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なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術

なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術

この本は、心理学者でハーバード教育大学院のトッド・ローズ¹が書いたもので、私たちが日常的に陥りやすい「集合的幻想」という現象について解説しています。「集合的幻想」とは、事実に見えたことが実際には思い込みだったにもかかわらず、間違った認識に基づいて大勢が行動することを指します。例えば、品不足と勘違いして買い占めに走り、本当に品不足を引き起こす²、欠陥があるとの誤解により、移植用の腎臓の10%以上が廃棄される³、周囲から期待されているという思い込みのため、自分の人生を犠牲にする⁴などが挙げられます。

ローズは、脳科学や心理学の知見と多くの事例をもとに、なぜ私たちは「集合的幻想」にとらわれやすいのか、どのような影響を受けるのか、どうすれば打破することができるのかを分かりやすく説明しています。彼は、ぶれない思考や正しい認識を身につけるためには、「自己一致」を高めることが重要だと主張しています。「自己一致」とは、自分の内面と外面が一致している状態で、自分の信念や価値観に忠実に生きることを意味します。また、特定の集団にのめり込むことなく、様々な集団ともコミュニケーションを取ることが必要だとも言っています。さらに、相互に信頼しあうことが、不信の幻想を打ち砕くとともに、より良い結果をもたらすとも述べています。

本の評価 ⭐️⭐️⭐️⭐️

この本は、私たちが無意識に犯している思考の誤りや行動の落とし穴に気づかせてくれるとても興味深い本です。私たちは、自分の意見や判断が正しいと思い込んでいることが多いですが、実はそれが「集合的幻想」に基づいている可能性が高いということを知ることで、自分の思考や行動を見直すきっかけになります。また、この本は、単に問題を指摘するだけでなく、具体的な解決策や実践方法も提供してくれるので、読者にとって役に立つと思います。

この本は、ビジネスマンにもおすすめです。ビジネスの世界では、競争や成果に追われて、自分の本当の意見や感情を抑え込んでしまうことが多いと思います。しかし、この本によると、それは自己一致を低下させて、集合的幻想に陥りやすくすることになります。その結果、自分の能力や創造性を発揮できなくなったり、不満やストレスを抱えたりすることになります。そのため、自分の信念や価値観に忠実に生きることが、自分の幸せだけでなく、ビジネスの成功にもつながるということを理解することが大切です。この本は、そのためのヒントやツールを提供してくれます。

この書籍のキーコンセプト🔑は以下のようになります。

- 集合的幻想 事実に見えたことが実際には思い込みだったにもかかわらず、間違った認識に基づいて大勢が行動すること¹²。
- 自己一致 自分の内面と外面が一致している状態で、自分の信念や価値観に忠実に生きること¹²。
- 多面的情報取得 特定の集団にのめり込むことなく、様々な集団ともコミュニケーションを取ることで、幅広い視野や知識を得ること
- 臆せず発信 自分の意見や感情を抑え込まず、正しいと思うことを声に出して伝えることで、集合的幻想に挑戦すること
-  相互信頼 他人を疑うのではなく、信じることで、協力や共感を生み出し、より良い結果をもたらすこと

はい、この本には「集合的幻想」が起こった事例がたくさんあります。例えば、以下のようなものが挙げられます。

- スペイン人征服者が南米から本国に持ち帰ったトマトを食べた貴族が続々と急死したことからトマトには毒があると長い間信じられていた。実はトマトを載皿に含まれた鉛がトマトの酸で溶け出したための鉛中毒が死の原因であったようだ⁵。
- ロシアのボットが大量の偽情報をばら撒き、米国の選挙戦を左右した例が幾つも示されている¹。
- 「#MeToo」運動が始まる前には、セクシャルハラスメントや暴力を受けた女性たちが声を上げることができなかった。彼女たちは、自分が被害者だと認めることが恥ずかしいと思ったり、周囲から信じてもらえないと思ったり、仕事や人間関係に影響が出ると恐れたりしていた。

この本は、このような事例を分析して、なぜ私たちは「集合的幻想」にとらわれやすいのか、どうすれば打破することができるのかを教えてくれます。

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