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「早くしなさい」からの卒業

わかっちゃいるのよ。

 子どもの頃、母親から言われるのが1番イヤだった「早くしなさい」。これだけは自分が親になった時に言うまい、と思っていたけどやっぱり口にしちゃうものですね。子どものペースは大事にしてあげたい。でも、生活リズム(大半は親の生活ペース)を考えると、どうしても時間が最優先。子どもの成長に不可欠な好奇心の翼をしょっちゅう折りまくっています。

 たまには、子どものペースにとことん付き合ってみようと、大好きな電車とバスに乗って出かけることにしました。目的地は、車で30分ほど離れた私の実家。コースは、市内の循環バス→最寄りの駅へ→電車→徒歩のトータル約1時間の予定。

 まるで「はじめてのおつかい」のように、お気に入りのリュックにおもちゃを詰め込み、いざ出発。まぁ、覚悟はしていたものの、のっけから電柱でかくれんぼがはじまり、1歩進めば側溝に小石をin。それに、「これなに?」「どうして?」のたびに足が止まるので、自宅から800メートル離れたバス停にたどり着くのに、すでに40分が経過していました。

 かなり余裕を持って出発したものの、駅に着いた時には発車時刻の10分前。思った以上のスローペースに、自分の思いつきの甘さを後悔したのでした。電車が動きだしふと横を見ると、初めて体験する電車のスピードに少し緊張気味の息子と、歩き疲れてウトウトと眠る娘。自宅を出発してから、すでに2時間。そういえば、どちらも「疲れた」「抱っこして」と言わなかったな…。なんだ、もう抱っこをしなくても、こんなに遠くまで歩けるんだね。

 到着した駅のホームで、「おしごとがんばってね」と電車に手を振り続ける2人の後ろ姿が朝よりもたくましく見えたのは、親バカだからでしょうか?

 生活の中に、時短や効率を求めることは必要だけど、子育てはまた別の時間軸。階段を慌てず一歩ずつ登って行けるように、そっと見守ってあげよう…と、穏やかな気持ちを取り戻した。

 はずだったのですが、帰り道、バス停に向かう道すがら、「早くあるいてよ!」を連呼しておりました。穏やかな母への道は、まだまだ遠いようです。

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