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海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか


私は最近、大西康之さんの『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』という本を読みました。この本は、日本のIT業界を牽引する楽天の創業者であり現CEOの三木谷浩史さんについて、その経営哲学や挑戦、そしてなぜ多くの人から嫌われているのかという問題に迫ったノンフィクションです。ビジネスマンにもわかりやすく、興味深く読める一冊だと思います。

本書の構成は、以下のようになっています。

第1章「三木谷浩史、絶体絶命!?」
この章では、楽天の最大の挑戦である携帯事業について、その背景や戦略、そして苦戦の原因や今後の展望について紹介されます。楽天モバイルは、3大キャリアに対抗するために「価格破壊」を掲げ、1ギガまで0円の料金プランを提供しましたが、その反響は期待外れでした。また、自社の基地局を建設するために膨大な投資を行いましたが、その技術はまだ未熟で、サービスの品質やエリアも不十分でした。メディアや世間からは「経営難」と批判され、楽天の株価も下落しました。しかし、三木谷さんはその危機を乗り越えるために、自社の技術力やグローバルな人材やパートナーを活用し、携帯事業の成功を信じ続けています。

第2章「三木谷浩史はなぜ嫌われるのか」
この章では、三木谷さんの人柄や発言について、なぜ多くの人から嫌われているのかという問題に迫ります。三木谷さんは、自分の考えや信念をはっきりと言うタイプで、時には相手を不快にさせるような発言をします。例えば、日本の政治や教育や文化に対する批判や、自社の商品やサービスに対する過剰な自信や自慢などです。また、三木谷さんは、自分の会社やチームに対しても厳しい要求をします。例えば、英語を公用語にしたり、社員に楽天カードや楽天モバイルを使わせたり、楽天イーグルスの応援を義務付けたりなどです。これらのことは、三木谷さんにとっては楽天のグローバル化や統合化や応援のための必要なことだと考えていますが、外部から見ると、独善的で強引で無理強いに見えることもあります。

第3章「海賊の仲間たち」
この章では、三木谷さんと共に楽天の挑戦に参加している人たちについて紹介されます。彼らは、三木谷さんのビジョンや情熱に共感し、楽天という「海賊船」に乗った人たちです。例えば、インドの通信大手で格安携帯革命を起こした天才のタレック・アミンさんや、元NOVAの営業マンで楽天モバイルの社長になった矢澤俊介さんや、世界の名門大学から集められた「世界選抜」の若者たちなどです。彼らは、三木谷さんの無謀とも言える挑戦に対して、恐れることなく協力し、支えています。また、ヴィッセル神戸に移籍したサッカーのレジェンド、アンドレス・イニエスタさんも、三木谷さんとの共通のプロジェクトに参加しています。彼らは、三木谷さんの人間性やリーダーシップにも魅力を感じています。

第4章「三木谷浩史の挑戦はこれからが本番だ」
この章では、三木谷さんが今後どのような挑戦をするのかということについて紹介されます。三木谷さんは、楽天モバイルの成功だけでなく、楽天の他の事業や新規事業にも積極的に取り組んでいます。例えば、楽天ペイや楽天証券や楽天銀行などの金融事業や、楽天トラベルや楽天ブックスや楽天市場などのEC事業や、楽天TVや楽天チケットや楽天ミュージックなどのコンテンツ事業などです。また、AIやブロックチェーンや5Gなどの最先端の技術にも注力しています。さらに、海外の市場にも積極的に進出しています。例えば、フランスの通信大手であるオレンジとの提携や、アメリカのライドシェア大手であるリフトへの出資や、スペインのサッカーリーグであるラ・リーガの冠スポンサーになるなどです。三木谷さんは、楽天を日本だけでなく世界でもトップクラスのIT企業にするという夢を持っています。

本書は、三木谷浩史さんという人物と楽天という会社について、深く掘り下げたノンフィクションです。三木谷さんの経営哲学や挑戦、そしてなぜ多くの人から嫌われているのかという問題に対して、筆者は多くの取材や分析をもとに、客観的でバランスの取れた視点で描いています。また、三木谷さんと共に楽天の挑戦に参加している人たちの声やエピソードも豊富に紹介されており、楽天の内側の様子や雰囲気を感じることができます。ビジネスマンにとっては、三木谷さんの経営手法や戦略、そしてグローバルな視野や情熱を学ぶことができる一冊です。


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