見出し画像

眩しくて遠い


髪を切った好きな人の写真は、仕事終わりの疲れきった私には眩しすぎて、なんだか唐突に、もう会えないような気がしてしまった

眩しいものに惹かれる いつも
自分のことは、月みたいだ、と思う
照らしてくれる太陽みたいな人がいて初めて明るさを放つことができる
圧倒的な与えるエネルギーを持っている人達には、いつも強烈に惹かれてしまう
強烈に惹かれてしまうから、紛れもなく、その人は“太陽”で、それでいくと私は“月”だなあと思う


何度も動画を再生する
こんな笑い方をするんだったな、と思い出していた
2回しか会っていない
綺麗だな、と思ってもおもしろいな、と思っても写真や動画に収めるような関係性ではなかった
断片しか残っていない
だからこそ焦がれるのだろうか
つけているネックレスは、私と会った時にもつけていたもの
頬の、きっと生まれつきの薄い痣も、あの時は隣で見ていた

帰ってきたばかりの暗い部屋で好きな人の動画を何回も再生するなんて、あまりにも根暗すぎる

他人の眩しい瞬間と、自分の暗い瞬間を横に並べるなんて馬鹿げているだろう
分かってはいるけれど、疲れのせいか、なかなかベッドから起き上がれなかった

眩しくて恋しくて遠い、途方に暮れる
早くお風呂に入って暖かくして、気持ちを存分に満たしてあげないといけないのに


あの人にもきっと、私と同じように暗い夜があるだろう
私は、こんな夜にどうしても頼りたくなってしまう唯一無二のあの人が、同じように暗い夜を迎えた時に頼りたいと思われる人になりたかった
だから、会いたいなんて到底言えなかった


あの日が仕事相手との飲み会の憂さ晴らしだったとして、私でいいのならと問題なく受け入れられたのは、私があの人を慕っているからに違いなかった
何かをしてもらってたわけではないのに、どういう訳だか初めからずっと貰い続けているような気がしているからだ 好きなのだ


私が会いたいと思うのは、自分自身ではどうもがいても満たされなくて、どうしようも無いから人から与えてもらいたい時だ
でも、だからといってあの人からエネルギーを奪いたい訳ではなかった
寂しくなる時ない?って聞いてきたあの人が、また来ますって言ってたあの人が、私のことを思い出して温かい気持ちになったらいい
会いたくなったら会いに来てほしい
その時には私の持っているものを与えたい
そのために私はずっと、自分をあの人以外のなにかでどうにか満たし続けようなんて思っている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?