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深海廃墟探索ゲーム「棄海:忘れられた深海都市」をガッツリ紹介&レビュー

まず、これを書きはじめた時点での進行度は、難易度「中」の軍曹モードでひとまずエンディングまでたどり着いて、ここから未回収の要素を埋めるところ。プレイ時間はおおよそ10時間、クリア時点での達成率は81%でした。

セール期間に間に合うようにかなり駆け足でクリアしたものの、非常に良く出来ていておすすめのゲームなので紹介を兼ねたレビューをさせてください。折角なのでお題「#今買うべきゲーム」にも参加していました。

また、簡単にまとめた内容も書いていますので忙しい人、もしくはネタバレを出来るだけ回避したい人は目次から「■まとめ」へ。また、今回はちょっとした攻略情報も書いていますので既に購入済みで「詰まったかも…」という人は「■攻略情報」もどうぞ。


■目次



■ストアページ

【Nintendo Switch】

【Steam】

※見出し画像や記事内スクリーンショットに登場する赤いキャラクタースキンはSwitch版限定なので要注意。


■レビュー

では改めて本作の概要から。ジャンルとしては「探索型アクションゲーム」いわゆる「メトロイドヴァニア」で、特筆すべき点としては舞台に一切陸地が存在せず全てのエリアが水中にあるという点。

水中を舞台にしたメトロイドヴァニアというと、カプコンの「深世海 Into the Depths」が記憶に新しく、どのように差別化されているか気になったのですが、上記の通り全編水中というのもそうですし、様々な意味で異なるゲームに仕上がっていました。

「深世海」が酸素や水圧といった人間が深海に挑む上での制限、語りすぎずに考察してもらう物語が面白さに繋がっていたのに対して、こちらは水中だからこそ表現できる自由度の高いアクションや、個性的なキャラクターや豊富なテキストで繰り広げる物語が面白さの基礎になっているという印象です。


攻撃方法こそ右スティックで狙いを定めて「ZR」ボタンで発射と操作感含め似ているのですが、弾薬(銛)消費式の水中銃を使うあちらに対して、本作では相棒であるメカジキ型ロボットの「ブラント」に遠隔指示を出しスピード感のある攻撃が繰り出せるのが特徴。

もう一つ特徴的なのが、主人公である「プランティー」の回避アクションとなるダッシュで敵を通り抜けることでロックオンを行い、その対象に攻撃することで大ダメージを与えられるというシステム。他のゲームで例えると「ガンヴォルト」シリーズのブリッツダッシュに近いかな。

射撃攻撃がメインのアクションゲームって敵の攻撃範囲外から攻撃するという戦法が成立してしまって、有利な反面単調になってしまうこともありますからね。ハイリスク・ハイリターンな選択肢を提供し、遠距離攻撃だけが正解にならないようにするというのはいいバランスの取り方だと思います。


次はマップを見ていきましょう。序盤のマップですが一応ネタバレ注意。

概形ではなくしっかりと地形は表示されていて、詳細な現在地もマークされていますね。よく見るとエリアによってマップの色が濃淡で分かれているんですが、これにも理由があります。あまり詳しく書くのもなんですから、実際に遊んでみた時に観察してみてくださいね。(ちなみに私はこれに気づいたのが結構終盤でした。)

マップデザインに関しては、各所に設置されているセーブポイントの間隔も個人的にはちょうど良いと思いました。探索をしていて「そろそろ休みたいな…」と思う程度に消耗した頃に見計らったように出てきてくれるんですよね。

加えて、各セーブポイントではお金を少し消費してファストトラベル地点を開通できるようになっているんですが、ストーリー上重要な場面においてはその少量の消費すらなく開通できるようになっていて、詰みにくいよう配慮がされている点も素晴らしいと思います。

このゲームの戦闘は難易度「中」でも難しいので、一旦戻って探索してパワーアップしてから再度挑むことが出来るのはありがたいですし、難易度自体もかなり柔軟に変更できるようになっています。変更可能な設定項目に関してはこちらの画像をどうぞ。

▲「ダメージ軽減率」を100%にすれば敵の攻撃からダメージを受けなくなる。

ここまで自由に難易度設定が行えるゲームって最近少しずつ増えてきているもののアクションゲームではあまりなくて。私が知っている限りでは「ベヨネッタオリジンズ」くらいかな。

後で詳しく触れますが、本作はその世界観やストーリー、収集物などのフレーバーテキストも良く出来ているので、アクションが苦手でも難易度を調整して最後まで遊んでほしいという制作側の意図を感じます。


次に戦闘以外の点、つまり探索の難易度に関してですが、これもかなりユーザーフレンドリーに作られています。

というのも、通常のマップには次の目的地は表示されないんですが、序盤を抜けた頃にたどり着く大きな拠点にだいたいの目的地が表示されるので「どこに行けばいいかわからない」という事がないようになっています。

それだけではなく「探索→新たな能力の獲得→その能力を使って探索範囲を拡大」という流れへの誘導も良く出来ているので、このジャンルに慣れているなら、拠点に戻らずとも上手く先に進めるはずです。この「この能力があればあそこに行けそうだぞ…!」っていうメトロイドヴァニアならではの感覚はやっぱり最高です。

ちなみに、本来の順路とはかけ離れたエリアに進もうとすると、先に触れた相棒のブラントが「今は装備が足りないから後からまた来よう」という話をしてくれました。

この場面、初心者が間違ってそのまま進んでしまわない配慮としても勿論良いんですが、二周目以降のプレイヤーなら強行突破も不可能ではないと思うんですよね。まぁ検証したわけではないんですけども。

メトロイドヴァニアというジャンルは、いかに短時間でクリアするか挑戦する「スピードラン」という遊び方も盛んですから、こういう抜け道があるというのも面白い点かなと思います。


と、クリアするための様々な配慮が施された本作ではありますが、細かな部分まで見ていくと不満もあります。特にキャラクターのカスタマイズ要素である「メモリー」に関しては、少し問題を抱えていますね。

これはプランティーに特殊能力を付与する装備品にあたります。各メモリーには装備するための容量値(1から3まで)が設定されて、現在のメモリースロット数の範囲内で装備していくことになるのですが、文章だけで説明するより以下の画像を見てもらうと分かりやすいと思います。

▲赤枠の数値を上限として、メモリーを自由に装備していく。

このジャンルのファン向けには「Hollow Knight(ホロウナイト)」のチャーム。といえば、より伝わりやすいかと思います。


それで何が問題なのかというと、探索のために必須のメモリーが存在していることです。というのも、本作のマップには通常状態では侵入できないダメージゾーンがあるのですが、それを無効化するメモリーが存在するのです。

なのでその箇所の探索をする為には装着が必須となるわけですが、その分容量を圧迫するので、当然戦闘向けのメモリーの装備ができませんし。ダメージゾーン無効化のメモリーは容量が大きめなのも問題ありですね。

「メトロイド」で例えると、バリアスーツの機能を有効にするために一々セーブルームに立ち寄らなくてはならず、バリアスーツを有効にするとプラズマビームが装備できない。みたいな状態になるわけです。


まぁ先程触れた通り、メモリーの付替えを行えるセーブエリアはマップの各所に存在し、本作のマップの快適さも相まって、そこまでテンポを損なうものではないのですが、「メトロイド」のようにそれ自体を付け替え不要な恒久的なパワーアップ要素にするか、「Hollow Knight」のように特殊なメモリーはスロットを圧迫しないような工夫がされていたら文句なしでしたね。


恒久的なパワーアップ要素という話が出たので、もう一つ気になる点の話をします。本作のパワーアップ要素の中にはダッシュ関連のアクションが全く別の性質になるというものがあるんですが、アクションの切り替えは方向キーの上下左右に割り当てられていて、少しでも斜めの要素を入力してしまうと別のアクションに変わってしまうんですよね。

戦闘中は、敵の攻撃によってかわしやすいダッシュアクションが変わるのですが、思っていたアクションが出ず敵の攻撃に直撃ということが何度かありました。だからといって切り替え直してフォローすればいいかというと、ダッシュはスタミナを大きく消費するという都合あまり連打できないのでそれも少し難しかったりします。

斜め入力が入りやすいというのもそうなんですが、そもそも現在どの能力に切り替わっているかが分かりにくい。というのが一番の原因だと思います。百聞は一見にしかず。多少のネタバレがありますが、よければ以下の画像を全画面で表示してみてください。

どうでしょう。敵の動きを見つつ右スティックで照準を行い、敵の飛び道具をかわすためにプランティーを見て左スティックを頻繁に動かしながら、左下の小さな表示がちゃんと切り替わっているか確認する。と考えるとちょっと視認性が悪いですね。表示をもう少し大きくするか、変更したときに色や、効果音などで判別できるようになっていればなぁ。


では最後に本作の良い点の2つ目、ストーリーやビジュアルに関して触れていきたいと思いますが、これに関しては公式サイトがとても見やすいので、まずはこちらをどうぞ。

カートゥーン風のビジュアルで描かれたキャラクターは少し不気味でありつつも、そのタッチのお陰でユーモラスに描かれています。特に主人公の「プランティー」に関しては操作中、そしてムービーパートで見せる表情が豊かで可愛らしいです。相棒の「ブラント」も表情こそありませんが語り部として実にユニークなキャラクターで好感が持てますね。

▲プランティー六面相

このゲーム、主人公たちはもちろんそうですが、彼らの前に立ちふさがる「モンスター」たちも図鑑に登録され、それぞれに異なるフレーバーテキストが用意されているのが細かくて好きです。折角なので序盤に登場するキャラクターやロケーションを幾つかご紹介。

・・・ユーモラスなのは間違いではありませんが、それ以上に歪さや奇怪さというのも感じさせるデザインになっています。一見冗談みたいな見た目ではありますが、昨今の情勢を考えるとフィクションだからと笑えないものがありますね。

公式サイトのあらすじも決して間違いではないのですが、ゲームのタイトルからなんとなく分かる通りこの世界には既に人間の姿はなく、あるのは遠い日にあった栄華の名残だけ。この点は洞窟や海底火山、大海溝と深海という自然の中を探索する趣が強かった「深世海 Into the Depths」とは異なるアプローチですね。

このゴミだらけの廃墟の中を探索するうちにプランティーとブランド、そしてプレイヤーは、人間が廃棄したゴミと融合した海洋生物をしりぞけながら、記録ディスクや回想からかつて人類に何が起きたのか。少しずつ事実を探っていくことになるわけです。

と書いていくと「人間による海洋汚染」というシリアス一辺倒な雰囲気や現代社会への警告といったメッセージ性が強いように思われてしまうかもしれませんが、暗くなりすぎないよう、そしてあまり深刻になりすぎないよう中和するという点においてもコミック調のアートやフレーバーテキストは上手く機能しています。

▲かつての人間アホなことやってんなーというテキスト。

面白いなと思ったのが、上の画像のような本筋とは全く関係のないテキストに書かれた場所や施設もしっかりと拾ってくれるんですよね。そういうところも含めて世界観の構築がすごく丁寧かつ上手に行われている印象です。

▲まさかのミニゲーム。しかも到達時点ではかなり難しい。そりゃ死人も出るよ…

物語としては前半は大きな目的は提示しつつも語りすぎないことでプレイヤーに考察してもらい。後半に様々な新事実を提供し、これまでに収集したテキストなどで匂わせた様々な情報と結びついていくことで、この世界に何が起きたか全容がわかるようになるというつくりになっています。

良く言えば王道、悪く言えば少しテンプレート的ではありますが、先に触れた丁寧に構築された世界観と、魅力的なキャラクター、しっかりと導線が作られたマップデザインのおかげで全く退屈せずに遊べました。ネタバレを避けようと努力をすると語彙力が低くなっちゃうんですが、まぁその、面白かったです!!


■まとめ

☆良い点
・マップやシステムは丁寧に作られており、高難易度ながらも遊びやすくなっている。
・世界観や設定はよく練られており、カートゥーン調のビジュアルも含め綺麗にまとまっている。

☆良くない点
・必須レベルのアビリティの装着にコスト制になっている。
・方向キーを使ったスキル切り替えは視認性と操作性がやや悪い。

☆おおよそ500文字でまとめると
廃墟となった深海都市を相棒のロボットと巡るメトロイドヴァニアで、導線がしっかりと作られたマップは出来がよく、水中を舞台にした独特な戦闘は間違いなく面白いです。

ただ、回避関連のアクションを思ったとおりに切り替えるのが難しい点、スロット制のカスタマイズ機能には探索のために必須レベルのものがあり、スロットが圧迫される点など多少の問題も抱えています。

幸い、本作の難易度設定はデフォルトの3(+1)段階に加えて、自分で被ダメージ量など調整できるカスタム設定がありますし、付け替えを行えるセーブ地点は各所に存在しているので戦闘が難しくてクリアできないという状態にはならないでしょう。

これらの配慮からは「ストーリーを最後まで見てほしい」という意図と自信が感じられますが、実際「海洋ごみ」という現実世界の問題を絡めた物語は王道で面白く、かつ、カートゥーン調の親しみやすい、そしてユーモラスなデザインのおかげで重苦しくなりすぎない、いい塩梅になっていると感じました。

メトロイドヴァニアジャンルのファンは勿論、アクションは苦手だけど、キャラクターとか雰囲気が気に入った。という人にも文句無しでオススメできる一作です!

■余談

ここまでお読みいただきありがとうございました。ところで、今回海をテーマにした同ジャンルゲームということで「深世海 Into the Depths」の話題を何度か出していたので、最後にこちらも簡単に紹介します。

「深世海 Into the Depths」はカプコンが発売した横スクロールアクションで、プレイヤーは寒冷化で陸地を追いやられ海で暮らす人類として、生き残るために深海を冒険します。

独特なのが、ヒットポイントという概念がなく、生存のために必要な「酸素」という概念に置き換わっていることで、呼吸の為というのは勿論、空気を噴射してブーストジャンプをするためにも消費されるようになっている点ですね。

酸素は有限なので、ブーストを使いすぎれば生存できなくなるし、かといってブーストを上手く使わないと凶暴な生物から身を守れない。更に攻撃方法も弾薬(銛)消費式の水中銃なので、その素材になるアイテムをしっかり集める必要がある。と、全体的に深海という極限環境に人間が挑む「サバイバル」の要素が強いゲームでした。

▲こちらもいいゲームです。よければ併せてどうぞ。

▲他にもゲームのレビューを書いています。興味と時間があれば読んでみてくださいね。

■攻略情報(ネタバレ注意!)

このセクションでは、私が本作をプレイしていて難しかった点を重点的に、攻略のヒントを残しておくことにします。他に不明な点があればツイッターなどでこっそり聞いてみてください。こっそり解答します。

Q.闘牛場がクリアできない!
A.ブルフィッシュの突進はただ回避するのではなく、壁にぶつかるように誘導しよう。エリアの中央ではなく上下と横一方向に壁がある左右どちらかの端で戦えば壁が三方向にあるので激突させやすい。どうしても難しければ、もう少し近辺の探索を行ってから挑戦したほうがいい。

Q.ミサイルの発射場所がわからないんだけど
A.ミサイルの発射場所自体はマーキングされていないので、マップにある特殊なアイコンの場所に進むのが正解

Q.ラクシャのデカい弾が避けられない!
A.溜め始めたのが見えたら上下のどちらかに移動して、発射と同時にダッシュ連打か「大海一滴」で反対側に移動して避ける。

Q.ラクシャの小さな弾が避けられない!
Aこちらに向かって放ってくる弾はできるだけ「回山倒海」で弾いてダメージを与えていく。前方に浮遊する弾はパワーチャージを維持して弾く。なるべく右端に寄って次の攻撃をかわせるようにしておくこと。

Q.ラクシャ第二フェーズ以降の攻撃が全部かわせない!
A.まず、第一フェーズ突破前にHPを回復しておくことが大事。第二フェーズでは異様な速度で接近して広い範囲で攻撃してくる。カンフードルフィンでも逃げ切れないが本体に当たり判定はないので、しっかりタイミングを合わせて回避を行いつつカウンターを狙う。 「効率至上主義」をセットするなどしてスタミナが無くなりにくいようにしておく。また、できるだけエリアの中央に居座っておくと、三連突進を避けやすい。 相手もブラントを使い始めてからは、相手の突進に対して90度の角度で2回ダッシュを行うようにするとかわしやすい。音もよく聞いてタイミングを測ろう。

Q.赤潮って結局どうすればよかったの?
A.ストーリーをクリアするだけなら実は関係なかったりする。突入する手段はあるのでストーリーとは関係ない場所を探そう。

Q.裏ボスの攻撃が避けられない
A.弾幕攻撃は「回山倒海」でできるだけ跳ね返す。三角形の広範囲攻撃は回転が止まったら回避連打。四角形の拘束攻撃はしっかり対処しないと負ける。拘束が完成する前にダッシュで範囲外に逃げるか「雷光転換」で広い空間に逃げよう。ブラックホールを打ち出す攻撃は出が早い上に射撃の精度も高い。出来るだけ引き付けてダッシュで避けるのと、吸引されないような位置取りを心がける。

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