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おしゃれ生活がしたい

おしゃれな生活に憧れた新婚時代。温かみのあるウッディな家具と、さりげなく飾られた季節の花。統一感のある食器、耳に優しいBGM。理想はカフェのような心地よい空間。日常の中の非日常を目指し、子どもが生まれてからも、極力モノを増やさず、すっきりとした空間を目指していました。

あれから5年。日々、痛感しています。中世ヨーロッパのご婦人たちが、ウエストを細くするために気絶覚悟でコルセットを巻きつけていたように、おしゃれ生活には覚悟と努力が必要なことを。まるで空き巣被害にあったかのように散乱するおもちゃ。「お茶が甘くなる」「ご飯がおいしくなる」と徐々に増えていくパンたちが集い笑う元気100倍なプラスチック食器。あぁ、おしゃれよ。おしゃれはいずこへ…。

せめてと目につくものだけはお気に入りのグッズをと並べた北欧柄のランチョンマット。案の定、引っ張りますよ、皿をONしたまま。たまに、頭にかぶったりして防災頭巾と化していますよ。まさかの2WAY。それならと、ベランダの死角で育て始めた植物たち。おしゃれ領域を守るため、子どもの手が届かない場所へ移動しようと準備したわずかな隙に、土を掘り返されました。「だって、そこに土があるんだもん」と目をキラキラさせてシャベルを持つ娘さん。

おしゃれから「お」がするんと抜けおち、「しゃれ」だけのような暮らし。おしゃれな生活って、一体何なんでしょうか。スッキリした空間がいいって、自己満足だよね。「触るな」「汚すなら」「散らかすな」と伸び伸び遊べない空間じゃ、子どもがかわいそうじゃないの?

うーん、おしゃれと子育ての共存って難しい。家具は傷だらけ、季節ごとの工作や塗り絵がランダムに貼られた壁、兄妹ゲンカとアニソンがBGMだけど、子どもたちの笑顔と笑い声が空間に響いていればそれでいいじゃない。これからひとつずつ入れ替わって、否が応でも詰め込めない、儚いものばかりなんだから。スリッパの裏に米粒なシールがくっつく現実の中で、おしゃれ生活を目指す旅は続きます。

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