見出し画像

回復期リハビリテーション病棟における脳血管疾患と大腿骨頚部骨折患者の特徴

はじめに

回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)は、脳血管疾患や大腿骨頚部骨折などの患者さんに対し、ADLの向上による寝たきりの防止と家庭復帰を目的として、リハビリテーション(以下、リハ)を集中的に行うための病棟です。

本稿では、回復期リハ病棟の2大疾患である脳血管疾患と大腿骨頚部骨折患者の特徴を、以下の点に焦点を当ててまとめました。

  • 入退院時の状態

  • 退院先

  • 摂食嚥下と排泄の能力

  • 入院中の転倒と損傷レベル

  • 看護師の質×量

使用データ

本稿では、回復期リハビリテーション病棟協会によって報告される「回復期リハ病棟の現状と課題に関する報告書(以下、報告書)」の2022年度版データを参考に、脳血管疾患「脳血管系1(脳血管疾患で算定上限150日)」と「脳血管系3(同180日)」、大腿骨頚部骨折「整形外科系1(大腿骨・骨盤・脊椎・股関節・膝関節等の骨折または術後の状態)」のデータを分析しました。

2大疾患の占める割合と入退院時の状態

  • 回復期リハ病棟に入院している患者さんのうち、脳血管疾患が36%、大腿骨頚部骨折が40%で、合わせて約8割を占めます。

  • 平均年齢は脳血管疾患が74歳、大腿骨頚部骨折が81歳で、在院日数はそれぞれ83日と57日です。

  • 入院時から退院時までに、ADLの評価である機能的自立度評価法(以下、FIM)の合計点は脳血管疾患で24点、大腿骨頚部骨折で26点改善します。

  • しかし、改善は同程度でも、入院時および退院時のFIM合計点は脳血管疾患が大腿骨頚部骨折よりも約10点低く、介助量が多い状態で退院することがわかります。

退院先

  • 急性期病院などへの転院:脳血管疾患10.2%、大腿骨頚部骨折5.8%

  • 自宅や居住系施設への退院:脳血管疾患60%、大腿骨頚部骨折77%、居住系施設への退院も含めると72%、91%

摂食嚥下と排泄の能力

  • 経腸栄養:脳血管疾患入院時13.9%→退院時10.3%(経鼻チューブや胃瘻の離脱率26%)、大腿骨頚部骨折1.2%→1.4%(同-14%)

  • 尿道カテーテル:脳血管疾患入院時10.0%→退院時5.5%(カテーテルの離脱率45%)、大腿骨頚部骨折6.7%→2.9%(同57%)

入院中の転倒と損傷レベル

  • 転倒回数:脳血管疾患21.2%、大腿骨頚部骨折12.7%

  • 転倒による損傷レベル:脳血管疾患レベル3(7.7%)、レベル4(3.3%)、大腿骨頚部骨折レベル3(8.9%)、レベル4(5.7%)

看護師の質×量

  • 高度専門機能認定病院において、看護配置が50床当たり21.4人未満かそれ以上かの2群に分けて、経腸栄養・尿道カテーテルの離脱率、退院時FIMと自宅復帰率を比較したところ、看護配置が多い病棟(すなわちケアプロセスの質と量が高い)のほうが、いずれのアウトカムも良好でした。

おわりに

回復期リハ病棟における脳血管疾患と大腿骨頚部骨折患者の特徴をまとめました。これらの情報を参考に、個々の患者さんに最適なリハビリテーションを提供することが重要です。

補足

  • 本稿は、回復期リハ病棟における脳血管疾患と大腿骨頚部骨折患者の特徴を概説したものです。

  • 個々の患者さんの具体的なリハビリテーションについては、医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門家に相談してください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?