Web小説発掘記 その283 【461さんバズり録】〜ダンジョンオタクの俺、淡々と攻略していたら何故か美少女配信者に撮られてバズり散らしていた件〜 作者 三丈 夕六様

本編URL

https://kakuyomu.jp/works/16818093072862688424

前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは『第60話 461さん、クラスが上がる。』までを読んでの感想、レビューとなります。

あらすじ

ん?配信者はちゃんと攻略しないのか?楽しいのに。

栃木から東京に引っ越して来た探索者「461(ヨロイ)さん」。彼は元引きこもりながら12年間の経歴を持つベテランダンジョン探索者。

ウッキウキで東京のダンジョンに挑む461さん。

たまたま居合わせた美少女配信者によってボス戦を配信されてしまった461さん。

有名配信者に意図せず実力差を見せ付けてしまう461さん。

スキルゴリ押しダンジョン配信者が溢れ返った世界では、彼の堅実な攻略スキルは異次元級のチート能力に映り、思わぬ所でバズり散らしてしまうのだった。

その日から、彼の元には次々とダンジョン配信者達が現れて……。

これは堅実ダンジョン攻略をする461さんがバズり散らし、世界中を魅了していく物語である。

ストーリーと見所

こちら以前も記事を書いているのでその続きとなっております↓

お話としては前回からそのまま続きで、今回の分の後半で少しずつ大きな流れのようなものが生まれ始めてきているというのが注目点。
それ以外に関しては新たな事件やらダンジョンを通してキャラクターの掘り下げをしている部分が大きい。

この辺りの丁寧さは個人的にはとても作風にあっていていいと思う。
矢継ぎ早に次々と話が進むよりも、キャラクターに焦点をあててそこを詳しく読者に見せるやり方は実に考えられている。

物語としては良くも悪くも前回の地続き。早い話が前回部分を読んで気に入った人なら、全く問題なく読み進めることができるだろう。
一応事件はあるものの、割とスピード解決で読者の胃袋にも優しい。

この辺りについてもちょっと早すぎる気がしないでもないが、あくまでも見せたいのは主人公の活躍という部分に的を絞っているので、エピソードの作りとしては理に適っている。

どっちつかずになるぐらいなら、一方を徹底的にやれるのは作品として優秀な証拠だろう。

単純な主人公達の活躍や人間模様をメインとして見たい層には充分過ぎるほどに書かれているし、悪役に対してのそれなりにカタルシスのある所謂ざまぁ展開的なものも描かれている。

何よりこういういい方はあまり適当ではないかも知れないが、こちらの小説は実にロジカル且つ読者ファーストに書かれている。

掲示板回やコメントなどで、そのときの場面の楽しみ方、読者がどのような感情を抱きながら読めばいいかをリードする。
そこに更にちょっとしたわかる人にはわかるゲーム要素を入れて、それらのファン層をニヤリとされる。

そういった仕掛けが幾つも施されており、作品への没入感が強く実にわかりやすく誰でも楽しめるような作品として作られている。

その辺りの手腕というか、そういった部分に関しては流石といったところで、人気を博する理由も伝わってくるというもの。

ダンジョン配信が人気になるその理由が詰まった作品といっても過言ではない。(いや流石に過言かも……?)

配信業界が何かと世間を騒がせる昨今、主人公に感情移入して人気配信者になったつもりで読むもよし、一コメントとして作品を追いかける傍観者になるもよしと実に様々な楽しみ方ができる良作小説。

キャラクター

461(ヨロイ)さん

物語の主人公。
変人要素+ちょっとした無自覚系。

キャラクターが濃すぎず、かといって強さやちょっとした言葉でしっかりと存在感を表してくれるのでその辺りも丁寧に作られている印象。

特に今回読んだ範囲では、意外熱血漢な一面や女性を相手にした戸惑いなども見られるので新たな魅力発見と言えなくもないかも?

リレイラ

ヒロインの一人。
この世界にダンジョンが生まれた原因でもある魔族で、それ故に周りからは敵意を向けられることもある。

彼女がメインとなる話があり、そこでは世界観のちょっとした掘り下げと共に彼女の魅力についても語られる。

総評

評価点

こういうのでいい、こういうのがいいを的確にお出ししてくれる小説。

強い主人公が活躍し、脚光を浴びる。
困難が立ちふさがり仲間と協力してそれを解決する。

そういった多くの人が読んでいて楽しいと思う要素を突き詰めた作品。
読んでいるストレス要素がほぼ0に等しいので、次々と先を読み進めることができる。

時折挟まる掲示板回もユニークな雰囲気を出しつつ世界観の掘り下げに成功しており、その辺りもお見事。
文章も情報量が程よく、状況を理解しやすくそのうえで情報過多になっていないのも読んでいてありがたい。

問題点

お話としてはよく言えば期待を裏切らない。
悪くいえば予定調和。

別に問題点でもないねこれ。

最終評価 59点(Web小説としては充分な良作)

流行りのジャンルの、評価される部分をしっかりと分析して取り込むことに成功した良作小説。

ストーリーはとても読みやすく、ほぼ万人に受け入れやすい流れを作っている。

またコメントや掲示板会などで、読者に対しての作品世界への導線も丁寧に作っているのも好印象。
かなり考えられた小説なので、是非一度読んでみてもらいたい。

所要時間は『第25話 ネコネコナーゴから第60話 461さん、クラスが上がる。』までで凡そ40分ほど。

極めて個人的な感想

読者のことをしっかりと考えて、楽しんでほしい部分をかなり鮮明にしているといった印象。

ここまでそれを徹底してやれるのは普通に凄い。

流行りのジャンルであるとかそういう部分も加味してだけど、普通に何かしらの結果は残しそう。


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