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前書き

この本は、日本と日本人に深い愛情と尊敬を持ち、この国の近代化に尽力したオランダ出身の宣教師グイド・フルベッキの生涯を、豊富な史料に基づいて描いたものです。フルベッキが写っているとされる有名な写真にまつわる謎や陰謀論に惑わされることなく、彼の人間性や業績を客観的に評価しようとする姿勢が感じられます。著者はフルベッキが日本に来るまでに経験した苦難や、日本での活動の中で築いた多くの人脈を、丁寧な取材と分析によって鮮やかに再現しています。この本は研究書でありながら、読みやすい文体で書かれており、フルベッキの魅力に引き込まれます。

この本が今なぜ出版されたのかと考えると、フルベッキの精神に学ぶべきことが多いのではないかと思います。フルベッキは、自分の宗教を押し付けることなく、日本の文化や歴史を尊重し、日本人の友人や教え子と協力して、日本が世界に開かれた近代国家になることを願っていました。彼はヨーロッパやアメリカの文明や知識を日本に伝えるだけでなく、日本の良さや問題点を彼らにも伝える役割も果たしました。私たちは今、フルベッキのように、日本だけでなく世界のことを広く知り、日本の将来について考える必要があるのではないでしょうか。この本は、フルベッキの生き方や思想に触れることで、私たちにそう問いかけてくるように感じます。

📕 book review

この本は、幕末から明治期にかけて日本に滞在し、教育や政治、外交、宗教などの分野で日本の近代化に貢献したオランダ人ギドー・フルベッキの生涯を描いた評伝です。 著者の井上篤夫さんは、作家であり翻訳家でもあります。 フルベッキの生地であるオランダや日本のゆかりの地を取材し、新発見・未公開の資料をもとに、フルベッキの人となりや業績を詳しく紹介しています

日本の近代化に大きな影響を与えたお雇い外国人の一人、ギドー・フルベッキ。 その生涯と業績を描いた本書は、日本英学史学会の豊田實賞を受賞した画期的な評伝である。 著者の井上篤夫さんは、作家であり翻訳家でもあり、フルベッキの生地であるオランダや日本のゆかりの地を取材し、新発見・未公開の資料をもとに、フルベッキの人となりや業績を詳しく紹介している。

本書は、序章から第七章までの七つの章に分かれている。 序章では、フルベッキが写っているとされる有名な「フルベッキ写真」の真相に迫る。 第一章では、フルベッキの出生からアメリカに渡るまでの経歴を追う。 第二章では、フルベッキが日本に来てから幕末までの活動を紹介する。 第三章では、フルベッキが岩倉使節団の立案に関わったことや、アメリカでの生活を描く。 第四章では、フルベッキがお雇い外国人として明治政府に出仕し、国憲第一次草案の起草に協力したことや、日本を去る決断をしたことを説明する。 第五章では、フルベッキが聖書翻訳に取り組んだことや、その文語訳が日本の文学に与えた影響を分析する。 第六章では、フルベッキが伝道者としての役割を果たし、日本の宗教に対する見解を述べたことや、最期の日々を描く。 第七章では、フルベッキの家族や子孫の思い出や、フルベッキが遺したものを紹介する。

本書の評価として、以下の三点を挙げることができる。 まず、フルベッキの多面的な人物像を浮き彫りにしたことである。 フルベッキは、教育者、政治家、外交官、宣教師、翻訳家、伝道者など、様々な役割を果たした。 その中で、彼は日本の文化や歴史に深い関心と敬意を持ち、日本人との交流を重視した。 また、彼は自らの信念に基づいて行動し、時には日本政府と対立することもあった。 本書では、フルベッキの思想や感情、動機などを、彼自身の手紙や日記、著作などを引用しながら、丁寧に解説している。 これによって、フルベッキの内面や人間性がより鮮明になったと言える。

次に、フルベッキの業績を客観的に評価し、その意義や影響を明らかにしたことである。 フルベッキは、日本の近代化に大きな貢献をした人物であるが、その評価は必ずしも一様ではない。 例えば、国憲第一次草案は、フルベッキが基本的人権を盛り込んだことで、日本の民主化に寄与したという見方もあれば、フルベッキが外国人として日本の国情に無理解であったという批判もある。 本書では、フルベッキの業績を、日本だけでなく、オランダやアメリカなどの視点からも分析し、その長所と短所をバランスよく指摘している。 また、フルベッキの業績が、日本の教育や政治、外交、宗教などの分野にどのような影響を与えたかも、具体的な事例やデータを用いて説明している。 これによって、フルベッキの業績の歴史的な意義や現代的な意味を理解することができる。

最後に、フルベッキの人間的な魅力を伝えたことである。 フルベッキは、日本に滞在すること40年間、日本の文化や人々に深く愛着を持ち、日本を自分の第二の故郷と呼ん
んだ。 本書では、フルベッキの日本に対する愛情や感謝、悲しみや苦悩などを、彼の言葉や行動を通して伝えている。 また、フルベッキの家族や友人、教え子や同僚など、彼と関わった人々のエピソードや証言も豊富に紹介している。 これによって、フルベッキの人間的な魅力や、彼が日本人に与えた影響や感動を感じることができる。

私の感想としては、本書は非常に興味深く、感動的な本であったと言える。 フルベッキは、日本の近代化に関わった外国人の中でも、特に重要な人物であると思う。 彼は、日本の文化や歴史に対する深い理解と尊敬を持ち、日本人との対話や協力を重視した。 その結果、彼は日本の教育や政治、外交、宗教などの分野に多大な貢献をした。 しかし、彼は決して日本に迎合することなく、自らの信念に基づいて行動し、時には日本政府と対立することもあった。 その姿勢は、今の日本にも必要なものではないかと思う。 また、彼は日本を自分の第二の故郷と呼び、日本人との絆を大切にした。 その愛情や感謝、悲しみや苦悩などは、本書を読むことで強く伝わってきた。 本書は、フルベッキの人間的な魅力や、彼が日本人に与えた影響や感動を感じることができる本であると思う。

おすすめの理由としては、以下の三点を挙げることができる。 まず、本書は、日本の近代化に関わった外国人の一人であるフルベッキの生涯と業績を、新発見・未公開の資料をもとに、詳しく紹介している。 これは、日本の歴史や文化に興味のある人にとって、貴重な情報源であると言える。 次に、本書は、フルベッキの業績を客観的に評価し、その意義や影響を明らかにしている。 これは、日本の教育や政治、外交、宗教などの分野に関心のある人にとって、参考になる知識であると言える。 最後に、本書は、フルベッキの人間的な魅力を伝えている。 これは、日本とオランダの友好関係や、日本と外国の交流に関心のある人にとって、感動的な物語であると言える。

結びの言葉として、本書は、日本の近代化に大きな影響を与えたお雇い外国人の一人、ギドー・フルベッキの生涯と業績を描いた画期的な評伝である。 本書は、フルベッキの多面的な人物像を浮き彫りにし、彼の業績を客観的に評価し、その意義や影響を明らかにしている。 また、本書は、フルベッキの人間的な魅力を伝えている。 本書は、日本の歴史や文化、教育や政治、外交や宗教などに興味のある人にとって、非常に興味深く、感動的な本であると思う。 本書を読むことで、フルベッキの人となりや業績を理解するだけでなく、彼が日本に与えた影響や感動を感じることができる。 本書は、日本とオランダの友好関係や、日本と外国の交流に関心のある人にとっても、おすすめの本であると言える。 本書を読んで、フルベッキの生涯と業績に触れてみてはいかがでしょうか。

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