高齢の母と、お店と、食べ物のかたさ
90歳の母と買い物に行き、思ったことがあります。
店で、食べるものを選ぶ時、その硬さを知ることはできないものだろうか。
母はずっと家に閉じこもりがちでしたが、最近、車椅子で一緒に買い物に行けるようになりました。
「何食べたらいいかわからん」と言っていた母が、お店でおいしそうなものを見ると選べるようになり、私は嬉しく思っています。
しかし、母はやってはいけないことをつい、してしまうのです。
それは、おかずのパックや袋づめされたパンなどを、指で押すのです。
(お店の方、申し訳ありません。すぐに注意をしています。)
癖だと思っていましたが、どうやらそうではないようです。
こんなことがありました。
おいしそうなくるみとチョコ入りのパンを指さして、「あれ、食べてみようかな」と母が言いました。
私は「あら、おいしそう」と言って、カゴに入れ買いました。
家で母がそれを食べた後、「このパン、固かった」と残念そうに言いました。
「思ってたのと違ってた?」と尋ねると「もう少しやわらかいと思ってた」と。
高齢で歯が弱い母にとっては、パンにくるみとチョコが入っているという情報や色の情報と同じくらい、いいえ、それ以上にパンのかたさは大切な情報です。
見ただけで、かんだ時を正しくイメージできればよいのに、それは母にとっては難しいです。
あ、だから、よく、おかずのパックや袋づめされたパンなどを、指で押していたんだ。
母は自分がかんでおいしく食べられるものかどうかを、指で押して確かめていたんだ。
母のような高齢の人が、店に並んでいる食べ物のかたさを知ることができるといいなあ。
くだものでは、甘さをランク付けして表示していることがあるので、ありがたいけどなあ。
高齢の人も食べたいものを選んで満足して食べられるように、かたさについての表示があるといいなあ。
母と買い物に行き、そんなことを考えました。
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