見出し画像

パリィが楽しいガン攻めメトロイドヴァニア「ミノリア」を紹介【レビュー】

以前から気になっていた「ミノリア」をプレイしました。探索型アクションゲーム、いわゆるメトロイドヴァニアジャンルのファンならば「MOMODORA 月下のレクイエム」(以降「月下」と表記します)の精神的続編といえば伝わるでしょうか。

ボリュームは控えめながら、扱いやすいパリィを軸にしたアクションは楽しく、特にボス戦は後述する理由もあって独特の面白さがありました。実績を埋めるまで遊んだので、今回はこちらのレビューと紹介をしていきます。

ちなみに、実際にプレイしたのは昨年の10月頃だったりします。なんでプレイしたときから時間が空いているかと言うと例によって2023年8月9日までNintendoSwitch向けにセールをしていたからですね。基本的には当時書いていた内容に加筆しています。

こちらも例によって目次から「■まとめ」に移動することで簡単なまとめに飛べますので、時間がない方はそちらを。また、超忙しい人向けは「☆約500文字でまとめると」をどうぞ。


■ストアページ

■紹介

まずゲームバランスとしては、雑魚ボス共に「デモンズソウル」など、一瞬の油断と一回の被弾が命取りになる高難易度ゲームに近く、レベルの概念も導入されているので、ジャンルとしては探索要素のあるアクションRPGってところ。

シビアではあるもののコツコツと経験値を溜めていけば楽になるというのは勿論、パリィやお香(回数制限ありの魔法のようなもの)から大ダメージを与えられますし、あからさまなレベリングスポットや経験値を増加させる装備もあるので、それらを駆使すればアクションゲームが苦手な人でもクリアは可能でしょう。ちなみに本作、お香や武器の交換はポーズ画面からいつでも行えるようになっています。

マップデに関しては、探索ゲームとしてはそこまで複雑かつ本格的なものではないのですが、一方向に進んでいくだけではなく、別ルートを開拓する要素もありゲームのボリュームから見れば充実した内容になっていると思います。今回も序盤のマップのスクリーンショットを載せておきます。一応ネタバレ注意です。


お香の他、武器にも回数制限付きの特殊攻撃が設定されているのですが、ゲーム中いつでも装備変更を行える都合、特殊攻撃やお香を使っては装備を変更、また別のチャージ攻撃やお香で攻め立て。という戦略も一応は可能だったりします。

また、先にも触れた通り、お香の中にも非常に強力な性能を持っているものが幾つかあり、特に序盤が終わる頃に手に入るお香はザコは勿論、一部のボスにも通用する破壊力を持っていたりします。流石に終盤の敵には耐性が付与されているみたいなんですが、後述する「スタン」の仕様からも有用であることには変わりありません。

特殊攻撃や強力なお香に関して、これはプレイヤーに有利な要素ですし、探索をしっかりやったご褒美でもあるんですが、バランスの取り方としては緊張感に欠ける印象も受けました。勿論そういった強力な攻撃手段は使いたくなければ自重すればいいだけのことですが、そういった点から本作は難易度の調節がこちらの裁量に任されている節がありますね。

少し話がそれますが、結構類似点も多いと思う「ENDER LILIES」は、スキルの交換は拠点でしか出来ず、次の拠点はどこだ!?という緊張感の中で残り回数のあるスキルのやりくりをしつつ探索しなくてはいけなかったのも、本作の探索に関しては緊張感が薄いという印象を受けた原因かもしれません。


ただ、プレイヤーに有利な要素は多いものの、一部の装備を獲得する条件がボス戦をノーダメージでクリアするというもので、これは敷居が高いし不親切のように感じました。

このシステム自体は「月下」でも導入されていたので、そちらをプレイ済みの場合は気付けるかもしれませんが、完全な初見の場合、そもそもその存在を知らないままゲームクリアまで行ってしまう可能性もありますからね。

一応、拠点の資料からノーダメージクリアの報酬の存在を知ることは出来るのですが、これを確認できるのが最初のボスを倒したあとの上に、その最初のボスをノーダメージでクリアすることで手に入る装備が、上位互換どころか下位互換すらゲーム内に存在しないほど強力なものというのもちょっと頂けないポイント。


ではそのノーダメージクリアというのがどの程度難しいのかと言えば、勿論ボスにもよりますが、けれど困難ではないという良い塩梅になっていると思います。

そう言える理由の一つは、先に挙げた強力な攻撃方法の存在、そしてもう一つ、このゲームの軸となるパリィがノーダメージ攻略の肝になるわけです。

スタミナの概念がないこのゲームにおいて、ワンボタンで出せなおかつ猶予も長め(0.5秒位?)、飛び道具も問答無用で取れて、様々な行動をキャンセルしつつ出せる。と書けば、その強さが伝わるでしょうか。

▲剣を構えて光が出ている間、防御が可能。結構猶予は長めです。

このゲームのエネミーは、雑魚ボス共にヒットポイントと、スタンゲージの2つの数字を持っていて、後者を満タンにするとエネミーが怯み、大ダメージを与えられるというシステムになっています。

スタンゲージは攻撃で少数蓄積される他、相手の攻撃をパリィで弾くことで多く蓄積させられるようになっており、相手の攻撃をギリギリまで引き付けて弾き返し、雑魚戦なら超強力なカウンター攻撃、ボス戦なら相手の攻撃をいなし続けチャンスメイクを行う。とシンプルながらこのゲームの戦闘における面白さに直結しています。リスクこそありますが、このチャンスメイクとダメージ回避としてパリィの強さが「ノーダメージは難しいが困難ではない」とする理由なのです。

パリィや弾きによる防御が出来る同ジャンルのゲームには、例えば「ホロウナイト」や先に比較対象として挙げた「エンダーリリーズ」もありますが、この2つはどちらかと言えばリスクに対してリターンが少なめなので、扱いやすさとやバランスとしては「メトロイド」シリーズのメレーカウンターが近いかもしれません。

(参考:各タイトルの防御アクションの概要)
◇ホロウナイト・・・相手の一部の攻撃に対してこちらの攻撃を合わせることで相手の攻撃を無効化する。が狙って出せるものではない。
◇エンダーリリーズ・・・全身に防御判定が発生するがリターンが少ない。回数制限ありのスキルもありそちらではカウンターが発生する。
◇メレーカウンター・・・近年のメトロイドに追加された近接攻撃を兼ねた防御手段。相手の攻撃を弾いて、雑魚戦なら強力なショットで、ボス戦ならド派手な演出付き攻撃で大ダメージを与える。

また、このゲームにおける防御の手段はパリィの他、ローリングによる回避があるのですが、こちらもあらゆる行動をキャンセルでき、連続で使えるかなり高性能なものでパリィで取り切れない攻撃を回避するのに多用します。

使い分けが大事ではありますが、ジャストタイミングでなくとも攻撃をかわすことができるローリングのほうが手堅い方法なんですけど、あえてリスクの高いパリィに重きをおいているというのがこのゲームの面白いところです。

リスクの高い行動を積極的に使わせるゲームというと、少しジャンルが離れますが「メタルギア ライジング リベンジェンス」のシノギに近い印象も受けます。(シノギ=同作の防御手段。相手の攻撃をカタナで凌ぎ、タイミング次第では強力なカウンターに派生する。)

あれは防御という後ろ向きな行動を、前のめりな攻めの行動にする。言うなれば、攻めには攻めで抗するという「ガン攻め」コンセプトを体現した機能になっているんですよね。

そう考えてみるとパリィで隙を突き、お香や装備を活用してガンガン攻めていける本作にも通ずる部分があるような気がします。慣れてくるとボスのほぼ全ての攻撃を全て弾き返して攻撃を一方的に叩き込むということも出来るので、遊ぶ際はぜひ挑戦してもらいたいと思います。


最後に本作のストーリーについても触れておきましょう。ネタバレは控え気味ですが、一応注意してください。

あらすじとしては、主人公であるシスターの二人が、所属する教会の指示により魔女と呼ばれる存在を討伐し、彼女たちが行おうとしている怪しげな儀式を止めるというのが、大まかな流れと最終的な目的になるのですが、話が進んでいくうちに、主人公たちが所属する教会というのがどうにもきな臭く怪しげで、所々でどちらが正しいのか?という揺さぶりを主人公たちとプレイヤーにかけてきます。

ストーリーを進めることで、本当の悪はどちらか分かるように…はなっておらず、収集要素である資料を読むことで、これが単純な善悪ではなく、主義主張の対立による戦争であると薄っすらと分かるようになる程度。

資料を集めて読んで、断片的な内容を整理して考察して、と能動的に追いかけなくてはならないのですが、追いかけても結局すっきりとしない終わり方をするんですよね。

一応、二週目を遊ぶにあたり資料を更によく読み、回り道してサブイベントも確認するところまでやると、かなり印象が変わりました。このサブイベント、色んな意味で必見だと思うのでぜひ探してみてください。曖昧だからこそ葛藤が生まれ、だからこそ心に残る。そんな結末です。


■まとめ

☆どんなゲーム?
・コンパクトにまとめられた探索型2DアクションRPG。
・「MOMODORA 月下のレクイエム」の精神的続編。

☆良いところ
・高難易度ではあるが抜け道がしっかりと用意されている。手段を選ばなければクリア出来るバランス。
・防御関連アクションのレスポンスの良さと使いやすさ。

☆良くないところ
・アビリティの開放にボスのノーダメージクリアが求められる。
・ストーリーは能動的に考察しないと薄味で、ボリュームも満点とは言いにくい。

☆約500文字でまとめると

戦闘は一撃が致命傷になるバランスで、ボス戦も出来ればノーダメージ推奨という高難易度なバランスですが、パリィなど防御手段が高性能かつ、こちらの攻撃手段も強力なので、慣れてくると「攻撃をいなしつつ攻め続ける」という事ができるようになって面白いです。

探索要素はコンパクトながらも工夫はされていて好感触。回り道してショートカットを開けていくのが多数ですが、少ないながら要所を抑えたパワーアップで新たなエリアに到達できる要素もあり、やりごたえは十分です。

ストーリーはやや薄味なのは否めず、収集要素を集めてもボンヤリとしか分からないのですが、考察すると信条のぶつかり合いとそれに翻弄される少女たちの物語とわかり、どこか心に残るような結末になっています。

ボリュームは控えめながらも手堅くまとまっているので短時間でクリアできる探索型アクションがやりたかったり、トライアンドエラーで歯ごたえのある戦闘を楽しみたい、また、バディものや女の子たちのやり取りや葛藤といった展開が好きならば楽しめるはず。

レベルの概念もあるので、探索とレベリングをしっかりすれば戦闘が苦手でもクリアは決して難しくないと思います。おすすめです。

#ゲーム
#レビュー
#NintendoSwitch
#インディーズゲーム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?