているなんてことが、有り得るだろうか。

でも、僕が入社してから、まだ一年経っていない。つまり、変わることなどありえないのだ。

僕の記憶だけが変わり、世界はそのまま。

確かに、そう結論づけることが妥当だ。

エイリアンにアブダクションされて、脳を弄くり回されたか?

というのは冗談として。

この状況を説明する方法が、一つある。

噂には聞いていたが、これがそうか、と思った。

逆のパターンはよくあるけれど、こっちは初めてだ。

宝くじに当たるくらいの幸運かもしれない。

そう。

これが名高い、所謂アレである。

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