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あの子もトランスジェンダーになった(KADOKAWA仮題)/原題『irreversible damage(不可逆的なダメージ)』要約

注1)あくまで「こういう本がある」との紹介です。内容についての精査は出版した上で、出典、論拠、反対側の意見と付き合わせて検証すべきだと思っています。
注2)原著はAmazonのKindleで1700円で買えます。Kindleアプリなら無料で翻訳機能も付いています。
注3)原著を読む際の手引きとして作成します。目次のどの項目を引けばどのような話題が載っているかを要約していきます。
注4)個人の感想を入れたい時は【黒カッコ】書きにします。それでも地の文に主観が混じってしまうかもしれませんので、それを前提として読んでください。
注5)私個人は翻訳のプロでは無いので翻訳機能頼りです。英語力期待しないで。【せっかくプロが訳してくれていたのにね。】
注6)「これ事実?」「これ要約間違ってない?」「翻訳間違ってない?」と思った時こそ、『自分で』原著に当たって確認をして下さい。

本の構成
1introduction (導入)the contagion(伝染病)
2一章the girls(女の子達)
3二章 the puzzle (パズル)
4三章the influencers (インフルエンサー達)
5四章 the schools (学校)
6五章 the moms and dads(母親達と父親達)
7六章 the shrinks(精神科医達)
8七章 the dissidents(反体制派)
9八章 the promoted and the demoted(上がった物と下がった物)
10九章 the transformation (身体改造)
11十章 the regret(後悔)
12十一章 the way back(後戻り)
13 afterword(後書き) the update(アップデート)

1introduction (導入)the contagion(伝染病)

・性別違和についての解説。近年での増加、特に男子から女子に性比が移っている。
・著者がトランスジェンダーを取り巻く状況に興味を持ち、思春期の家族、トランス当事者、脱トランス者と話をした。
・既存のトランスジェンダーと違い、今の10代の少女を取り巻く環境はインターネットが始まりではないかと思った。
・幼い頃から性別違和が伴わず、一度は精神障害の診断が降りた「ルーシー」のトランス事例。

2一章the girls(女の子達)

・若年層での希死念慮、うつ病の増加。特に女生徒でのうつ病と自傷行為の増加。
・既存の「男らしさ」を求めず「女では無い事」を求めるトランスジェンダー少女達(トランス男性)。
・一昔前なら「おてんば」「ボーイッシュ」と呼ばれていた少女達が「貴方はトランスジェンダーか?」と聞かれやすくなっている。
・アメリカ人女性の性成熟が若年化する中で、幼い内から性的な視線に晒される女の子の前にトランスジェンダーの思想がある。
・かつて性知識の多さを自慢していたクラスの誰かの様に、インターネット上で子供達に早熟な情報を提供している人々が居る。

・幼い頃から性別違和が伴わず、トランスの先輩やトランスジェンダーインフルエンサーと交流していた「ジュリー」のトランス事例。
・幼い頃から性別違和が伴わず、レズビアンの彼女に振られてからセラピーにのめり込んだ「サリー」のトランス事例。
・幼い頃から性別違和が伴わず、身体障害を抱えていた「ガヤトリ」のトランス事例。
【※この人達の後日譚は後書きに出てきますよ】

3二章 the puzzle (パズル)

・欧米での性別違和(特に思春期の女性)の増加。英国では過去10年で4,400%増。
・幼少期に性別違和が無く思春期にトランスを行った少女の65%がソーシャルメディアに没頭していた。
・友達グループ内でのトランス自認率が高く、少女間での影響があるのではないか。
・ポケモンの様な文化的流行は必ずしも有害では無いが、結果として集団の福祉が無視されるのなら「伝染病」になる。【これが物議を醸したワードですね】
・思春期のトランス自認少女に対し、ホルモン剤や手術を与えるのでなく他の何か問題を想定すべきではないか。
・…といった旨を発表した博士に対して起きたバッシング

・従来のトランスは幼少期の男児が主だったが、思春期の少女へと割合が変化している。
・幼少期に性別違和が無い少女が高校に入学し、LGBTQ支援グループ、トランス自認のグループと付き合い自分も自認し、医療を受けるものの全く幸せそうにならず家族とも険悪になる、というパターン。
・拒食症にも性自認と似た「グループ内での相互影響」の傾向があり、双方とも「親を欺く」「消極的な医師を説得する」「医師のテストにパスする」方法がネットに掲載されている。
※調査についての詳細なデータが列挙されているのですが割愛。原著買って下さい。

4三章the influencers (インフルエンサー達)

・YouTube、Instagram等で支持を受けているトランスジェンダーインフルエンサーの紹介(インフルエンサー自身もかつて動画等でトランスの影響を受けているとの事)。
・実際にインフルエンサーに熱狂し、自身もトランスだと感じた女の子の紹介。
・動画では性別違和が無くともなりたいと思えばトランスジェンダーになれるかの様な紹介がされている。
・また、副作用について説明が無い「胸を潰す方法」「ホルモン剤の利用」等も紹介されている。
・更に、「親は全てを受け入れるべき、それが愛」「受け入れられなければ自殺をする」「性別移行をする為なら親や医師を騙しても良い」と呼びかけるインフルエンサーも居る。【これ、親から切り離して自分の所に囲い込むカルトの手口では】
・著者の考えとして、インフルエンサー自身もうつ病と医療過誤に苛まれている人間であり飽きやすいティーンエイジャーの信者の玩具になるよりケアが必要では。【同感】

5四章 the schools (学校)

・カリフォルニア州の教育委員会は、未成年の学生が親の許可無しにホルモン剤摂取の為の休学を認めた。
・カリフォルニア州議会では性的マイノリティの子供を守る為、「性自認、性表現、性指向」に関する教育について親が拒否できる項目から除外した。

・男性的とみなされる事柄(スポーツ、物理等)が得意な女の子、生まれた時の性別から連想される事柄に一致しない子供について「性別不適合」とみなされている。
・幼稚園でステレオタイプな男女観を学び、そこから外れると幼児向けのトランスジェンダー絵本が用意される。
・小学校まで続く性別の固定観念は生徒の能力の開花を妨げている。
・中学校では「貴方が異性ならどんな人生だったか」とロールプレイをさせ、トランスを肯定する様な答を返すと教師は喜ぶ。

・この様な教育は、子供達が新しく生まれた性自認、性指向に熱中する状況を作り、そうでないステレオタイプ(いわゆる昔ながらの男女的)な生徒、両親との分断を招いていないか。
・こういった教育は「性的マイノリティ生徒へのイジメ防止」の形が取られ、実際、2019年の調査ではトランスジェンダー生徒への暴力、本人の自傷行為は多かった。
・ところがほとんどの生徒にとってLGBTQの生徒はイジメの対象ではない(マイナスの感情が無く大したことない扱い)。

・学校は親に秘密にしてでも、トランス自認の生徒を肯定する。
・学校が「イジメッ子」と想定し、トランス生徒から引き離そうとしているのは実の両親ではないか。

6五章 the moms and dads(母親達と父親達)

・今まで男性的な物を好まなかったのにトランスを自認した自閉症の少女「マディ」と、リベラルで同性愛権利に先進的な母親「キャサリン」の事例。
・セラピストからはマディを肯定しなければ自殺するとキャサリンは言われ、ジェンダークリニックではマディに思春期ブロッカー(遮断薬)を勧められたが、人為的な更年期障害を引き起こす様な薬が安全とは思えなかった。
(※元々はガン治療、思春期早発症の薬。適応外でトランスジェンダーの第二次性徴を阻止する為に使用されているとの事。キャサリンさんの調べた本では不妊になるとも。)
・思春期後に男性ホルモンを投与しても子宮内膜ガン、卵巣ガン、子宮摘出の可能性があると、キャサリンの調査では出てきた。
・マディの中学校ではキャサリンに内緒でマディを男子生徒扱いし、学外旅行では男子生徒用寝台を許可していた。【暴行事件起きなくて良かったね…】
・キャサリンは思春期ブロッカーの危険性や自身の経験をネットに投稿したが、イギリスとアメリカのトランスに懐疑的なサイトを見つけるまでは、削除され続けた。

・「性別移行医療は青少年に有益では無い」と考える団体の窓口の女性「ブリー」とその娘の事例。
・ブリーも学校でトランスを自認した娘に、安全とは思えない薬を投与したくなかった。
・ブリーは旅行と引っ越しを行い、トランスジェンダーのアイデンティティを強化している娘の学校の環境から娘を離した。娘は現在、少女として暮らしている。

・ブリーと知り合ったキャサリンは「大人が子供の将来の生殖能力をなくす事に同意する事は違法」とする法案を起草し、議員に後援して貰った。
・娘が突然トランスジェンダーになった母親の多くは、トランスジェンダーの為に少女を見捨てたと民主党に不満を抱いている。
・また学校も地域もネットも彼女らに寄り添うものが無く孤独である。

・父親「リチャード」母親「レイチェル」、高校まではフェミニンだった娘「ジョアンナ」の事例。
両親は大学在学中は性別移行をしない事を約束させたが、ジョアンナは約束を破り親に内緒で学校のカウンセラーの力を借りて手術までしてしまった。レイチェルは「同性愛は確かに昔から多かったけどトランスジェンダーのカムアウトの増加は最近になってから」との事。

7六章 the shrinks(精神科医達 ※アメリカのスラングだそうです)

・アメリカで行われている「アファーマティブ・セラピー」は自分を少年だと思う少女に同調し、実際の少年であるかの様に振る舞う。
・ガリガリの拒食症の子供に「そうだね、君は太っているから痩せよう」、白人になる事を望む黒人の子供に「君がそう思うのなら白人だ。黒人の身体に白人が宿る事もある」と声かけをするのは適切か。
・性別違和の患者の自己診断を、セラピスト、精神科医、内分泌学者、小児科医が肯定する事が当然になっている(アメリカ心理学会のガイドラインではトランスジェンダーコミュニティに対しアライ(支持者)である事を求める)。

・ジェンダーセラピーの著名人カウフマン博士の主張「子供達の自殺率を下げメンタルヘルスを良好に保つには、彼らの性別違和の主張を肯定しアイデンティティを確立させる必要がある」
・またセラピストの主張には「性別違和について変化する可能性」も含まれるが、であれば不妊を伴う身体改造を肯定できる親はどれだけ居るのかと著者は考える。
・思春期の自己発見の忙しい時期の子供達に、一生変化しない完全な自己理解など有るのか。
・著者の体験として思春期に胸部の成長に戸惑い、乳房縮小手術を考えた事があった。3児の母となった今はやらなくて良かったと思うが、そういった感情も10代の頃には想像もできなかった。
・不可逆的な手術を伴う場合、子供達の自己診断の肯定には懐疑的。

~自殺率について~(アメリカのセラピーではまま、子供の性別違和を肯定しないと子供が自殺すると言われる事について)
・トランスジェンダー(少年期~成人)の抑うつ、自傷行為、自殺念慮の割合は高いが、アメリカの統計では自己申告も含まれるので実際は下がると思われる(それでも高いが)。
・トランスジェンダーの青年の抱えるメンタルヘルスと、そうで無い人間のメンタルヘルスに差が無く、自殺念慮の原因は性別違和で無くメンタルヘルスの可能性がある。
・性別移行後も自殺率、自傷率は変化が無く、性別違和を肯定する事が自殺率を下げるとは言えない。

・子供の頃の事故で生殖器を失い女性として育てられたが馴染めず、生物学的な男性に戻った「デビッド」の事例。

8七章 the dissidents(反体制派)

・2007年、トランスジェンダーのガイドラインを執筆したザッカー博士は「トラウマやその他の苦痛から性別違和にしがみ付く子供もいるので子供の全体を見るべき」と提言していた。
・生物学的な性別が患者の苦痛の原因では無いとする博士の診療で、性別移行をする事なく違和感から脱却した少年も多い。
・しかし2015年にアファーマティブセラピーが広まるとザッカー博士は職を解雇された。
・かつて精神医学や性化学の巨人とされた研究者たちはアファーマティブセラピーに同意せず、性別違和はアイデンティティでは無く治療されるものである、あるいは性別とは別に原因があるとの主張をしたせいで逆風に晒されている。

・また性別違和に「女装をする自分に興奮する男性(オートガイネフィリア)」を含めた博士、そこから発展させ執筆を行なった博士も酷いバッシングを受けた。
・これは女性の安全とも関係し、女装や女性に興奮するトランスジェンダーが存在するとなると安全の議論は変化する。

・性別移行の難しさから、後悔する事の無い様、手術は成人のみ・2年間異性の格好で生活してから、としている病院もある。
・トランスジェンダーを巡る医療は政治化しており、本来のメンタルヘルスの扱いは曖昧になっている。
・「性別違和を訴える若者はかつては本人一人でも自覚をし、インフルエンサーに促されはしなかった」との主張も活動家を怒らせた。
・研究者達は、現在の性別違和を訴える少女達は性同一性障害では無く、動揺した若い女性に見られる傾向だと思っているが現在の状況では詳細な調査は難しい。
・精神科医のマクヒュー博士は性別適合手術に救われる人と救われない人が医師には見分けが付かない、との理由で病院での手術から手を引いた。
・マクヒュー博士はかつての多重人格症と同様に、手術を行なった医師が訴えられてトランスジェンダーのブームは終わるのでないかと思っている。

9八章 the promoted and the demoted(上がった物と下がった物)

・2019年、イギリスのニュースで「トイレが男女共用となった学校で、生理中の女の子が恥ずかしさから学校を休んでいる」と報じられた。
・成人した女性でも婦人科の触診は女性医師を好むが、著者の友人が遭遇した女性下着店でのトランスジェンダー店員の様に世の中は変わりつつあるのかも知れない。
・幼い頃、自分が女性だと思っていたクリスタルは「女装する男性」として生活をしているが、それを活動家に祝福されたいと思っていないし、トイレの使用で女性を怖がらせる気もない。活動家がトイレの使用について女性を怖がらせる前は、何の問題もなくトイレを使えていた。
・2015年に著名トランスジェンダーが雑誌の表紙を飾ってから良くも悪くも静かな生活は無くなった。
・わざわざ通りを横切って彼女を「祝福」しにくる通りすがりにクリスタルは悩んでいる。

・LGBTQの中でL(レズビアン)は恩恵を受けていないと主張する。女性スペースは男女共用になり、男性受刑者が女性自認と言えば女子刑務所に入り、女子大も女性自認男性に門戸を開いた。
・アイデンティティで性別を決めるべきで無いとするフェミニストやレズビアンは「Terf(ターフ)」と呼ばれ、LGBTQ、フェミニストコミュニティのなかでも対立が起きている。
・レズビアンは生物学的な女性パートナーと出会う出会いの場にトランスジェンダーが入り込まぬ様苦心せねばならず、高校生はカースト上位がトランスで下位がレズビアンだと告白した。
・女子スポーツにおいても男子スポーツで振るわなかった元男性がトランスジェンダーとして女子の記録に輝いている。
・「女性」が生物学的に定義出来なくなった事で、トランスジェンダー達は「女性像」を従来のステレオタイプに求めている。【女装オジサンがよくやるピンクでリボンフリフリとかですかね】
・また「女性」「妊婦」「膣」なども別の用語に置き換えられつつあり、著者は侮辱的と感じている。
・更に若年層へ暴力的なポルノ(女性が暴力を受ける様な)が蔓延しており、こういった世の中では女性でいる事に希望を抱けないのではないか。

・大学のクラスを対象にした調査では4割が「自分はLGBTQである」と回答し、明らかにおかしな数字になった。(通常は1割で、それでも高いとの事)
・現在アメリカの大学の多くでホルモン剤の利用、性別移行手術、心理セラピーが受けられ、移行のハードルは低い。

・幼少期はお転婆で無く、大学で躓いた「メレディス」のトランス事例。
学業で躓きウツ病を患う。両親はウツ病を理由に彼女にトランス移行の意思決定をさせないよう、大学の学生サポートに迫った。しかし大学は彼女の判断を優先した。

10九章 the transformation (身体改造)

・思春期ブロッカー(遮断薬)は安全性のエビデンスが無いにも関わらずトランス医療に広く使用されている。
・イギリスのタビストック財団(※子供への性急な性別移行医療を行い問題視され閉鎖)を辞任した心理療法士は「性別移行医療が政治的な問題になっている」と語った。
・思春期ブロッカーについて骨粗鬆症、不妊、脳の発達への干渉、性的快感の喪失等がリスクである。

・テストステロン(男性ホルモン)には気分の高揚、声の変化、顔の発毛、顔つき体つきの変化、性欲の変化、筋肉の増加等の効果がある。
・一方、リスクとして心臓発作、脱毛症、膣の萎縮、筋肉痛、子宮内膜症、イライラ、攻撃性、糖尿病、脳卒中、血栓、ガン、卵巣・子宮摘出(常用した後、テストステロンの服用をやめると子宮内膜ガンの可能性が跳ね上がるそう)等。

・乳房除去手術(トップ手術)について「戻したくなったら元に戻せる」と発言するトランス医療医師が居るが、別の形成外科医は「それは無理だ」と言う。
・医者の一部は手術を「患者の不安を取り除き満足させる為」と患者主体に捉えるが、患者はまだ16歳の子供である。【判断できるのか、後悔しないのか、って事でしょうね】
・乳首の感覚が犠牲になり手術痕が残り、痛みや漏れ出す体液と付き合う事になる。

・男性器形成手術は患者の他の部位から皮膚、筋肉を移植せねばならず、切除した部分には跡が残る。形成も尿道や血管の縫合が困難で、壊疽、合併症に苦しむ場合も。
・40代レズビアン「ブレイク」の事例
アメリカでは利益追求の為に形成技術が未熟な医師もトランス医療に当たっている。ブレイクの場合も大失敗し敗血症と肺塞栓症で死にかけた。移植用に肉を削いだ腕は物を持つ事が出来ない。

・2010年にアメリカで施行された法律によりトランス医療に安価でアクセスしやすくなった。その為、高価な物を買う前に一息吐いて考える、という習慣がなくなった。
・また今のアメリカでは「医療に対する人権」という言葉に象徴される患者の主張が医師より強くなっている。トランス医療に関わる医師は施術のリスクを背負おうとはせず、若年トランスに対して考え直すように諭し止めてくれる存在では無い。【でも治療を始める前には「全責任は患者が負う」とか誓約書書くんだよな、きっと】

11十章 the regret(後悔)

・13~19歳までトランスジェンダー男性として過ごし、女性に戻った「ベンジー(エヴァ)」の事例。両親に虐待されていた。拒食症、ウツ病を発症。SNSのトランスジェンダーに親近感を感じ自分もそうだと呟いた所、全肯定された。トランス女性を名乗る男性から卑猥なメッセージを受ける事もあったが彼らに嫌われたく無かった。学校では両親に内緒で男性として扱われ、セラピーにかかった時もトランスジェンダーをそのまま肯定された。トランスコミュニティに居た時は「親から逃げろ」との言葉が親身に感じたが、外に出た今は自分達の影響下に引き摺り込もうとする言葉だと思う。最終的にレズビアンコミュニティに移り、女性が身体に嫌悪感や違和感を抱く事は普通=全てがトランスでは無いと思うようになった。

・テストステロン(男性ホルモン)に依存状態になったエリンの事例。

・「ヘレナ」の事例。両親が多忙で娘と交流があまり無かった。思春期になってから周囲の美容や恋愛の話題について行けず孤立。自傷行為を行う。SNSで女性らしさ(女体)を嫌うトランスジェンダーの言葉に影響を受ける。18になった時、医師に嘘を付きテストステロンを入手。注射や気分の落ち込みに悩まされるが、トランスコミュニティからは完全な性別移行を促される。そんな中、友人が撮ったビデオに映る自分の外見にショックを受け、脱トランスコミュニティに移る。拒食症とウツ病はまだ残っており、男性になる事は万能の薬ではなかった。

・著者が話を聞いた脱トランス者達は、思春期にネットでトランスジェンダー思想に触れるまで性別違和を持っていなかった。
・母親がインターネットを取り上げ牧場で肉体労働をさせたらトランス自認が無くなったキアラの事例。
・テストステロンを使い続け子宮の萎縮で子宮摘出になったデズモンドの事例。
【これ、どっちが良い悪いってより「こういう案件があったよ」って感じの紹介です】

・脱トランスをした少女達はテストステロンの摂取により、声、体毛、乳房、生殖器に悩みと後悔を抱えている。
・彼らのほぼ全員が性別移行医療について医療従事者が止めなかった事を非難している。
【大人が、医師が止めたら差別って流れを作ってますからね】

・ベンジーはトランスにのめり込む少女はすでにメンタル不調を抱え、何処かに所属したがっていると語る。

12十一章 the way back(後戻り)

・トランス男性(元女性)のバック・エンジェル氏は10代の子供達はYouTube やSNSから影響を受けていると語る。57歳の彼が経験を積んできたあらゆる医療について、16歳では判断できないだろうとも。彼女らはただの同性愛者や男性装なだけでトランスでは無いかもしれないと。
・著者は現在のトランスジェンダー旋風について、彼らを否定する敵を執拗に攻撃する攻撃性が怖く、またキスや性的な触れ合いに興味を持たない無性愛っぽさが気になっている。もしかすると現在の現象はポルノやネットで美化された画像から身を守る為の、性的引きこもりと忌避なのではないか。

・著者からトランスジェンダー旋風に巻き込まれたく無い親御さんへのアドバイス
①スマートフォンを子供に与えない。
②親の権限を放棄しない。子供は子供。出来ない事にはノー。
③子供達の教育でジェンダーイデオロギーを支持しない。
(学校教育でトランスジェンダーに肯定的に注目を集める事をしない、みたいな意味かな)
④インターネットで自分がトランスジェンダーである等、共有しない。群がって肯定してきたフォロワーは、やめたと聞いた途端、手の平を返して攻撃してくる。
⑤娘が熱狂している思想コミュニティから物理的な距離を取る。引越し、ネット断ち等。
⑥少女の思春期は誰でも荒れる。薬で治療可能な病気扱いしない。
⑦女性である事は素晴らしいと認める。社会の風潮に屈しない。

【なるほどね。ここが物議を醸した所ですね、恐らく。これを読んだ親御さんがトランスに悩む子供を苦しめないかって懸念か。
実際に、スマートフォンを渡さない等のアドバイスは今の世の中だと難しいと思います。
が、毎年(毎月?毎週?)どこかでポルノ、ネット、ニュースに影響された性犯罪は起きているんですよね。そうすると、知識・経験の無い子供の内は過激な性情報を制限したい・すべきとの親の思いは分かります。
過激な性情報が年齢による判断力を理由に制限されるのであれば、不可逆的な性別移行治療も同様かなと私は考えます。そこだけ子供の判断がクリアになる根拠も無いので。
以前トランス当事者とお話しした時に、性別移行治療は若いほど良い(恐らく二次性徴前って事かな)と仰っていましたが、この本は正にその「焦り」に急かされて後悔してしまった人々の話なので、慎重過ぎて過ぎる事は無いと考えます。

また親が無関心なタイプのトランスキッズであっても、自身でこの本を手に取って彼女らと自分は違うかと自問する事、「後悔している先駆者の話」を参考とする事は意味があると思います。
それに否定的な親が①②③⑤⑥をしてきたとしても、それでもトランスの気持ちが揺らがなかったとしたらそれは熱に浮かされた一過性のものでは無いと逆に分かるのでは?

ここからは思春期の子供に向けて(読んでないかもだけど)
「否定的な親がトランスキッズ(以外の子供も含め)を苦しめないか」は、裏返せば「親には全肯定されたい甘え」ですよね。
甘いです。
親は子供を全肯定なんかしません。成績だろうと服装だろうと友人だろうと人生設計だろうとトランスじゃ無かろうと親は子供の気に入らない部分、もしくは彼らなりに心配している部分をネッチネッチ言いますし、子供は言い返すので思春期は戦争です。我が家もそうでした。
我が家の場合、進学就職で物理的な距離を取ってから冷戦が終結しました。それが結婚出産の人も居ますし、時間が解決した人も居ます。死ぬまで和解出来なかった人も居ます。
親だって他人です。死ぬまで分かり合えない、どうしても許せない部分はあります。
私を肯定して欲しいと叫ぶかつての私は、逆に親の考えは何一つ知ろうともせず肯定もしていませんでした。
親を拒絶しながら「私を受け入れて」と叫ぶのでは無く、落ち着いて、親とどんな関係を築きたいのかを彼らに伝えてみてはいかがでしょうか。
それでもダメなら成人を待って独立しましょう。トランス移行でも何でも成人したら自己資金と自己責任の限りにおいて自由です。】

13 afterword(後書き) the update(アップデート)

・イントロダクションのルーシーのその後。トランスをやめる。
・ジュリーのその後。トランスを続行。
・サリーのその後。トランスをやめる。
・ガヤトリのその後。トランスをやめる。
・ジョアンナのその後。トランスを続行。
・メレディスのその後。トランスを続行。
【半々ですね】

【個人的な感想】
【全体を通して、トランスの扱いを『傷の無い完璧なもの』としたい人からしたら確かに「デマ」で「ヘイト」な本でしょうねと思います。で、トランスに懐疑的な人からしたら「共感できる」本なのかと。

でも結局それも『果たして内容は正しいのか』という検証なしに判断できる事では無いので、出版の上、出典や調査資料、他の本と付き合わせて検証すべきだったと思います。
大切なのは当事者(特に子供達)が悔いの無い選択をする事であり、周囲でワイワイやっているトランスの思想、活動家(アライ)、懐疑的な人々は2の次、3の次で良い訳です。
本当に少女にトランスジェンダーが増加しているのかはアメリカの統計を調べれば良く、過激なインフルエンサーが実在するのかは実際にアカウントが存在するのか調べれば良いですよね。

そういった事をした上でトランスに悩む娘さんに
「今、貴女みたいな人がいっぱい居るみたいだよ」
「手術までしたのにいつもイライラして家族と上手く行かなくなった人も居るみたいだよ」
「ホルモン剤を飲んでも楽にならずに逆に後悔した人も居るみたいだよ」
「ネットに居る人は一方通行の事しか言わなくて貴女の人生に責任を取らないよ」
「それでも後悔しない?」
等の声かけは出来るだろうと思います。

後は、途中の章で出てきた「かつてのトランスジェンダーは自分一人でも自覚があった」って言葉の通り、この本の子供達は絶えず何かのコミュニティに所属したがってるなあと。
トランスを辞める際も脱トランスコミュニティに所属してますね。
先行事例を調べたい、他の意見を知りたい、とか理由は分かるんですけど、常に他人と付き合うって疲れないのかな。
リアルで手の届く範囲の信頼できる大人(親じゃ無くても良いし)とじっくり話すとか、一人でトコトン考えてみるとか、そういう時間も必要じゃないかなとは思いました。

いやー、要約疲れましたー。】

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