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稼ぐNPO~利益をあげて社会的使命へ突き進む~

『稼ぐNPO~利益をあげて社会的使命へ突き進む~』のレビュー

本の基本情報

- 著者:藤岡喜美子、後房雄
- タイトル:稼ぐNPO~利益をあげて社会的使命へ突き進む~
- 出版年:2016年
- ジャンル:社会・政治・NGO・NPO
- 出版社:カナリアコミュニケーションズ
- ISBN:978-4778203221
- ページ数:360ページ

📕 book review

この本は、NPO(非営利組織)のあり方について、日本と世界の事例や制度を紹介しながら、論理的に分析していく一冊です。NPOは、社会的な課題に対して、自らの使命感やビジョンをもって、革新的なサービスやソリューションを提供する組織です。しかし、NPOは、利益を上げることができないという誤解や偏見によって、資金や人材の確保に苦労しています。著者は、NPOは、利益を上げることができるし、上げるべきだと主張します。利益を上げることは、NPOの社会的使命や責任を果たすための必要条件であり、そのためには、ビジネスモデルや経営戦略を考えることが重要だと説きます。

本書は、以下の9章から構成されています。

- 第1章:NPOは稼いではいけないのか
- 第2章:NPOは何の役に立つのか
- 第3章:ロジック・モデル・シートの活用方法
- 第4章:NPOはどのように稼ぐのか
- 第5章:公的な制度と資金をどのように活用するか
- 第6章:ビジネス・モデル・シートの活用方法
- 第7章:大切なのは“起業家マインド”
- 第8章:「稼ぐNPO」の後継者問題
- 第9章:稼ぐNPOの事例に学ぶ

各章では、NPOの定義や特徴、社会的価値の創造や評価、資金調達や事業展開、リーダーシップや組織運営などについて、具体的なツールやフレームワークを用いて解説しています。また、日本や海外のさまざまな分野や規模のNPOの事例を紹介し、その成功要因や課題について分析しています。

本の評価

本書の強みは、NPOに関する豊富な知識と経験をもつ著者が、NPOの
理論と実践をバランスよく語っていることです。NPOに興味のある人や、NPOで働く人や、NPOを支援する人にとって、参考になる情報やヒントが満載です。特に、ロジック・モデル・シートやビジネス・モデル・シートといった、NPOの経営計画や評価を行うためのツールは、実際に使ってみたいと思わせるものです。

本書の弱みは、NPOの多様性や複雑性に対する配慮が不十分なところです。NPOは、その目的や活動、規模や形態、関係者や環境などによって、さまざまな特徴や課題をもっています。しかし、本書では、NPOを一括りにして、一般化や単純化した議論が多く見られます。例えば、NPOは、利益を上げることができるという主張は、一面的なものです。NPOの中には、利益を上げることが困難なものや、上げることが望ましくないものもあります。また、NPOの利益は、どのように使われるべきか、どのように公開されるべきか、どのように監査されるべきかなど、様々な問題があります。本書では、このような問題に対する議論が不足しています。

著者の目的は、NPOに対する誤解や偏見を払拭し、NPOの社会的な役割や可能性を広く伝えることだと思います。そのためには、NPOの稼ぐ力や起業家精神を強調することは、有効な手段だと思います。しかし、NPOの本質や多様性を見失わないようにすることも、重要だと思います。NPOは、利益を上げることだけが目的ではなく、社会的な使命や責任を果たすことが目的です。そのためには、NPOの内部だけでなく、外部との協働や対話も必要です。本書では、NPOの外部との関係について、もっと深く掘り下げることができたと思います。

## 自分の感想やおすすめの理由

私は、NPOに関心がある人として、本書を読んで、勉強になったと感じました。NPOの経営や評価について、具体的なツールや事例を知ることができました。また、NPOの稼ぐ力や起業家精神について、刺激を受けました。NPOは、社会的な課題に対して、革新的なアプローチを提供することができる組織です。そのためには、NPOは、自らのビジョンやミッションを明確にし、それに基づいて、戦略的に資源を活用することが必要です。本書は、そのようなNPOのあり方を示してくれる一冊です。

本書をおすすめしたい人は、以下のような人です。

- NPOに興味のある人
- NPOで働く人やなど



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