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第12話 明かされた真実

明智はキーとなる本を持って署に戻り、関係者の全ての
資料を数箱に詰めると持ち出し許可の署名もせずに、
それらを持って自宅に帰った。

そしてすぐに全ての資料を壁にピンで止めて、
関係性をまとめて、全体像を見直していた。

新たに分かった事と、北見の母親から手渡された本を
机に置くと、最初のページから解読していった。

解けば解く程、そこには北見の想いが綴《つづ》られていた。
たまたま食事をしていた店で小林、野田、泉に会い、
婚約者を紹介した事が書かれていた。

そしてこの三人を北見は一人で秘密裏に調べた結果、
証拠保管室担当の野田が睡眠薬や純度の高いドラッグを盗み、
小林に横流しをして一番下っ端の泉が、小林の命令で
これまで多くの女性を、証人保護官長の小林が、
女性を、保護の為に用意されている部屋を使って犯して、
3人で愉しんでいた事が書かれていた。

人数は一桁では無いほど多くの女性の数が記されていた。

そして私に紹介しようと連れてきたあの日に、事件は起きていた。

小林に署内でたまたま出合い、特別仲は良くは無かったが、
食事に誘われ、断わり切れず、小林と北見と婚約者の三人で
出掛けた事が書かれていた。

北見が目を覚ますと、どこかの部屋にいた。意識もはっきりせず
動こうとしたら縛り付けられていた。そしてすぐに婚約者である
美紀の事を思い出そうとしたが、力も入らず動けなかった。

そうしていると、小林が裸で他の部屋から出てきて、一気に寒気が
した。開けっ放しの奥の部屋から、美紀の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。

自分が小林に今すぐに止めろと言ったが、小林は野田が盗んできた薬で
ハイになっていて、北見の目の前で堂々と、薬を服用していた。
泉の担当は有給休暇等の簡単な仕事であったが、小林と野田に引き込まれ、
今では薬と女の虜になっていた。

北見は水と薬だけを与えられ、記憶を何度も失ったと書かれていた。
数日が経ち、美紀の声も聞こえなくなり、あの三人の姿も消えていた。

嫌な予感しかしなかったが、必死にプラスチックの縛るものを、
腕や足を強引に、手に食い込み血がでても必死に千切り取って、
恐る恐る奥の部屋に入ると、まだ生きている美紀がいて、
腕には注射の跡が幾つもあったが、直ぐに救急車を呼んで一命は
取り留めた。

病院には警官だと明かして、証人保護だと言って内密に
してもらい、目が覚めるまでずっと一緒にいた。
目が覚めた美紀は、大泣きをし、悪くも無いのに
自分に何度も何度も謝った。

その姿を見て、自分はあの三人に対して法の裁きを
下すよう証拠集めから始めていった。
美紀の傍から離れずに、ノートパソコンで警察署の
データを見ながら、調べていくうちに酷すぎる実体を掴んだ。

と書いてあった。そして最後に、母親に託したディスクがあるから
それを見て欲しいと書かれていた。

何も受け取らなかった為、再び北見の実家に行こうと顏を洗って
外に出るともう早朝だった。

明智はまた眠くなってはと思い、家に戻って目覚まし時計を遠くに置いて
眠りについた。

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