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GOING サブマリン 6

ぼくが普段愛用しているポッドは、アルバイト先に置いてある。
上司のリックさんが使っていたものを譲ってもらっていた。
(トム!これから伸び代もある若い君に
僕のポッドを譲りたい)

そう言ってくれたのは入社してから3ヶ月後くらいだった。当時15歳。

倉庫で眠らせておくのが可哀想だと言っていたからだ。

僕はそのポッドを使い、そこでアルバイトを始めた。

はじめてのシート・レバー操作・バランサーチェック・荷の配送
ワクワクが止まらなかった。
学校終われば、ポッドに触りたいが為にアルバイトをしているという方が正しいだろうか。

コバルトブルーの水中に生える赤いポッド!
全長10メートル!
最大速度20ノット、時速にして38キロ!
緊急潜航時間、30秒!

エンジン始動時のタービンの振動がたまらない!

使用には許可がいるが、単装機銃も付いている。
もちろん護身用。

今あるポッドの性能はこんな感じ!

じいちゃんの新型ポッドはこれ以上ないに違いない!
スッゲ〜楽しみ!

この世界、プラネットオーシャンでは人と魚人がお互い共存し合って生きている。

だから、学校に通えば人間・魚人の友達だっている。

けど…残念な事にすべての人と魚人が仲良くできているわけじゃない!

ある時、バイト中に黒い噂を耳にした事がある。

人や魚人が住居を構えて生活する、スクエアの中に
1つだけ、誰も踏み入れた事の無いスクエアが存在し、そこでは今の我々をよく思っていない連中の組織があるとかないとか…

じいちゃんのいた頃のように、小競合い…はたまた戦争みたいな事にはならないで欲しい…
パスカルのような目には誰もあってほしくない。

僕のじいちゃん、ノット・リガード!

彼の発明によって、その黒い噂がただの噂話で終わる事を僕は思っている。

じいちゃんの手紙にあった、この世界を好きになってくれっていう意味!

16歳になっても、このポッドを操作してても
本当の意味で、理解ができていないのかもしれない。

そんな事を考えながら、巡航しはじめて2時間…レッドリヴァイアサンの目撃情報かあった場所に辿りついた。

バランサーOK! タービンも順調そうだ。

用意していた、仕込み済みの魚を後方へセット!
起爆スイッチも動作確認OK!

深呼吸をして…
(よし!スタート!)

タービンの出力を上げ、加速!
数分後、最大加速域!
20ノットになった。

この水域は、目立った流れもなく穏やかで
電磁バクテリアも豊富だった。

巡航自体も、目立った影響は何も無く
順調過ぎるくらいだった。

(確か、この前はこの辺りて目撃されたんだよな?…あまりにも何もないなんて…)

そんな事を思っていると…

ド!カッカッカッっと、鈍い音が徐々に聞こえてきた。

(なんだ!?この音それに…タービン全開なのに
船体が後にもってかれてるような……はっ!まさか!)

そう思った瞬間!思い切りレバーを倒し、左へ大きく旋回した瞬間!
丸い大きな光の玉が横切った。

とてつもなく大きい光の玉…それはレッドリヴァイアサンの大きな目玉であった。

横切っただけなのに…凄い勢いと流れに船体は大きく
揺さぶられてしまう。

周りに障害物でもあったら、コッパ微塵であっただろうと…考えただけで恐ろしい。

運良くこの辺りに生えていた水草群地帯に入り込み
一旦船体ごと身を隠す事ができた。

さてどうするか?
用意していた仕込み魚爆弾の3分の1は
さっきの衝撃でもっていかれてしまっていた。

しかも、どの魚の中に時限式爆弾を取付けたのかすら自分でもわからないようにしてあった。

今ある、仕込み魚の中にあればいいが…

レッドリヴァイアサンがこの水域にずっと居てくれる保証も時間もない…次でたら仕掛けることを
胸に誓うのであった。


第7話へ!潜航

https://note.com/preview/ne69474b552f5?prev_access_key=4f63d4397a79344b15ef76d361036cde


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