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国家資格 キャリアコンサルタント試験体験&試験対策(JCDA 第23回受験) 12. JCDA論述・面接試験対策 7 (ロープレ試験)

ここからは面接試験の対策を記載します。キャリアコンサルタント試験の中では、最も苦戦した領域でしたが、悩んだだけのことはあり、直前の追い込みでかなり自分の中でコツのようなものがつかめるようになりました。試験を受けた後も現在の業務の中で最も役立っている領域です。
 
本番でのロープレがあるため、いろいろな不安要素はあると思いますが、勉強を方法を以下に記載します。
 
まず、面接試験の対策は、自分自身が、養成講座の対面クラスの中で、十分教えてもらうことができ、ロープレもこなせるという考え方を持っていたのが大きな間違いでした。したがって15回の対面クラスが終了した後に合格点が見込めるまでもっていくのが非常に大変でした。実際にロープレで活用させていただいたのは、記述のキャリコンスタディの無料ロープレ、少人数ロープレ、個別ロープレでした。ただ当初は毎回つかみどころがなく、ただ回数を重ねるだけでは全く身につかないと実感し、以下のような勉強法を取り入れていきました。
 
まず、キャリアコンサルタントの発言を分析することから始めました。具体的には、論述試験の3回程度の過去問、養成講座の模試、対策本の中にある問題の逐語録部分をすべてEXCELに転記しました。やり方としては、左の枠に相談者の発言内容、右側の枠にキャリアコンサルタントの発言内容を記入し、左右で「対」になるような表を作成しました。何度も左右を読み返すことでそのパターンを頭に入れると同時に、左だけを読んで自分がどのような質問をするかを考え、自分で質問などを考える訓練を試験前は何度も行いました。

その上で、相談者の発言に対して、キャリアコンサルタントがどのように反応し、どのような質問をしているかを細かく分析しました。その結果、一種の法則性があることがわかり、自分の中で、質疑の基本パターンを作成し、それを軸にロープレを実施するようにしました。

例えば、養成講座では、「伝え返し」という手法を勉強するのですが、これは、相手が言ったことを繰り返す手法です。対面クラスの中では、「伝え返しだけで15分の面接試験を実施するくらいでもいい」という説明もあったように記憶しています。ただ、相手の言ったことをすべて伝え返すのはそもそも無理ですし、冗長に言ったことを繰り返すことにはあまり意味がないと感じていました。実際の逐語録を分析してみると、勉強した伝え返しをあまり行っておらず、長く話す人でも特に最後の方で話をした内容を繰り返す、気になるキーワードを繰り返す程度しかしていないことに気づきました。実際に、ロープレでそれを実施してみると、やりとりはそれで十分ですし、かえって暗記する労力がなくなり、相談者の話をよく聞けるようになりました。それよりも、どのような部分に焦点を当てて相談者に向き合うのかが重要であることを再認識しました。

この話は、一例ですが、以下のようなことを原則とすることで、途中からのロープレのスキルも飛躍的に上がったように感じています。
 
【面接試験に臨むに当たり頭に入れたこと】
 
1.    話を聞く姿勢
 
1)    相手の話に対して肩入れせずにフラットに内容を聞くこと⇒聞くことに集中すること
2)    どこにも持っていけないような思いを話してもらい、オープン質問で深堀する
3)    話し終わるまでしっかりと聞くことと、発言の前に少し間をつくること(先走っていたり、即反応したりと思われないようにするため)
4)    CLの話し方よりも少し遅いペースを意識すること
5)    思う存分話してもらう場をつくること、80%程度相談者が話すことが望ましい(自分自身が解決策を主体的に探していくということになるとステップ・バイ・ステップで行くしかなく、そもそもキャリアコンサルタント視点での具体的解決策を提示してもカウンセリングにはならない確率が高いため)
 
2.   話を聞く上でのプロセス
 
1)    カウンセリングの基本形を確立する。
 
まず相談者が、来談目的をいうので、その内容を把握する(例:「現在、55歳で定年をあと数年で迎える中で、これから先のキャリアが見通せず、相談に来ました」)
 
⇒その上で、簡単に伝え返した上で、そのように考えるようになったきっかけ(経験)などを確認する(例:「今55歳で定年まであと数年でこの策のキャリアが心配になり来談されたのですね。何かそのように考えるきっかけがあったのですか?」、「何かあったのですか?」など)
 
⇒相談者は自分がそう考えるきっかけとなる経験を話してきますので、その場合はその経験を通してどのように感じたのかを質問する(例:「〇〇の経験があったのですね。その時にはどのように感じましたか?」
 
⇒相談者はその時に気持ち(感情)を話してきますので、まずはそれを受け止め、そのように感じた理由を聞く(例:「どうしてそのように感じたのですか?」
 
⇒さらに相談者は相談者なりの理由を話してくるので、そこでその思いを受け止める(例:「それでそのように感じられたのですね」
 
<ここまででも相談者とキャリアコンサルタントの間で4往復程度のやりとりがなされます。徐々に感情に話が移ってくるので、私の経験では少しずつ話が長くなる傾向があります。ここまでくるとあとは少し間を置くことで相談者が自然に話し始めることもありますし、今までのやりとりの簡単な要約、伝え返しをすることで、さらに相談者が別の話をするようになることもあります。また場合によっては以下のようなやりとりでさらには話を続けることも可能です。ここまでくると話の流れに乗る(自らの関心に引っ張られないこと)が重要です>
 
⇒相談者にとっては比較的深い思い/悩みを話している状況でもあるので、ここでその話を他の人に相談したことがあるかを聞いてみる(例:「今までのお話はどなたか周りの人に相談したり話したりしたことはありますか?」
 
⇒相談者が誰かに話した場合には、話した前提での展開(例1)、話していなければ話していない前提(例2)で話を進める(例1 話した場合:「その方に話をされてどのような気分になられましたか?」、「その方に話して何か感情のようなものがありましたか?」など、例2 話さなかった場合:「何か話せないと考えた理由があったのですか」、「今後話す予定はありますですか?」など
 
簡単にまとめると質問としては以下のような流れになります。
 
「何かあったのですか?(経験)」⇒「どう感じましたか?(感情)」⇒「どうしてそのように感じたのですか?(理由)」⇒それでそのように感じたのですね?(理解を示す)」⇒(伝え返し)⇒新たな展開へ
 
このやりとりを基本にカウンセリングのやり方を変更したところ、相手の話についていくとはどういうことか、ということが少し理解できたように感じました。つまり、相手の話す内容を、経験面、感情面、その理由面で聞いていくことで、結果として相談者が話している内容から離れることなく、一つの話題から展開した話を多面的に話してもらっているという感覚を経験できました。
 
すべて上記1)を基本的な形とした上で、以下のような場面での展開も可能になります。
 
2)    時間軸の掘り下げを行う。
 
ある感情を相談者が示した場合、時間軸での変化を聞いてみる(例:「その感情はいつから始まっているのですか?」、「その感情はいつから続いているのですか?」など)
 
⇒その時間軸での心の変化に寄り添いながら感情を聞いていく(例:「そんなに長い期間その感情をお持ちなのですね。その間の心の変化のプロセスを差し支えなければ詳しく反していただけませんか?」など)
 
⇒一定期間の心の変化はひとつではないことが多いので、何か話の中で、感情が揺れたところや少しでも変化があった場合、その経験を聞いてみる(例:「その時に何か心の変化が生じるきっかけとなる経験があったのですか?」など)
 
⇒ここで経験を聞ければ1)の展開に戻れるので、基本形を繰り返しことになります。
 
3)    誰かに話をするかしないかを確認する。
 
まずは話し相手がいるかどうかを確認する(例:「どなたかその話ができそうな方はいますか?」、「その気持ちをどなたかに話されたりしましたか?」
 
⇒もし話をしているのであれば、その経験を聞く(例:「それはどんなやりとりだったんですか?」
 
⇒そのやりとりの間に感じたこと(感情)を聞く(例:「そのやりとりを通じてどのように感じましたか?」
 
⇒ここで感情を聞ければ、1)の展開に戻れるので、基本形を繰り返しことになります。
 
⇒相手がいる場合には、最後に相談者に相手から見たイメージを考えてもらうことも有効です(例:「話をされた方はどのような反応でしたか?」、「話をされた方はどのように思われたと感じていますか?」
 
⇒さらに相手の反応や考え方に対して自問自答してもらう(例:「相手の方の反応や発言内容を考えてみて、改めて、ご自身はどのように感じましたか?」
 
⇒あとはそこを深堀する(例:「そのように感じたのですね」<単なる伝え返しで反応を待つ>、「なぜそのように感じたのですか?」など)
 
4)    相談者の中のギャップについての深堀をする。
 
相談者の理想の姿、または経験から認識している理想の姿が出てきたときに、伝え返しをした上で、現在の状況を確認する(例:「それが今の理想の管理職像なのですね?」、「過去の上司のイメージが管理職像につながっているのですね?」などの後に「それに対して今の状態はどのようなものですか?」
 
⇒相談者の今の状態の話が聞いた後にそのギャップについて、オープン質問をしてみる(例:「イメージされている管理職像と今のあなたの状態はかなりギャップがあるように見受けられますが、ご自身の中では、そのギャップはどのようにつながっているのですか?」、「そのギャップをどのように認識されているのですか?」、「理想の姿と現実のギャップを改めて認識し、今、何か気づいたことはありますか?」など)
 
相談者と話をしていると、さまざまな場面で相談者からギャップを感じられる場合があります。上記例のようにポジションに対する理想と現実もあれば、理想的には自分自身のこう生きたいと思っている自分と実際はそう生きられていない自分との間のギャップ、こう考えるべきだが、そうは簡単に考えられないことのギャップなどさまざまです。経験上、「ココにギャップがある」とキャリアコンサルタントが認識したときには、思い切ってオープン質問で「その二つはあなたの中でどのようにつながっているのですか」と聞いてみるのが良いのではないかと考えます。必ずしもギャップを埋めて答えを出すことが目的ではないので、それも含めて相談者に丸投げし、考えてもらい、自分自身の回答を引き出すイメージです。自分自身でつながりを見つける作業の中で相談者自身が新たな気づきを得るイメージを私は強く持っています。
 
5)    まずは相談者に話をさせる。
 
仮にシナリオをつくり準備したとしても、面接試験中ではやはり詰まってしまうという心配が常に頭から離れません。そのような場合は、以下の進め方が状況を打開してくれます。
①     「そうなんですね」、「そういうことなんですね」という返しで、じっくりと聞いた話を受け止めているような雰囲気を醸し出す。
②     今まで話したことを簡単に要約したり、伝え返したりする。このときの注意事項は急いでいるイメージや困っているイメージを相談者に与えないこと。ゆっくり話すことがポイント。
③     既に基本形の説明はしているものの自分なりのパターンをできる限りオープン質問で以下のように決めておく。ただこれは、困ったときの緊急避難的な内容になっています。
   相談者が不安な気持ちを持っている⇒どんなことが不安なんですか?
   相談者が迷っている状態⇒どのようなことで迷っているのですか?
   相談者のやる気がない⇒今はどんな状態なんですか?、理想の状態とのギャップがあるのは何が原因だと思われているのですか?
   転職したい、会社を辞めたい⇒何があったのですか?
   自信がなくなった⇒何か自信を失うきっかけがあったんですか?

 
6)    伝え返しは、やり過ぎないこと。
 
私は受講した養成講座での経験の中で、伝え返しについては、その効用を確かに実感したのですが、一方で、相談者が話した内容をすべて伝え返しすべきという誤解を持つ人も多かったと認識しているので、その点について、少し感じていることを記載します。
 
繰り返しになりますが、伝え返しは、相談者が自分の話した内容を確認できる、相談者に対してキャリアコンサルタントが話をよく聞いているという印象を持ってもらうという意味で、信頼関係の構築に大いに役立ちます。ただ、相談者の中には冗長に話をする方も散見されるため、その内容の暗記に集中しすぎると、途中から頭のメモリーがいっぱいになり、結果的に話を聞いていないということにつながります。
 
試験問題の逐語録などを見てみると、話の最後の語尾のみ伝え返したり、簡単に要約する例も多くみられたりすることに気づき、実際のロープレ場面ででそれを試してみると、自分の中で今まで感じていた違和感がなくなり、暗記するというプレッシャーがなくなったことでかえって、相手の話をよく聞いている自分がいることに気づきました。手法の理解、効果を知るという意味で伝え返しは有効であることを養成講座などで認識することはよいですが、実際の面談の場面では、「ほどほどにする」のが良いのではないかと思いました。
  
<添付資料:逐語録やりとり>

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