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バイオハザード:デスアイランド 第三話

1人の男がスーパーコンピューターのような
しかも最新式の大画面の前に座り、
男を見張るように、レオンに一泡吹かせた女が
立っていた。

そのずっと背後から、杖を突きながら近づいて来る
1人の男性が声をかけた。
「よし、よくやった。プロトタイプの完成だ。
では大量生産の段階に進もう」

杖を突く男は、画面の前の椅子に座っている男性の
肩に手を置き、「ご苦労だったな。テイラー博士」
と言葉をかけた。
奪還に失敗した国家機密を知るテイラー博士だった。
テイラーは浅い呼吸を震えるように何度もし、
明らかに恐れていた。

杖を突く男の手がテイラーの肩に手を乗せたが
痩せてはいるが、長い指で病人とも思えるような
手をしていた。

男はフッと息を吐くと、拳銃を取り出し弾丸を
抜いて一発だけ弾を込めた。
まるでロシアンルーレットのように。

そしてテイラー博士の頭に拳銃を向けて撃鉄を
引いた。そして引き金を引くと、
ガチャという音だけが鳴り、テイラーは生き延びた。
男はテイラーに顏を近づけて、
優しい口調で言葉を送った。
「おめでとう。どうやら死ぬ日ではないようだ」

そしてテイラーに背を向けると、今度は拳銃を
自分の頭に突きつけて、撃鉄を引いた。
男は目をつぶって、一切躊躇ためらう事無く、
引き金を引き、ガチャという音だけが、聞こえた。
男は再び眼を開くと、自信満々の笑みを浮かべた。

その様子はまるで、勝利を手にしたような
顔つきをしていた。

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「あら、ジル、クリス」
クレアはジルにコーヒーを手渡した。
「BSAAは最近どう?」とクレアは気軽に話しかけた。
「相変わらずさ。バイオテロリストはしぶとい」
そう言ったクリスにクレアはコーヒーを手渡した。
「テラセイブは?」とクリスは尋ねた。
「こっちも相変わらずよ。
しぶとい悪党を相手に闘ってる」と
自分のコーヒーを入れながら会話を交えた。

「あなたたち兄妹こそ、しぶといくせに」と
ジルに言われ、二人は苦笑いをした。

「ファラロン諸島周辺の海洋保護区で
追跡してるクジラが消息を絶った」
レベッカがそう言うと、クレアは画面を指で指し、
「アルカトラズ島のそばよ」と示した。
「クジラはうちの管轄じゃない」とジルが言うと、
「なんで俺たちを呼んだ?」とクリスが尋ねた。

「シャチの噛み痕に付着したDNAを調べたの」
レベッカは現地で実際に見た事と調べた結果を伝えた。
「t-ウィルスの株が出た。
街の感染者から出たものと似てる」
クレアも同調するように言葉を添えた。

「冗談でしょ」ジルの表情に妙な顔つきが現れた。
「聞いて。警察は感染者に共通点はないと。
でも私が調べたら1つ共通点があった。
画面に乗っている人物たちを見てクリスはレベッカ
の言いたい事を理解したように、
「まさか」と口に出した。
「皆、アルカトラズ島へ行ってる」
レベッカは答えを言った。

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「サンフランシスコの誇る、建築物を見たい皆さん。
お待たせしました。正面をご覧ください」
フェリーのアナウンスが流れて始めて、私服を着た
クリスはレベッカに電話で、
「レベッカ。もうすぐ着く」と知らせた。
「了解。類似するウィルスのワクチンがあるわ」
レベッカはクリスと話しながら、ワクチンの話を
切り出した。
「これに効くワクチンも作れると思う」
「久々にいい知らせだ。そっちは頼んだ。
何かあれば連絡する」そう伝えて電話を切った。

「国立公園として開放され、
人々が豊かな歴史を楽しんでいます」
アナウンスが流れる中、誰も気づかなかったが、
不気味な巨大な影が、船の下を横切った。

BASSのクリス、ジル、そして、
テラセイブのクレアの三人で、
アルカトラズ島を調べるため乗り込んでいた。

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ライダースーツを着た胸元を大きく開いた
魅惑的な女は椅子に脱ぎ捨てられた白衣を
手にして、吐息を漏らした。
「殺される前に逃げ出したか。
まったく、無駄なことを」と
杖の男は特別驚く事無くそう言いいながら、
監視カメラで三人を確認して、
「ちょうどいい。ファラリスの雄牛という
拷問器具がある。青銅の雄牛の像だ。中の空洞に
人を閉じ込めて下から火で熱するんだ。
灼熱の牛の中で、じっくりと人間を焼き殺す」
男はふーっと息を吐いて、
「いい趣味だ」と呟いて、話を続けた。

「雄牛を造った男が、実験として最初に殺された」
男は指先でキーボードを押していくと、
「素晴らしいお披露目だな」と興奮したように
二度、鼻息をこぼした。
「待ちに待った招待客のご到着だ。
我々の創造物をご覧いただこう」
男はずっと一人で話しているように話し続ける中、
女は終始、黙ったまま聞いていた。

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どこかの一室では一般人がカメラを回しながら
アルカトラズ島への思いを話していた。

「感想としては、このベッドはサイテ―!」
と笑いながらベッドから起き上がると、
「やあ、ザックだ。今日、来てるのは
アルカトラズ島!」とアピールした。
動画を流すのが目的と見えるような感じで
話し続けた。
「助けてくれ!」と鉄格子を掴んで叫んでいた。
アルカトラズ島にある刑務所の中から
撮影していた。
「まずはチャンネル登録を」

3人も観光客に交じりながら様子を見ていた。
「このまま、のんきに観光する気?」
ジルは二人に語り掛けた。
その言葉にクリスは大きく息を吐いた。
「私は海岸線を見てくる。
観光客の入れない場所を2人は調べて」
とクレアは二人に伝えた。
警戒心を強めるクリスはその言葉に、
「無線を切るなよ。
何かあればレベッカが応援を呼ぶ」
と言った途端に、三人の背後から
叫び声が響き渡った。

二人の男が掴み合い、見えない角度から
1人の男が相手の首元の当たりに噛みついている
ように見えた。
そして噛み千切るように口を離すと、相手の男は
自ら倒れるように横に倒れた。
クリスはいち早くその男の元へ、人込みをかき分け
ながら駆け寄ったが、その男は倒れていた男性に
上から襲い掛かると、首元に噛みついた。
「下がれ、近づくな!」クリスが銃を手にして
その男の前まで行くと、男は立ち上がりクリスに
向かって駆けてきた。

クリスは頭部に一発の弾丸を撃ち込み男を倒した。
後からジルとクレアが銃を手にして駆けつけた。

動画を撮っていた一般人は「ウソだろ」と動揺
しながらも、カメラを持つ友人に「あっちを映せ」
と声を投げた。
「奴が誰かを撃ったぞ、見たか!? 一体・・・」
と言ってるそばから、苦しむ声が聞こえてきて、
先ほどまで何とも無かった友人が、
男の客に噛みついていた。カメラを回しながら
「ヤバい」と言う声だけを残して、カメラが揺れると
叫び声に変わって、再びクリスたちは振り向いた。

一斉に何ごとも無い状況の中、感染者は増えていき、
一般人はどんどん嚙み殺されて行った。

ジルとクレアは銃弾を連続して放ったが、
感染者は素早い動きで、監獄の鉄格子に
飛び移るようにして避けていった。

そして一般人ばかりを狙って、
飛びつき襲い掛かる前に、
クリスの銃弾の前に倒れた。

ジルも素早い感染者を相手に苦戦し、倒しながらも
襲われて銃を手放してしまい、感染者は彼女に
馬乗りになっていたが、蹴り飛ばして、監獄の鉄格子
を利用して頭を潰した。

クレアは一般人を守りながら、感染者を倒していった。
「大丈夫? 噛まれた?」と近くにいた一般人に
尋ねると、彼女は自身の体を見て「いいえ、大丈夫」と
怯えた声で答えた。
クレアは彼女を近くにあった食堂ルーム
のような場所に一緒に入って、鉄格子を閉めたが、
監獄の鉄格子のように厚い鉄格子では無く、
金網のようなもので、ロックを掛けるような鍵も無く、
先に中に入っていた人に、
「机を! バリケードを作る!」と
声を張って呼びかけた。

これまでのような歩いて襲ってくる感染者とは違い、
出入口を塞いでも、金網をよじ登って、
大きく跳躍してクレアの前に降り立つと、彼女に
襲い掛かってきた。
クレアは頭に一発撃ち込むと男は倒れて動かなくなった。
先ほどまでは何とも無かった女性が、
変異したのを見て、「一体、何なの?」と声をもらした。
バリケードも押されだし、中にも敵がいる状況で、
「ウソでしょ」と思わず呟いた。

廊下ではジルが次々と、感染者をナイフで倒していたが、
目の前で首を噛まれている人を見つめ、非感染者は
もういない現実を前にしていた時、背後から
「来るな!」と声が聞こえて咄嗟に振り返った。
警備員のような男がサブマシンガンのような銃で、
感染者を撃ち殺していたが、囲まれて、更に感染者が
飛んできた衝撃で地面が抜け落ちた。

ジルは即座にその穴に向かって飛び降りると同時に、
警備員に上から襲い掛かっていた感染者の頭にナイフを
突き立てた。
「こいつら何なんだ?」と動揺する警備員に、
再び襲ってきた瞬間、ジルはサブマシンガンを手に取り、
残りの感染者2名を撃ち殺した。
「大丈夫? ケガは?」と
ジルは警備員に近づいて声をかけると、噛まれていない
のに感染者となってジルに襲い掛かってきた。
引き金を引いたが弾切れで、彼女は弾丸の無い銃で
相手を押して一度、二度と殴りつけると、銃を捨てて、
ナイフを拾うと、横の壁を蹴って背後に回った瞬間に
頭にナイフを突き刺した。

上階ではクリスが一般人を守りながら、的確に感染者を
撃ち殺していたが、感染者は増える一方で、正に地獄絵図
のようであった。





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