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MCU 比類なき映画スタジオの驚異的〔マーベル〕な逆転物語


「一番いいアイデアが勝つ」

圧倒的な創造性と、常識にとらわれない発想を武器に世界中を魅了する「宇宙〔ユニバース〕」を創り出した史上最大のエンターテインメント企業、マーベル・スタジオ。
関係者たちへの取材によって、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の知られざる歴史がついに明かされる。

失敗と破滅と破産から、マーベル・スタジオは始まった――

自社キャラクターの権利を抵当に入れて融資を受け、絶対に失敗することができない状況の中で制作された『アイアンマン』。

主役は、それまでのキャリアで「ほぼ完璧な商業的失敗記録」を更新し、薬物乱用者としてハリウッドの問題人物として知られていたロバート・ダウニー・Jr。
しかもアイアンマンは、マーベルのキャラクターの中でも一般的な認知度が低く、「二軍」扱いだった。

マーベル・スタジオの未来はこの1本にかかっていた。

2008年に公開された『アイアンマン』は世界的な大ヒットを記録。
マーベル・スタジオが、負けの許されない懸けの連続に勝利した瞬間だった。
いまや、マーベル・スタジオ製作の映画やテレビ・シリーズは世界のポップ・カルチャーを席巻し、史上最も成功したフランチャイズとなっている。

本書は、1970年代のマーベル初期映像作品、そしてスタン・リーが立ち上げた「マーベル・プロダクション」の失敗やトイ・ビズによるマーベル・コミックの買収など、マーベル・スタジオ設立前史から、『アイアンマン』以降のマーベル・シネマティック・ユニバースの成功、そしてディズニープラスでの新展開まで余すところなく記述している。

ケヴィン・ファイギ、ボブ・アイガー、ロバート・ダウニー・Jr、ジェームズ・ガンをなど、MCUを取り巻く主要人物へのインタビューを収録するとともに、プロデューサー、脚本家、アーティスト、キャスティング担当者などMCUを支える多くのスタッフの声を記録し、ニコール・パールマンやヴィクトリア・アロンソなどMCUに多大な貢献をしながらもこれまであまり知られることのなかった人物についてもスポットライトを当てている。

本書はマーベル・スタジオ年代記の決定版であると同時に、監督・俳優の降板や多様性や新展開への無理解、創造性〔クリエイティヴィティ〕と経営〔ビジネス〕の対立、パンデミックによる製作・公開の停止などあらゆる困難を乗り越え、IPビジネスとストリーミングで世界有数のエンターテイメント企業となった新興スタジオの戦いの物語でもある。

「正史」では決して語られることのない、「真の」MCU年代記がここに。
世界中のマーベルファン、MCUファンを納得させたベストセラーが待望の邦訳!


本書で明かされるエピソードの(ごく)一部
・『アイアンマン』の主演はトム・クルーズだった?
・MCU最初のイースター・エッグ〔何らかの関連性または参照性を持つ小ネタ〕は?
・スタン・リーのカメオ出演と並んでMCUのトレードマークとなったポストクレジット・シーン誕生のきっかけは?
・『インクレディブル・ハルク』主演のエドワード・ノートンが「面倒くさい野郎」判定された理由とは?
・サミュエル・L・ジャクソンがニック・フューリー役にキャスティングされる理由となったコミックスの存在
・ローズ中佐役がテレンス・ハワードからドン・チードルに変更した理由
・エドガー・ライトが「作品に対する見解の違いにより」『アントマン』の監督を降板した舞台裏
・『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の脚本クレジットに関するニコール・パールマンとジェームズ・ガンの確執
・「スモール・フェイセス〔Small Faces〕」という暗号名で呼ばれ、もう少しで実現するところだった映画『ランナウェイズ』の存在
・中国市場に参入するために『アイアンマン3』はいかに根本的な変化を迫られたか
・MCUを支えるVFX企業の戦いと労働問題
・2014年がマーベル・スタジオ史上最も重要な年である理由
・スパイダーマンの権利をめぐるマーベルとソニーの関係
・ジョス・ウェドンはいかにしてケヴィン・ファイギより大きな権力を持つようになったのか?
・ボブ・チャペック(当時ディズニーCEO)が巻き起こした混乱とフェーズ4の失敗

目次
PROLOGUE はじまりの物語[オリジン・ストーリー]

PHASE0
CHAPTER 1 フェニックス・サーガ
CHAPTER 2 恵まれし子ら
CHAPTER 3 昔々、マール・ア・ラーゴで

PHASE 1
CHAPTER 4 もっともらしさ
CHAPTER 5 概念実証
CHAPTER 6 ポストクレジット・シーン
CHAPTER 7 とんでもないレベルの毒性
CHAPTER 8 一部組立[アッセンブリー]が必要です
CHAPTER 9 酒瓶の中の悪魔
CHAPTER 10 自由ってやつは楽しいもんだぜ
CHAPTER 11 クリスというブランド
CHAPTER 12 ランナウェイズ
CHAPTER 13 地球最強のヒーロー

PHASE 2
CHAPTER 14 ハウス・オブ・M
CHAPTER 15 禁じられた都
CHAPTER 16 遠隔操作
CHAPTER 17 左から失礼
CHAPTER 18 ボクらはグルート
CHAPTER 19 ナターシャはどこ?
CHAPTER 20 マーベル・スタジオVSクリエイティヴ委員会
CHAPTER 21 最高の監督、最悪のタイミング

PHASE 3
CHAPTER 22 もつれるクモの糸
CHAPTER 23 新国王に栄光あれ
CHAPTER 24 より高く、より遠く、より速く
CHAPTER 25 指パッチン

PHASE 4
CHAPTER 26 マーベルのない1年
CHAPTER 27 なんでもできます課
CHAPTER 28 K.E.V.I.N.
CHAPTER 29 クローン・サーガ
CHAPTER 30 マルチバースへ

EPILOGUE まだ残っているもの

謝辞
訳者あとがき

📖本の内容の要約

『MCU 比類なき映画スタジオの驚異的〔マーベル〕な逆転物語』は、世界的なエンターテインメント現象となったマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の誕生と発展の裏側を詳述する一冊です。著者のジョアンナ・ロビンソンと共著者2名は、数々のインタビューや関係者からの証言を基に、MCUがどのようにして映画業界の巨人に成長したかを解き明かしています。

本書は、マーベル・スタジオが如何にして複数の破産の危機を乗り越え、映画界で圧倒的な成功を収めるに至ったか、その過程を細かく描いています。特に、2008年の『アイアンマン』の成功がいかにして全ての始まりとなったのか、その制作過程の詳細が掘り下げられています。この作品は、スタジオにとって最初の完全自主制作映画であり、そのリスクと報酬がいかに莫大であったかが語られています。ロバート・ダウニー・Jr.のキャスティングも、リスクの一つでしたが、その選択が後の成功にどれほど寄与したかが解説されています。

また、MCUの成功の背後には、ケヴィン・ファイギという一人のプロデューサーの存在が不可欠であったことが強調されています。彼のビジョンと戦略的な思考が、単なるスーパーヒーロー映画の枠を超えて、これほどまでの規模のフランチャイズを生み出すための礎となったのです。ファイギは、キャラクターやストーリーラインの綿密な計画を立て、それを長期にわたって展開することで、観客の期待と興奮を維持することに成功しました。

さらに、本書は各フェーズの作品についても詳細に分析しています。フェーズ1からフェーズ3までの間で、いかにしてMCUが成長し続け、新たなキャラクターを導入し、複雑なストーリーアークを展開していったのかが、エピソードごとに分かりやすく説明されています。特に、フェーズ3の『アベンジャーズ/エンドゲーム』に至るまでのプロセスは、そのキャラクターの成長や物語の進展に対する深い理解を提供しています。

また、本書はMCUの映画が持つ文化的・社会的な影響についても触れています。これらの作品が単なる娯楽にとどまらず、社会的なメッセージを含むことによって、いかにして多様な視点を取り入れ、観客に影響を与えているかを探ります。例えば、『ブラックパンサー』がアフリカ系アメリカ人のヒーロー像をどのように描き出し、映画産業全体における多様性の重要性を強調したかについても深く考察されています。

最後に、マーベル・スタジオの未来についても議論がなされています。フェーズ4以降の計画と、ディズニーとの関係性が今後の展開にどのように影響を与えるのか、またファイギのビジョンがどのように進化していくのかが考察されています。特に、ディズニー・プラスの登場により、MCUがどのようにテレビシリーズを取り入れ、映画とのクロスオーバーを図っているか、その戦略的な意図も探られています。

本の評価

『MCU 比類なき映画スタジオの驚異的〔マーベル〕な逆転物語』は、映画ファンやビジネス戦略に興味を持つ読者にとって非常に価値のある一冊です。マーベル・スタジオがどのようにして経済的成功を収めただけでなく、文化的現象として確立されたのか、その過程を理解するための詳細な洞察を提供しています。

強み 本書の最大の強みは、その綿密なリサーチと豊富なインタビューにあります。著者たちは、MCUの内情について知るべきことを知っている人物たちからの直接的な情報を得ることで、映画スタジオの成長と成功の過程を明確に描き出しています。特に、ケヴィン・ファイギの役割とその影響力についての詳細な記述は、映画制作の裏側にある戦略的思考を理解するための貴重な資料となっています。

また、映画ごとの詳細な分析や、各キャラクターの成長と進化についての考察も、読者にとって大変有益です。これにより、読者は単に映画を楽しむだけでなく、映画が持つ物語性やキャラクターの深さについても理解を深めることができます。さらに、MCUがどのようにして多様な観客層にアピールし続けているのか、そのマーケティング戦略や文化的影響についても掘り下げており、映画産業全体におけるMCUの位置づけを再評価する機会を提供しています。

弱み  : 一方で、本書にはいくつかの弱みもあります。まず、MCUの成功をあまりにも一面的に捉えている点です。著者たちはMCUの成長と成功を称賛する一方で、その裏に潜む問題や批判についてはあまり深く触れていません。例えば、映画が商業的成功を追求するあまり、ストーリーの質が犠牲になっているとの批判や、ディズニーによるフランチャイズ化の影響についての議論が不足しています。

さらに、MCUの成功をあまりにもケヴィン・ファイギ個人のビジョンに依存しているかのような記述も、一部の読者には偏りがあると感じられるかもしれません。実際には、多くのクリエイターや制作スタッフが関わっていることを考えると、ファイギ一人の手腕だけに焦点を当てるのはやや過剰とも言えます。

著者の目的や視点 著者たちの目的は、MCUという現象をただの映画フランチャイズとしてではなく、現代のポップカルチャーにおける一大現象として捉え、その成功の裏にある要因を明らかにすることにあります。その視点から、映画スタジオの経営戦略、クリエイティブな決定、そしてその社会的影響を詳細に分析しています。このようなアプローチは、映画やビジネス、文化の交差点に興味を持つ読者にとって非常に魅力的です。

全体として、『MCU 比類なき映画スタジオの驚異的〔マーベル〕な逆転物語』は、MCUのファンや映画制作に関心を持つ人々にとって必読の書と言えるでしょう。マーベル・シネマティック・ユニバースの背後にある戦略とクリエイティブなプロセスを理解し、その成功の秘密を探る絶好の機会を提供してくれる一冊です。


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