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宝塚/刀剣乱舞/源氏物語/3つの世界を繋げた物語



大人気ゲーム「刀剣乱舞」
その世界観を舞台化した「舞台 刀剣乱舞」通称「刀ステ」
いわゆる2.5次元舞台というやつです。
数々の男性俳優さんが演じられ紡がれてきた刀ステに今回オール女性キャストで繰り広げられることになった「禺伝 矛盾源氏物語」

先日、東京・大阪で公演された「禺伝 矛盾源氏物語」が無事千秋楽を迎えました。
私は東京公演を何回か、大阪の大千秋楽をライブビューイングで観に行き、今これを書いている(2/23)そばではディレイ配信をエンドレスリピートしています笑。


いや~~~ほんと面白かった・・・。
これに尽きる。


初日観終わったあと、規制退場のアナウンスが響く中、夢ごごちのような気分でTDCの天井をしばらく見上げてました🫧


楽しかった・・・。
この想いや感じたことを残したい(ほぼ自分用)


というわけで禺伝に心乱されたオタクによる感想をどうぞ!!

!注意
・本編の内容をガッツリネタバレしてます。
・源氏物語に関してはにわか知識です。
・主観もりもりの内容です。


1.元宝塚OGを始めとしたオール女性キャストで演じた今

私は刀剣乱舞のプレイヤー(審神者)ですが刀ステは全くの未履修でした。
しかし今回「禺伝」が発表されキャストさんが判明した時、率直に「すごい楽しみ!」という思いと同時に公式さんすごい挑戦してきたなとも思いました。

元々少女漫画や(女性向けといわれる)2次元3次元の男性アイドルを応援していることもあってか、女性が思い描く「理想のカッコいい男性」というキラキラとした世界にどっぷり浸かっていました。そんな私は必然と宝塚に片足を突っ込んでいました。(布教してきた先生、友達に感謝)
加えて、私自身が劇で男の子を演じてたこともあり、女性が男性を演じていることは何も不思議に思いませんでした。

そんな片足宝塚に突っ込んでいる身として役者さん一人一人に詳しくなくても「あ、宝塚で男役を演じてくださった方々なら安心だ」と思っていました。演じるうえで性別という拘りがない私は特に不安とか何も感じませんでしたが、あの煌びやかな世界に馴染みがない方や、異性装ということを(しかも今まで男性俳優さんが演じられてきた刀ステを観てきた方にとって)すんなり受け入れるのは難しいんだろうな〜〜〜とも思いました。

声優の櫻井トオルさん(蜻蛉切とか山伏国広とか同田貫正国を担当されてます)がツイッターで述べられた禺伝の感想に、

『せっかく「カッコいい男」を演じてきた男役の人たちが宝塚を退団したら求められるのは女性役。宝塚時代からひたすら研鑽しまくった「カッコいい男」の所作やらセリフ回しやらが刀剣男士として発揮されるってのは胸熱すぎる』

と呟いていました。


↓ツイート共有させていただきましたm(__)m
全文すごくいいのでぜひ読んでほしい…!

宝塚という長きにわたって作り上げられた歴史とその歴史の中で学び磨かれた役者さんたちなら刀剣男士を演じることなんて容易いこと!!
櫻井さん、ほんとそれな!!!と思わず自分のアカウントでリツイートさせていただきました…!

テレビドラマだとまだそれは難しいというかそもそもフィールドが違うと個人的に思います。
舞台というのは自由な表現の場だと思ってます。
また男役をやられた方が演じられるカッコいい男性を観られることが何よりも嬉しかったです。


2.女性たちの反乱

今回の刀ステ「禺伝」では刀剣男士たちが「源氏物語」の世界に入り込んでしまったことから始まります。

「源氏物語」といえば、平安時代に紫式部によって書かれた長編物語です。
劇中で則宗さんが『この国に永くあれば一度は耳にする物語だ』と言うように超超有名な作品です。

恥ずかしながら、私は源氏物語を全編読んだことはありませんが、
ざっくりとした内容は昔こちらの本を読んで学びました。

『まろ、ん? 大掴源氏物語』(小泉吉宏)


何度も逢いに来る光源氏を拒み脱ぎ捨てた着物が蝉の抜け殻を連想し名付けられた「空蝉」
普賢菩薩の乗る象のように長く垂れ下がった鼻先が赤く、その赤が末摘花のようだと名付けられた「末摘花」

まあ、酷いネーミングだこと笑。

しかも平安時代、貴族の女性たちの扱いは今とはだいぶ違っていました。
第2幕の冒頭は、紫式部の幼少時代の回想から始まります。
中国の書物の学者であり歌人だった父の影響で紫式部は幼いころからたくさんの書物に触れてきました。
しかし、紫式部の父親は優秀な子だが、男に生まれてこなかったことが口惜しい。なぜ男に生まれてこなかったのか。と言います。
さらに周りの男性たちも、日本書紀を読む女はばかげている、女に学識は必要ない、女のくせに和歌や漢詩を読みこなすなどはしたないと言います。

まあ、今の価値観で考えるとひどい言いようですね笑。

終盤、光源氏と関係も持った女性たちが光源氏に詰め寄ります。

空蝉『これ物語の復讐です。筋書きに縛られて、あなたを愛することしか出来なかった、筆先から生まれた女たちの反乱なのです』

女性たちは手に持っていた小刀を光源氏に向かって振り上げましたが愛した男を簡単に殺すことはできませんでした。
女性たちは泣き崩れ、小刀を降ろします。

あのまま光源氏を刺し殺してると女は怖いですねという感想で終わっちゃいそうでしたもんね。
なんて優しい女性たちなんだ。


光源氏をビンタぐらいしてもよかったのよ笑。


3.物語を語ることは罪か・・・?


小説、漫画、アニメ、ゲーム、ドラマ、舞台・・・。
今ではたくさんの「物語」がこの世界では当たり前に溢れています。
しかし、平安の時代では、物語を語ることは嘘であり罪だったようです。

劇中で、御仏の教えで嘘は禁じられていると言われていました。
嘘をついたものは地獄に堕ちると。

物語は「嘘」。確かに見方を変えればそうかもしれません。
ですが、本当にそうでしょうか?
私には物語の「嘘」はフェイク(偽り)とフィクション(虚構)があると思います。
劇中では「嘘」にまつわる様々な場面に出くわします。

偽りの逸話を付与されたことにより、刀剣男士たちは実際のゲームでは言わないセリフを言い、
(実際に刀剣乱舞をプレイしている自分からするとものすごい変な感覚でした)
また、南泉は猫の呪いで自分が自分でなくなる苦しさを話します。

ここでいう「フェイク」は刀剣男士たちに付けられた偽りの逸話と考えます。
そしてフェイクはいつか崩れ落ちます。
知らずうちに付与された歌仙や大倶利伽羅は自力で本来の逸話を思い出します。

※一文字則宗に関しては、沖田総司に使われたという偽りの逸話(フェイク)では物怪たちに太刀打ちができなかったけど、同時にそれは物語(フィクション)としての側面もあったと思います。どちらにも偏ることができない「嘘」の二面性をあわせもってると感じました。ンンンしんどい;;;


一方フィクションという目線からは劇中で紫式部はこう言います。

紫式部『源氏物語は男ではないことを嘆かれた私に、想像する自由を与えてくれた』

そして12歳で帝に嫁いだ中宮彰子様もこう言いました。

彰子『私には一つの人生しかなかった。ですが物語を読んでいる間だけはもう一つの人生を生きているような気持ちになったのです。
(中略)
物語は私たちに果てなき夢をもたらしてくれるのです』

私も幼い頃から絵本に始まり、漫画アニメゲーム映画ドラマ etc…
たくさんの物語に私の世界は広がり、時には救ってくれたりもしました(なので光源氏(厄介オタクくん)の気持ちもわからなくもないような…😓)

物語のフェイク(偽り)とフィクション(虚構)は必ずしも同じとは言えないのです。



矛盾源氏物語は崩壊し、事態は収束に向かいます。
歌仙は源氏物語を通して、自分が今いる場所は現実ではなく夢なのではと言います。

そこに大倶利伽羅が、
『俺たちの戦いが物語であればどうする』
と聞きます。

歌仙はこう言います。

歌仙『もしそうなら、源氏物語が千年を超えてそうだったように、その物語に心寄せてくれる人たちがいるはずだ。

僕はその思いに報いたいと思う。

女性として生きること、物語(フィクション)を愛するものとして、「禺伝」を通していろいろと考えせられるものがありました。


最後刀剣男士たちは私たち人間にこう言ったように思いました。



「君たちの物語はどうだ?」


4.※ここからは登場人物の感想です。
感情のコントロールがぶっ壊れてます笑


歌仙兼定
これまで刀ステで演じられてた和田さんの歌仙はどっちかというと「雅を愛する性格」が前面に出ていた印象ですが、七海さんは文系だけど力でねじ伏せちゃう☆というキャラクターが際立っていたなと思いました。
そんな文系ゴリラ(言い方)な歌仙さんですが、まぁ、かっこいい、ほんとかっこいい。

終盤、セットが回りながら登場した時はハァーーかっこいい…とため息つきました。

一方で源氏物語を矛盾させるため、空蝉に光源氏を受け入れてほしいと説得するんだけど、『だめだーー!彼女にそんなことさせられないーー』と頭抱える真面目な部分も、光源氏の設定が入れられた大倶利伽羅を一生懸命呼びかけたりと仲間思いな一面もすごく人間くさくてよかった…。

綺伝ではガラシャを、今回禺伝では光源氏を斬る役回りで、なんてこったい、あなたはどうしてしんどいことをやる羽目になるのか…歌仙推しのオタクさん息してる…?

大千秋楽で、歌仙の刀で刺された光源氏が(人ではない木偶が心をつけるとは…)と言うタイミングで七海さんの汗か涙ポタッと落ちたんですよ…すごい心が震えました…。

大倶利伽羅
序盤で小少将の君に襲いかかる物怪から二度も守った時に、少女漫画脳の私は(あらやだ、ここから始まるロマンス💕)と思ったぐらい(実際そんな展開はない)かっこいい。少女漫画に出てくるちょっとぶっきらぼう男子が現実に出てきた(拍手)

大倶利伽羅と歌仙は義伝では歌仙が「東北の田舎刀」と呼んだりと何かとぶつかりがちなんだけど、禺伝では歌仙が勝手に動いちゃう大倶利伽羅に「いつものことだ」とあまり気にしなかったり、単独調査を行かせたり、ベタベタしないけどお互い信頼感がある関係性でニコニコした。

終盤に二人でアルティメット光源氏を斬りかかって行く時に
歌仙『大倶利伽羅ー!』
大『いちいち呼ぶなぁ!』
というやりとりがすごいバディでよかった。

一文字則宗
㊗️刀ステ出演おめでとう🎉ということで推しがついに出ましたよ。いや〜嬉しかった。
私が遅れてハマったため、則宗さんのグッズは少ない、ゲームも特命調査しか手に入らないと何かと渇望していたもので…。
担当される役者さんがどのようなお方が気になってインスタフォローしたり、朗読舞踊劇「阿国」を観劇したりもう予習バッチリ!
あやなさん、インスタの文面がめちゃくちゃ真面目で丁寧でふわふわで可愛らしくてこりゃもう楽しみですなと観劇しました。
結果どうよ、"じじいみ"を完璧に出してくるなんて予想外!聞いてない!え、!?え!?(脳が大混乱)声の迫力が…かっこいぃぁぁぁぁぁぁぁあ!(混乱)
パンフレットでCV.関俊彦さんを聴き込んだって書かれてて、うわ、めちゃくちゃ研究されたんだって感服。
セリフがない時の仕草や扇の使い方がまんま則宗さん。歌仙が空蝉を説得する場面で、歌仙のセリフに合わせて扇をちょこちょこ動かす仕草可愛い。殺陣はうはははと笑いながらバッシュバッシュ斬っていて、ゲームだと戦闘はボイスと立ち絵だけだからもし動いてたらこんな感じなんだろうな〜というのがぴったりで…。
複数観劇した中の1公演、もうオペラグラスでずーーっと自動追尾カメラのごとく則宗さんを追ってました。

推しが現実に出てきた…感動した…ありがとうございます…ありがとうございます…😭

しかもカテコでお辞儀した後ニコッてあやなさん自身が出てきたんですよ!かわいい!!推すしかないじゃん!ファンクラブ入会☆しました!!

山鳥毛
現実世界に山鳥毛を実現させられるお方がいらっしゃったとは、大大感謝🥲
恥ずかしがりやなんだ、とか光源氏と空蝉の夜のあれこれ場面では「どうも無粋だな…」と言ったり、サングラスくいっと上げちゃったり、ああもういちいちかっこいい。
というか元々ビジュアルがどちゃくそ好みなんですよ。
カテコで捌けるとき下手にいたんですけど、サングラスくいっと下げてニコッとこちらに視線向けられた時は、はい好き♡ってなりました。
あと軽率にコートばさっと上げないで。かっこいいから夢女どんどん生産されちゃう🐥
パンフレットで麻央さんがアクション習い始めたと仰ってて、殺陣あまりご経験ない方なのかな〜って思ったら、公演重ねるごとにどんどん進化してて、かっこいい(何回目

麻央さんのインスタライブを拝見したんですがほんと素敵な方で、コメント一つ一つ読んでくださり、渋谷の万屋本舗とシブツタ(禺伝のグッズ販売してる)ハシゴしててとうらぶ愛に溢れてて、(え、私たちと同じサイド(オタク)…?)って嬉しくなっちゃった。
もっと麻央さんのこと知りたくなったので、3月のファンミ行きます(ちょろい)オプチャ入会しました(ちょろい)

あと麻央さん山鳥毛さんと友達なんですって。
いいなーーー自本丸にも山鳥毛さんきてーーー!!

姫鶴一文字
美しい…ほんと美しい…。でもしゃべると気だるげなギャルなのまたいい…。好き。
でも自分たちが実験的擬似本丸で本来の逸話とは違う逸話が付与されてることを歌仙と大倶利伽羅には知らせずにいるところで『なんか(二人を)騙してる感じで嫌だ』と口にしてて、自分たちは実験的な存在だけどちゃんと仲間として大切に思ってるのかなーと思うと、なんて君はいい奴なんだ………。
歌仙は「かーちゃん」南泉は「なんくん」の呼び名もかわいい。
あと殺陣が美しい。リフトされたり、時間遡行軍が組体操の扇のポーズした時「はぁ?何ソレ??」という反応がめちゃめちゃいい👍
セリフがないシーンで則宗さんと何しゃべってるのか永遠に気になる。読唇術があれば…。

なんで姫ちゃん自本丸いないのーーー!!江戸城イベントがんばる🥲
【2/24 姫鶴一文字を無事お迎え🫶】

南泉一文字
にゃんちゃん。可愛い。
殺陣はなりふり構わず斬るイメージといきや猫騙ししたりすばしっこかったり意外とトリッキーな戦法でゲームだと戦闘は(以下略)

観客に合わせて源氏物語ってなんだ?という観客と視点が近くてありがたい。
光源氏にツッコミいれたり、歌仙姫ちゃんにゃんせんトリオ可愛い。

光源氏に成り変わった歌仙を行間から必死に呼ぶ姿にあ、この子めちゃめちゃいい奴だよ…キュン🫰

しゅうさんのnote、文書から素敵なお人柄が全面に感じられてめちゃめちゃ面白いからぜひ読んでほしい…。

光源氏
OPで刀剣男士が光源氏を見上げる構図、夢見てた!!ありがとうございます🙏🙏
光源氏が刀剣男士を従えてる…!?カッコイイ!!
と思ったが今回光源氏は本作の敵。
まあ~~数多くの女性たちと関係を持っては捨て持っては捨て、昔源氏物語を読んでた時はそういう物語だとなんとも思ってなかったのですが、今観ると、なんともすげー男よ笑。

しかも正体は名もなきモブ男。
推し作家である紫式部が地獄に堕ちるを阻止するため源氏物語を現実(歴史)にしてしまおうとする厄介オタクくんの暴走でした。
紫式部はそんなこと頼んでもねーーー!はた迷惑!!
でも瀬戸かずやさんの圧倒的ビジュアルに落ちない人はいないはず。ああかっこいい・・・。


女性たちも美人で気高く一人一人個性豊か。
小少将の君は面白いしいいキャラ、小少将の君がいてくれて紫式部も救われたんだろうな〜。
若紫はかわいいし、個人的に六条の御息所が好きです。気が強くてつよつよな女性に弱い・・・。


5.最後に


公演期間中、個人的に面白いなと思ったことを何点か。


山鳥毛役の麻央侑希さんのインスタライブを見てた時、
『禺伝のル・サンクが欲しい・・!』
『ル・サンクて何ですか・・?』
『ル・サンクとは宝塚が発行している各公演ごとのステージ写真集のことです!』
というコメントを見かけました。

私が行ったライブビューイングでは、一緒に来たであろうお友達に
『刀剣乱舞って何を見ればいい?』
と聞く会話が聞こえたりしました。

また、公演が終わるごとにTwitterで色んな人の感想を追うと、巻物状の垂れ幕に書かれたくずし文字の解説をあげてくれる方がいらっしゃったり(大変勉強になりました)


小少将の君にならえば、
この舞台をきっかけに宝塚/刀剣乱舞/源氏物語/の世界がまさにつながっちゃう💪瞬間を感じで、なんかすごく嬉しくなりました。


今回の舞台をきっかけに、役者さんが出演していた宝塚観てみようかな、刀剣乱舞やってみようかな、源氏物語・源氏供養読んでみようかなとそれぞれがいい方向に広がるといいなと思います。


そして「顕現実験用疑似本丸」のあの美しい刀剣男士たちにまた出会えることを祈って・・・。


一文字のアクリルスタンド
かわいいね….


ありがとうございました😊