コーヒーたいむ
お湯を沸かす。蒸気がキッチンに充満する。それだけでもう気分はだだ下がり。暑い。仕方がない。目的のためだ。ドリッパーをセットする。ペーパーフィルターを乗せ粉を入れ、ぽっとの上に。お湯がじゃんじゃん沸いている。ぽこぽこぽこ。もくもくもく。汗が流れ落ちる。タオルで拭って、さあドリップ。最初のお湯が落ち切ったら粉をふやかし30秒。あとはじっくりとお湯を注ぐ。落ち切ることのないようお湯を差しお湯を差し粉を泳がすような気持ちで慎重に。よし、フィルターにまんべんなく粉が散っている。最高の出来上がりだ。ホットならここで完成なのだけど、今回の指令はアイス。ポットからペットボトルに移し替えて、流水で冷やす。クルクル回しながら、粗熱を取り、十分に冷えたなら、冷蔵庫で2時間。キンキンに冷やしてー
「ていう、膨大な手間、暇、時間と気力を費やしたアイスコーヒーなので、心して飲むように!一気飲みなんてもってのほか、味わえよ」
「いや、炎天下に2時間並んだんだ。乾きを察してくれ。」
「なんで、そんなことしたのさ」
「お前が欲しがったからだろ、ほら、ご所望の限定パン。良いコーヒー豆が手に入ったから一緒に食べたいと言っていただろう。」
「…アイスコーヒー用じゃないよ」
「べつにかまわん」
「それは、良い豆じゃなくてもアイスコーヒーがいいってこと?それともアイスじゃなくても良いから良い豆を使ってホットコーヒーにしようってこと?」
「その3、良い豆を使ってアイスコーヒーを作り直すという選択肢もあるぞ。俺は、どれでも良い、決定権はお前にやる」
「なんだよ、、もう、つまり、涼みたいんだな。」
「コーヒー冷えるまでで良い。ま、その前に一杯がぶ飲みさせてくれ。」
「…仕方ないね、美味しいパンには最高のコーヒーが合うからね。一寝入りして行きなよ。
昨夜何してたかは聞かないよ。」
「お互い様だ。美味しい物食べれば気分もなおるさ。」
ぽこぽこぽこ、最高のコーヒーが出来上がるまで
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