しいたけ賞(仮)その24 転生者、咲き散らす! 〜勇者家系なのに『花咲かスキル』授かって用無しらしいので、世界ちょっと華やかにしてきます〜 作者 黒片大豆様
本編URL
https://kakuyomu.jp/works/16817330658583252057
前書き
この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的感想です。
例えそのような内容であろうと、作品の価値を定めるようなものではないことは予めご了承ください。
あらすじ
おおよそのことは適度にできるが、抜きん出た才能は無く。平々凡々に生き、社会人生活を送っていた主人公は、テンプレの如くトラックに轢かれて命を落としてしまう。
気がつくとそこは異世界。主人公は、名門の公爵家の長男『ランジェ』の体に転移していた。なんと幸運なことに、彼は、伝説の『勇者』の力を授かる運命なのだという。
パッとしない人生を送ってきた主人公は、今度こそパッと華やかな人生を目指すも、力を授かる天啓の儀でいきなり躓くことになる。肝心の、勇者の力を授かるはずが、得られたのは何故か、『花の咲く時期が分かるスキル』。
微妙なスキルを授受したことで、父親から公爵家を追放され、魔物が闊歩するボロ別荘に放置されることとなるが、花咲かスキルを駆使し生き延び、遅れてきたメイド(?)のナツとともに、公爵家に戻り、父親への復讐を誓うのであった。
その帰路に、新米冒険者のファンダレンとクウが受注したクエストを手伝うことになるも、父親から差し向けられた暗殺者に命を奪われそうになる。死の縁に立たされたランジェはしかし、『花咲かスキル』の真価に気づき危機を脱出。同時に、ランジェは父親が隠していた、公爵家の大きな秘密に感づくこととなる──。
ストーリーとかについて
異世界転生からの外れスキル追放、でもそれが実は非常に強力なスキルで……。
といった感じの小説家になろう欲張りセット的な始まり方をする小説。
別にそれ自体はまぁ、いいとは思うし実際に途中からは普通にそれ系の小説としての面白さが見えてくる。
なのだが、ちょっとだけ序盤で損をしてると思うところがあって。
なんというか、最序盤の転生後のお話が時間を掛けている割に情報量が少ない。若干冗長に感じてしまうのが残念な点。
それに加えて恐らくこちらの小説、お話の方向性としてはかなりコメディよりなのだろうけど、それも何となく掴みづらい。
いや、大胸筋におぱーいとルビを振ってる時点で気付かない読者(わし)にも問題はあるのだが。
とはいえどうにも、序盤の展開の大人しさと、主人公のふてぶてしい性格の噛み合いのなさがかなり気になった。
話の途中、ヒロインが登場してからは物語的にも芯が通り面白くなってくる。
ヒロインもかなり特徴的で魅力があるし、この辺りが序盤から出てくればまた印象も変わっていたと思う。
キャラクターとかについて
主人公が悪い意味で掴みどころがない。
転生からの追放に関しても何処か他人事だし、よくあるなろう系主人公といってしまえばそれまでだが。
その辺りの性格をコメディだし、ギャグ世界だしで割り切れるかどうかは人によるといったところだろうか。
最終評価(極めて個人的な感想)
文章
一人称で文章はかなり読みやすい。
描写もいい具合に手を抜いており、細かすぎないのが作品に上手く噛み合っている。
キャラクター
主人公に関しては上の通りだが、まだ序盤なので悪いと判断するのも早計。
ヒロインはこだわりが強く出ていて魅力的に書けているので、彼女が登場してからは物語がぐっと引き締まる。
構成
上にも書いた通り、最初でちょっと損している感は否めない。
途中からは作品の方向性も伝わり、しっかりと面白いものになっている。
設定
今のところは普通になろう系している。
主人公普通がコンプレックス(?)的な部分はちょっと違和感があるが。
その辺りも含めた回収は、今後の期待といったところだろう。
総評
全体的に理解しやすく、話としてもしっかりと面白く書けているなろう系小説。
序盤の立ち上がりが少し気になるところではあるが、ヒロインが登場してからは物語に芯が入り面白くなっていく。
作品としてはこのままコメディ寄り路線なのか、これからまた別方向に派生していくのかと、割と楽しみな要素が多い。
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