見出し画像

キタダヒロヒコ詩歌集175 夏(習作)



よく晴れたたそがれは
まだ明るく
どこかに色がかくれている
よろよろと最初の花火


とおくから
河のにおい
群集のけはい


一瞬の 同心円の 花々
火の花々
どの屋根にも届かず消える
火のしずくら


さいごのスターマインが果てれば
なまあたたかい夜が満ちてくる
車と人の群れが
わんわんと街に流れ出して


すぐに
しらじらと暑い朝が来てしまう
毎年こうして
もう夏ですと告げられるのだ





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?