これで肥満はいなくなる

イーライリリーの肥満治療薬「Zepbound™」
Zepbound™(一般名:チルゼパチド)は、肥満または過体重を対象に承認を取得したGIP/GLP-1受容体作動薬です
この薬は、腸から分泌される**グルカゴン様ペプチド-1 (GLP-1)とグルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチド (GIP)**という2種類のホルモンの受容体を活性化し、投与した患者の食欲と食物摂取量を減少させることが確認されています2。
米国では2023年11月に承認され、Zepbound™の製品名で発売されています。日本では開発の後期段階にあり、田辺三菱製薬との販売提携が行われています

患者の体重を最大25%減らすことができる肥満治療薬「Zepbound」がアメリカ食品医薬品局の承認を受ける - GIGAZINE

イーライリリーの肥満治療薬「Zepbound」は、腸から分泌される「グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)」と「グルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチド(GIP)」という2種類のホルモンの受容体を活性化して、投与した患者の食欲と食物摂取量を減少させる薬品です。FDAは2023年11月8日、ボディマス指数(BMI)が30kg/m²を超え、肥満と判定される成人や、BMIが27kg/m²以上で「過体重」と判定された成人に対し、継続的な体重管理のために「Zepbound」の注射による投与を承認しました。肥満もしくは過体重と判断された患者には、4~20週間にわたって週に1度5~15mgのZepboundが注射によって投与されます。また、Zepboundの投与と並行して患者には低カロリー食の摂取と、運動を伴う身体活動の増加が求められます。Zepboundの有効性は、研究チームによる無作為化二重盲検プラセボ試験によって認められています。これらの研究では、週に1回5mg、10mg、15mgのZepboundを投与された合計2519人の患者と、同様にプラセボを投与された958人の72週間後の体重の推移を比較した結果、3つの用量レベル全てで、Zepboundを投与された患者は、プラセボを投与された患者と比較して体重が有意に減少していたことが報告されています。イーライリリーによると、

最高用量でZepboundを服用した患者の3人に1人は、体重の25%以上の減量に成功しているとのこと。

また、肥満は2型糖尿病にも関係していることから、研究チームは糖尿病の有無でそれぞれプラセボ試験を行いました。実験の結果、糖尿病のない成人にZepboundまたはプラセボを投与した場合、Zepboundを投与された患者はプラセボ群と比較して平均18%の体重減少に成功したことが報告されています。同様に、糖尿病を抱えた成人でも実験を行ったところ、Zepboundを投与された患者はプラセボ群と比較して平均で12%体重が減少しました。

FDAの医薬品評価研究センターの糖尿病、脂質障害、肥満部門のディレクターであるジョン・シャレッツ医学博士は「肥満と過体重は、心臓病や脳卒中、糖尿病などのアメリカ人における主要な死因のうちのいくつかにつながる深刻な身体の状態です。アメリカの成人のうち、約70%が肥満または過体重と考えられていることを踏まえると、今回Zepboundが承認されたことは、肥満に対処するという医療分野のニーズに応えるものです」と述べています
FDAによると、適切な食事や運動を行うことで、体重の5~10%を減らすことができると、肥満または過体重と判定された患者の心血管疾患のリスクを低下させることができるとのこと。


一方でFDAは、Zepboundに吐き気や下痢、おう吐、便秘、胃の不快感と痛みなどの副作用があることや、ラットでの実験において甲状腺のC細胞に腫瘍が発生したことなどを報告し、念のため甲状腺がんへの罹患(りかん)歴がある患者や、Zepboundに含まれる有効成分のチルゼパチドにアレルギー反応がある患者には投与してはならないと注意喚起しています。

イーライリリーは11月末から薬局でのZepbound販売を開始する予定で、2023年の年末までに製造能力を約2倍に向上させることを明かしています。また、Zepboundは月額1059.87ドル(約16万円)で販売される予定で、2024年には保険適用の範囲に追加される可能性があることをイーライリリーは報告しています。
https://gigazine.net/news/20231109-obesity-treatment-zepbound/

エドモントン肥満病期分類システム(EOSS)

EOSSは、単にBMIの数値だけでなく、肥満が個人の健康に与える影響をより包括的に評価するために考案されたシステムです。このシステムは、肥満の重症度とその管理を複雑にする要因を効果的に捉える臨床病期策システムとして機能します1。
EOSSは以下の5段階で構成されています:
ステージ0: 健康リスクがない、または最小限の肥満関連リスク。
ステージ1: 肥満に関連するリスク要因があるが、まだ明確な疾患は発症していない。
ステージ2: 肥満によって引き起こされる軽度の疾患が存在する。
ステージ3: 肥満による重度の疾患があり、日常生活に影響を及ぼしている。
ステージ4: 肥満に関連する重篤な疾患があり、生命を脅かす可能性がある。
EOSSは、BMIが同じでも、個々の健康状態や肥満による合併症の有無に応じて、リスクの度合いを異なるステージで示すことができます。例えば、心臓病や糖尿病などの肥満関連疾患のリスクが高い人は、EOSSで高いステージに分類される可能性があります。これにより、医療提供者は患者の健康状態をより正確に評価し、個別化された治療計画を立てることができます。
EOSSは、肥満治療の適切なタイミングや方法を決定する際にも役立つツールとなります。肥満の重症度と関連する健康リスクを考慮することで、患者に最も適した治療法を選択するための指針となります。

EOSS(エドモントン肥満病期分類システム)の各ステージにおける具体的な健康リスクは以下の通りです:
ステージ0: 肥満関連のリスク因子や身体的症状、心理的症状、機能的制限がない状態です
ステージ1: 肥満関連の亜臨床的リスク因子(境界型高血圧、空腹時血糖値の上昇、肝酵素の上昇など)、軽度の身体的症状(中程度の運動時の息切れ、時折の痛み、疲労など)、または軽度の心理的症状や軽度の幸福感の低下がある状態です
ステージ2: 確立された肥満関連の合併症(高血圧、2型糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、多嚢胞性卵巣症候群、関節炎、逆流性食道炎など)があり、医療介入が必要な状態、または中程度の肥満関連の心理的症状(うつ病、摂食障害、不安障害など)、または日常活動における中程度の機能的制限がある状態です
ステージ3: 肥満による重大な臓器への損傷(心筋梗塞、心不全、糖尿病合併症、障害を伴う関節炎など)、または重大な肥満関連の心理的症状(重度のうつ病、自殺念慮など)、または重大な機能的制限(仕事や日常活動ができない、移動能力の低下など)がある状態です
ステージ4: 肥満関連の合併症による重篤な(潜在的に末期の)状態、または重度に障害を伴う心理的症状、または重度の機能的制限がある状態です
EOSSは、肥満の重症度とそれに伴う健康リスクを評価するためのツールであり、患者さん一人ひとりに合わせた治療計画を立てる際の参考になります。

運動は健康を維持し、生活の質を向上させるために非常に重要です。定期的な運動は、以下のような多くの健康効果があるとされています:
体重管理: 運動はエネルギー消費を増やし、体重管理に役立ちます。
心血管系の健康: 心臓病や高血圧のリスクを減らし、全体的な心血管機能を改善します。
血糖値の管理: インスリンの効果を高め、2型糖尿病のリスクを減らします。
精神健康: ストレスを減らし、うつ病や不安を軽減する効果があります。
骨の健康: 骨密度を高め、骨粗しょう症のリスクを減らします。
筋力と柔軟性の向上: 日常生活での機能を向上させ、怪我のリスクを減らします。
具体的な運動の推奨事項としては、週に150分の中強度の有酸素運動、または75分の高強度の有酸素運動、そして週に2日以上の筋力トレーニングを行うことが推奨されています1。運動の種類には、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳、ダンスなどが含まれます。また、筋力トレーニングでは、体の主要な筋群を対象にしたエクササイズが推奨されます。
運動を始める際には、自分の体調や健康状態に合わせて、無理のない範囲で徐々に強度を上げていくことが大切です。また、運動は楽しむことが継続の鍵ですので、自分が楽しめる活動を見つけることも重要です。

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