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法律事務所のためのChatGPT利活用ガイドブック 仕組みから解き明かすリーガル・プロンプト寺島英輔単行本

今回は法律事務所のためのChatGPT利活用ガイドブック 仕組みから解き明かすリーガル・プロンプトという本の書評をお届けします。

この本は、弁護士や法律事務所のスタッフが、生成AIと呼ばれる最先端の技術を使って、業務の効率化や品質向上を図るためのハンドブックです。生成AIとは、人間の言語を理解し、自動的に文章や音声などを生成することができるAIのことです。その中でも、ChatGPTというサービスは、特に法律分野に特化した生成AIで、法律家による法律家のための指示文入力術(プロンプティング)を徹底解説しています。

この本の著者は、寺島英輔さんと小谷野雅晴さんという、ともに弁護士であり、AIや機械学習に関する法務にも精通している方々です。寺島さんは、東京大学経済学部経済学科卒業、同経営学科卒業で、インテックス法律特許事務所所属の弁護士です。小谷野さんは、中央大学法学部法律学科卒業で、神楽坂総合法律事務所所属の弁護士です。この本では、彼らの豊富な経験と知識をもとに、生成AIの原理と特性、法的問題やリスク、利活用の技法やデモンストレーション、未来への挑戦と展望などを、わかりやすく解説しています。

この本の特徴は、実際に無償版のChatGPTを用いた、プロンプト(質問)と回答のデモンストレーションが多数収録されていることです。プロンプトとは、生成AIに対して、何を生成してほしいかを指示する文章のことです。例えば、契約書の作成やチェック、法律相談、交渉手続、訴訟手続、刑事弁護など、法律事務所における様々な業務において、生成AIにどのようなプロンプトを入力すれば、どのような回答が得られるかを、具体的に見ることができます。また、プロンプトの工夫や改善の方法も紹介されており、生成AIの特性と限界を理解して、安全かつ有効に利活用するためのヒントが満載です。

もちろん、生成AIを利用することによる法的問題やリスクについても、詳細に解説されています。生成AIの利活用と著作権侵害のリスク、個人情報・機密情報漏えいの危険、虚偽情報生成の可能性などについて、具体的な事例や法的根拠を示しながら、注意喚起や対策を提案しています。また、弁護士が負う守秘義務や生成AI開発元やサービス提供元の利用規約・プライバシーポリシーなどについても、留意すべき点を指摘しています。さらに、法律事務所版・生成AI利用ガイドラインひな型も収録されており、法律事務所が生成AIを導入する際の参考になるでしょう。

この本は、法律事務所の業務に生成AIを活用したいと考えている方にとって、非常に有益な一冊です。生成AIの基本と技術から、法的枠組みの中での使用上のポイントまで、幅広くカバーしています。生成AIは、法律実務に革新的な変化をもたらす可能性がありますが、その一方で、様々な課題や危険も伴います。この本を読めば、生成AIのメリットとデメリットを正しく理解し、法律家としての判断力と責任感を持って、生成AIを利活用することができるようになるでしょう。

この本の評価は、星5つ満点中、5つです。この本は、法律事務所のためのChatGPT利活用ガイドブック 仕組みから解き明かすリーガル・プロンプトというタイトルにふさわしく、生成AIの仕組みから利活用までを解き明かしてくれる、まさにガイドブックと言える内容です。法律家にとって、生成AIは敵でも味方でもなく、あくまでツールであるということを忘れずに、この本を参考にして、生成AIの可能性を探ってみてください。

この本には、無償版のChatGPTを用いた、プロンプト(質問)と回答のデモンストレーションが多数収録されています。以下に、いくつかの例を紹介します。

- 契約書の作成
プロンプト:契約書の作成をお願いします。契約の内容は以下の通りです。
- 契約当事者:A社とB社
- 契約の目的:A社がB社に対して、商品Xを販売すること
- 契約期間:2023年1月1日から2023年12月31日まで
- 販売価格:商品Xの単価は10,000円(税別)
- 支払方法:商品Xの納品後30日以内に、B社がA社に対して、銀行振込により全額支払うこと
- 納品方法:A社がB社の指定する場所に商品Xを配送すること
- 返品・交換:商品Xに不良品や破損があった場合、B社はA社に通知し、A社は無償で返品・交換に応じること
- 損害賠償:商品Xの使用により、B社または第三者に損害が発生した場合、A社はその損害について一切の責任を負わないこと
- 契約の解除:契約期間中に、いずれかの当事者が契約に違反した場合、他方の当事者は、書面により催告し、催告後30日以内に改善がない場合、契約を解除することができること

回答:
以下のような契約書が生成されます。

商品販売契約書

この契約書は、A社(以下「甲」という。)とB社(以下「乙」という。)との間で、以下の通り商品販売に関する契約(以下「本契約」という。)を締結するものである。

第1条(契約の目的)
甲は、乙に対して、商品X(以下「本商品」という。)を販売するものとする。

第2条(契約期間)
本契約の期間は、2023年1月1日から2023年12月31日までとする。

第3条(販売価格)
本商品の単価は、10,000円(税別)とする。本商品の総額は、本商品の数量に応じて算定する。

第4条(支払方法)
乙は、本商品の納品後30日以内に、甲が指定する銀行口座に対して、本商品の総額を銀行振込により支払うものとする。なお、振込手数料は、乙の負担とする。

第5条(納品方法)
甲は、乙の指定する場所に本商品を配送するものとする。配送料は、甲の負担とする。

第6条(返品・交換)
本商品に不良品や破損があった場合、乙は、その事実を発見した日から7日以内に、甲に書面により通知するものとする。甲は、その通知を受けた日から14日以内に、本商品の返品・交換に応じるものとする。なお、返品・交換に要する費用は、甲の負担とする。

第7条(損害賠償)
本商品の使用により、乙または第三者に損害が発生した場合、甲はその損害について一切の責任を負わないものとする。ただし、甲の故意または重過失による場合は、この限りではない。

第8条(契約の解除)
契約期間中に、いずれかの当事者が本契約に違反した場合、他方の当事者は、書面により催告し、催告後30日以内に改善がない場合、本契約を解除することができるものとする。なお、契約の解除により、いずれかの当事者に損害が発生した場合、解除した当事者は、解除された当事者に対して、その損害を賠償するものとする。

第9条(準拠法)
本契約に関する紛争の解決にあたっては、日本法を準拠法とする。

第10条(管轄裁判所)
本契約に関する紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上、本契約の内容について、甲乙ともに異議なく合意し、本契約書を2通作成し、甲乙ともに署名捺印の上、各自1通ずつ保有する。

甲:A社

代表者:(署名)

乙:B社

代表者:(署名)

2023年1月1日

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