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国家資格 キャリアコンサルタント試験体験&試験対策(JCDA 第23回受験) 6. JCDA論述・面接試験対策 1 (論述試験に関する基本的な考え方)

論述・面接試験は、論述試験とロールプレー形式の面接試験であり、最終的にはその合計点で結果が判定されます。私はJCDAを選択し試験を受けたので、論述試験は50点満点で足切りが20点(40%)、面接試験は、100点満点で、「主訴・問題の把握」、「具体的展開」、「傾聴」の3項目すべてで、それぞれ40%以上の評価が足切りとなり、最終的に、この二つの試験の合計が満点150点、既述の足切りをクリアした上で90点以上(60%)を取れば合格となります。
 
論述・面接試験は、まず養成講座での学習の順番が、学科試験から始まるので、対策自体が遅れる傾向があります。私も前半3ヶ月は学科試験の動画視聴、中盤の3ヶ月は通いの対面クラス(ここでロールプレーの基本的なスキルは教えてくれる)、後半の3か月にようやく、論述試験の問題を解いたり、通いの対面クラスでは全く自信の持てなかったロールプレーの練習に時間を費やしたりと、9ヶ月も勉強をしていたのに、最後の3か月で受かるという感触が得られないまま、1か月、また1か月と過ぎていき、残すところ最後の1か月の間のさらに2週間前くらいにようやくコツのようなものをつかみ試験に臨んだという感じでした。
 
時間軸では、全体像をとらえるために、論述・面接試験対策を早めに開始するべきだと思いますので、ここでは、試験直前の3か月でつかんだコツを中心に紹介したいと思います。
 
まず、論述試験対策として実施したのは、過去問(第19回から第22回)、リカレント直前練習問題(2問)、「キャリアコンサルタント 実技試験(面接・論述) 実践テキスト」の中にある2問、リカレント模試の1回分と、合計8問のみで対策を講じました。最初のうちは一つひとつ問題を解き、回答解説を読みながらニュアンスをつかみ、次の新しい問題へという形で進むようにしたのですが、正直なところ、次から次へと問題を解いても、得点が上がるようなコツはつかめませんでした。つかみどころのない状態だったので、8つ実施した時点で、それ以上の新しい問題にはチャレンジしないと決め、8つの問題の復習と分析に力を入れるようにしました。
 
具体的には、JCDA論述試験問題の4つの問いに対して、それぞれの傾向に合わせた回答のテンプレートをつくり、一定の文字数で記入することができるように、できる限り、頭で考える部分を減らすように心がけました。以下、どのような方針で事前準備を行ったのかを紹介します。
 
1.    基本的な考え方
 
まずJCDAの問題は逐語録が共通部分から始まり、途中から枝分かれし、枝分かれした後の前半が「相応しくない事例」、後半が「相応しい事例」として分類されます(ただし、問2では、それぞれのやりとりの一部が取り出され、相応しいか、相応しくないかをまずは判断することになっているので、本当に前半が相応しくない、後半が相応しいと、しっかりと言えるかどうか確認することが必要です)。
 
この前提で、問1から問4までの4問に既述形式で回答しなければいけません。論述問題はすべての記述を50分で終えなければいけないのですが、途中で修正すると、消しゴムを使い該当部分を消して、再度書き直さなければいけないこともあります。この手間は予想以上の時間がかかるので、相当慎重に記述を進める必要があります。そのため、4つの問題を分析しながら、まずは時間配分をはっきりさせるということを考えました。
逐語録を読んでみると約5分かかったので、その前提でまずは以下のように配分を決めました。
 
1)  逐語録を読む(5分)
2) 問1(10分)→配点は15点
3) 問2(5分)→配点は10点
4) 問3(10分)→配点は10点
5) 問4(10分)→配点は15点
6) 見直し(10分)
 
この配分で、問4まで合計40分になりますので、残りの10分を全体見直しに使うという計画です。この配分で、回答記述を進めるために、自分なりのテンプレートを作成し、それを使ってシナリオで書いていくことは非常に有効な手段でした。
 
さらに配点は問1、問4が15点、問2、問3がそれぞれ10点となっているが、問2は問1の中に含まれる一部を取り出していることからセットとして25点、問3と問4は、問3でキャリアコンサルタントが考えた相談者の問題に対して、問4でその後の展開を考えるということでセットとして25点になるので、<問1と問2>、<問3と問4>の前半・後半で同じ配点比率になっており、セットで考えると時間短縮につながります。
 
まず、<問1と問2>で注意すべき点は、既述のように問2の時間を5分としていますが、問1を解く段階で問2の回答もあらかじめぼんやりでいいのでイメージしておくことが重要です。または、もしそれが難しいとしても問2自体はかなり回答形式が一律的で、直前・直後の逐語録に注目すれば比較的容易に解けるので、回答パターンをしっかり覚えておくことで回答時間を短縮できます。
 
また、問1を説く際に重要なことは、指定語句の扱いになります。JCDAの試験では問1は基本的に5つの語句が指定され、その語句を使用して回答を作成していくことが求められます。そのため、逐語録を読みながら、どのような回答を作成すべきか、その中でどの語句をどこで使用するのかを考えながら読むことが必要になります。
 
また、<問3と問4>で注意すべき点は、問3で認識した相談者の問題の特定を正確に行い、その問題に対する回答を導き出すようなカウンセリングをその後実施していくという流れにしなければいけないということです。この二つの問いの回答が問題と解決策という「対」になっているという点が重要で、問3で問題点の指摘を外すと自動的に問4まで影響してしまうというリスクがあるという点を押さえておく必要があります。特に問3は15点と配点が高いので、キャリアコンサルタントが見立てる問題の特定が重要であることを示しています。
 
最後に、基本的なことですが、JCDAの回答欄は鉛筆で書いているとあっという間に埋まってしまいます。なので、読める範囲で、できる限り小さな文字で書いていくとよいでしょう。また、間違えた場合は1行丸ごと消しゴムで消すということもあり得ますので、適度な筆圧で記入することをおすすめします。
 
2.   設問の確認の回答時のポイント
 
まず、第23回試験の各問いについて確認します。まず基本的なことですが、回答というのは質問に沿ったものでなければ意味を持たないので、質問内容は正確に把握しておく必要があります。ただこれは傾向が変わらない限り変更しないので、試験の前にしっかりと確認しておけば、それだけでも時間が短縮されます。
 
また、全体を通じて、回答の根拠を示す必要があるため、できる限り逐語録の言葉を使用しながら説明していくという点が重要になる点は注意が必要です。問いにより、相談者の話した内容を使用するのか、キャリアコンサルタントが話した内容を使用するのかがことなりますので、この点も押さえておいてください。
 
[問1]
事例ⅠとⅡはキャリアコンサルタントの対応の違いにより展開が変わっている。事例ⅠとⅡの違いを下記の 5 つの語句(指定語句)を使用して解答欄に記述せよ(同じ語句を何度使用しても可。また語句の使用順は自由。解答用紙に記述する際には、使用した指定語句の下に必ずアンダーラインを引くこと)。(15 点)
 
指定語句
励まし(もしくは励ます)   助言   問題解決   内省   客観視
 
既述のように問1のポイントは指定語句をどのように使用するかということになります。ただ問1にはもう一つ重要なポイントがあります。それは、展開の違いを説明する際に、根拠として相談者のコメントを使用するという点です。「キャリアコンサルタントの対応の違いにより展開が変わっている」ということを示すことが求められているので、対応の違いにより相談者側にどのような反応の違いがあるかを示す(相談者の発言内容を利用する)ことにより、より説得力のある展開の違いが説明できます。
 
[問2]
事例Ⅰの CCt10 と事例Ⅱの CCt10 のキャリアコンサルタントの応答が、相応しいか、相応しくないかを考え、「相応しい」あるいは「相応しくない」のいずれかに○をつけ、その理由も解答欄に記述せよ。(10 点)
 
問2は、まず、事例Ⅰが「相応しくない事例」、事例Ⅱが「相応しい事例」ということを回答することになります。ただこの順番を入れ替えて問題を作成することは容易なので中身をしっかり読み判断します。
また、相応しいか相応しくないかを、相談者の反応により回答するのが望ましいため、下線部のキャリアコンサルタントのコメント前後の発言や感情の動きがポイントとなります。
 
[問3]
全体の相談者の語りを通して、キャリアコンサルタントとして、あなたの考える相談者の問題と思われる点を、具体的な例をあげて解答欄に記述せよ。(15 点)
 
問3のポイントは、「キャリアコンサルタントが考える相談者の問題」ですので、CLの発言をうまく使用しながら、基本的には、4つのポイントを問題の枠組みとして考えることが重要です。4つの枠組みとは、①自己理解不足、②仕事理解不足、③コミュニケーション不足、④思い込み。ただし、この4つの枠組みを使い、相談者個人の内容に掘り下げた表現を使用することが望ましく、できれば問題はふたつ指摘するのがよいと思います。
 
[問4]
事例Ⅱのやりとりの後、あなたならどのようなやりとりを面談で展開していくか、その理由も含めて具体的に解答欄に記述せよ。(10 点)
 
問4のポイントは、問3で掲げたふたつの問題に対する展開を記載することです。問3と問4はセットになっているので、問3のふたつの問題に対して、問4でそれに対応したふたつの問題の今後の展開(解決策を相談者が自律的に見出せるように支援すること)を記載します。回答の中に、かかわり行動を示すような表現や、相談者が自分自身で決めるような配慮が伝わるような表現があると望ましいです。

今後、問1~問4の解き方を個別に解説します。

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