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量子もつれ 物理的「テレポート」実証される


2023年12 月27日のサイエンスニュースですけれど
量子テレポーテーションさせる技術が実証されたといいます。

過去、シネマや小説にあったSFは、少し離れた現実世界なんだろなあ、という思いが加速度的に増します。


2023年12月27日 12時45分サイエンス

量子もつれを利用して物理的に情報を送信することなく画像を「テレポート」させる手法を研究者らが実証

長距離の量子通信は情報セキュリティにおいて重要であり、すでに衛星を用いた長距離間で実証されていますが、これまでは2次元を超える高次元状態の通信に課題がありました。新たに南アフリカ・ドイツ・スペインの国際研究チームが、量子通信において送信できる情報の次元を増やし、物理的に情報を送信することなく画像を「テレポート」させる技術を実証しました。

量子テレポーテーションとは、2つの粒子が強い相互関係を持つ量子もつれの効果を利用し、量子状態を遠く離れた場所まで転送するという技術です。量子テレポーテーションについては、以下の記事を読むとよくわかります。

量子テレポーテーションは将来の量子ネットワークにおける重要なリソースであり、高次元で量子テレポーテーションが実現すれば、情報容量の増加とノイズに対する回復力の向上が期待できます。しかし、これまでの進歩は限定的だったとのこと。

新たに南アフリカのウィットウォーターズランド大学やスペインの光科学研究所(ICFO)の研究チームは、量子もつれの状態にある2つの光子だけで高次元状態を量子トランスポートする実験を行いました。

今回の実験では、追加の光子を使わずに高次元の空間情報を転送するため、非線形光学検出器を用いました。そのおかげで、新たな検出法によって光子の角運動量を測定し、量子状態でテレポートできる次元の数を増やすことができたとのこと。実験の結果、光子の高次元情報が送り手から受け手に「テレポート」しているように見えることが実証されました。送信できる情報が高次元になることで、アルファベットや画像などより多くの情報を量子テレポーテーション可能になります。

以下の図は、今回実証された量子通信プロトコルを実用化する事例を示したもの。顧客が銀行に指紋などの機密情報を送信したい場合、従来の量子通信では顧客が物理的に情報を送信する必要があり、たとえセキュリティで保護されていても傍受されるリスクがありました。しかし、新たに提案された高次元の量子テレポーテーションを利用した仕組みでは、銀行が情報を持たない量子もつれ状態の光子を1つ顧客に送信し、顧客が非線形光学検出器上で送信する情報と重ね合わせます。すると、情報はあたかもテレポートされたかのように銀行が持つ光子に表示され、両者の間で物理的な情報を送信せずに画像などを伝達することができるとのことです。

ウィットウォーターズランド大学の物理学者であるアンドリュー・フォーブス氏は、「従来は量子の領域であっても、通信相手が一方から他方へ情報を物理的に送信していました。今では、情報をテレポートさせることが可能で、物理的な接続で情報が横断することはありません。SFドラマ『スター・トレック』の技術が現実のものとなったのです」と述べています。

プロジェクトリーダーの1人であるICFOのアダム・バレス氏は、「このプロセスの実現可能性を示すこの実験が、完全な量子実装に向けた限界を押し広げ、非線形光学コミュニティのさらなる進歩の動機になることを願っています」とコメントしました。

量子もつれを利用して物理的に情報を送信することなく画像を「テレポート」させる手法を研究者らが実証 - GIGAZINE


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