最近の記事

冬の日

例えば石畳がブーツで規則正しいリズムを刻まれる時、  その音を鳴らすのは真っ黒で大きなコートを着ている男だ。  ハンチングハットをかぶっていた。  走っても追いつけない。  いつも一定の距離を保ったままである。   何年かして、  少し近づいているのが分かった。  音が少し近くなったのだ。  男のブーツのソールが磨り減っているのがみえた。    また何年か過ぎた時、  男に影が無いことを知った。  この場所は次第に冬が近づいてきている。  街路樹の葉の色は薄く茶色い。  私の