ローリンガール

雑に語るVOCALOIDその1 「ローリンガール」

はじめまして。
2011年ごろからだらだらとボカロを聴いていたら6年が経っていて、時間って早えなオイって思います。
はじめましてということで、初めて強烈に刺さって、自分をボカロの世界に引きずり込んだ「ローリンガール」について書こうと思います。
特に今回は初回なのもあるので、自分語りが多めになります。よろしくお願いします。

ローリンガール/wowaka

いやぁ、今聴いてもいい。
やっぱ良い曲は色褪せませんね。
何よりもBPM195で展開されるこの強烈なサウンド。所謂「高速ボカロック」の原型とも言える楽曲ですよね。
ただし、その原型となってしまったことにはwowakaさんの中でも葛藤があったようですが…
(このことについてはカメントツさんの取材記事初音ミク10周年記念のインタビューの中で詳しく語られています)

はてさて、それでは曲の方に入っていきたいと思うんですが…その前に。

まず自分は音楽に対しての知識がとても少ないです。
能動的に聴いた音楽の9割近くがVOCALOID音楽なので、元々の各音楽ジャンルの歴史や、特に作曲者やその代表曲に関しての知識も殆どありません。
「歴史の流れ」だけは掴むようにしていますが、その時々の絶対的な情報に関しては基本持ち合わせていないです。
なので、基本的に曲を聴いた時の、直感的なフィーリングで殴り書きの如く書いていこうと思います。

逃げ道を確保したところで早速やっていきましょう。

さて、当時の私は中学一年生で、この曲にはそれとなしにネットサーフィンをした時に出会ったのでした。当時ピアノは習っていたのですが、それに熱中していたかというと、全くでした。
音楽に対して、それこそ詩に対しても、考えたことなど微塵もないわけです。
しかし、当時の自分にも勿論好きな曲というものはありました。ではその基準は何だったのだろう?
恐らく「メロディ」と「サウンド」だったのではないか、と現在の私は思います。なので、今回はなるべくサウンド重点で、あえて歌詞等には触れずにやっていきます。

楽曲を聴いていきましょう。
この楽曲を雑に表現するならば、「速い」「ピアノ」「高い」の3点。
BPMは195、速いですね。
まるで洪水の様にギター、ドラム、ピアノの音が流れ込んできます。
対してサウンドは短調で、どこか切ない感情を呼び起こします。サビの高音はまるで感情を叫んでいるかの様だ。

ところで、VOCALOID音楽というと「早口である」という風に語られる事が多いように感じます。
リズムの面で言うならば16分音符が多い、といったところでしょうか。ここではこの事を「リズムが密である」、その反対は「リズムが疎である」と言う風に表現するとしましょう。
ローリンガールにおいては、(ボーカルの)サビのリズムが密であるのに対し、AメロBメロのリズムは疎であります。
この「疎」「密」の構造が、この楽曲の織りなすグルーヴを感傷的な物に仕立て上げている、そのキーポイントの1つではないでしょうか。
「疎」なリズムにより生み出されるのはハーモニー。
コーラスとボーカルのハモり、それに対照的な、「密」なインストの組み合わせがとてもどこか哀愁のある、それでいて軽快なサウンドを生み出します。
「密」なリズムにより表現されるのは心の叫び。
16分の並ぶ、その密なリズムからは感情の高ぶりが強烈に伝わってきます。

リズムの観点から見ていきました。サウンドの面からも見ていきましょう。
ローリンガールは楽曲全体を通して短調の楽曲です。
短調というと暗い、物哀しいようなイメージがありますね。勿論、その通りです。
対照的にBPMは前述の通り195であり、とてもアップテンポであります。
楽器も見ていきましょう。
主な楽器はピアノ、ドラム、ベース、ギターです。
代表的なピアノの最初のメロディは、この楽曲を聴いた事があれば誰でも呼び起す事が出来る事でしょう。それほど印象の強い、そしてこの楽曲を象徴するようなメロディです。

ところで先程、「洪水のように」という表現をしました。「洪水のように雪崩れ込むサウンド」です。
そしてそれに関するリズムに関しても説明いたしましたね。それが「疎密の織りなす感情の起伏」です。もう1つ、サウンドに関して重要なポイントがあります。
「共鳴感」です。
この楽曲の齎らす感情性最後のキーポイント、共鳴感。
そしてこれこそが、「VOCALOIDが歌う事」により強烈に増幅されたポイントではないでしょうか。
リズムに関する説明の部分で「ハーモニー」という言葉を用いました。ハーモニーは「和音」を意味する言葉です。
(音声としての)初音ミクは、コンピューターのプログラムにより生成される合成音声です。
そして、入力された通りに、正確に歌いこなします。
中にはこの「あまりにも正確な歌声」を「感情のない」「機械のような」「気持ち悪い」と表現する方もいます。敢えてズラす事で人間らしく聴かせる手法を取る方もいますよね。
ですが、逆にこのローリンガールにおいては、その歌声の正確さが、とても美しい、そしてどこか物哀しい調和を生み出しているように思えるのです。
そしてVOCALOIDの音声についてよく言われるのが「高音が耳に刺さる」という点です。どうしても高音の成分が多くなってしまうことから生じる問題でしょう。ですがそれも、この曲に於いては真逆に作用している。耳に刺さるような高音、それが何よりも、心からの叫びをダイレクトに伝えているようなーそれが非人間的な音声であるにも関わらずーそんな感情を呼び起す。そしてその高音が同時に「残響感」をも発生させている。
調和、高音、残響感。
この「共鳴感」こそが私達に感情を呼び起こさせる最後のキーポイントだと思います。

リズムの疎密、短調と高速調、そしてVOCALOIDによる調和と、それにより発生する共鳴感。
これらが、この楽曲の持つ感情性を構成するポイントではないでしょうか。

そしてそれが、私の心に、あの時グサリと刺さったのではないか。そんな事を今日も思うわけです。

さてはて、ここまで読んでくださった方はお疲れ様でした。
このような文章を書くのは初めてだったのでだいぶ散らかってしまいましたね…
次に何かを書くときは、もう少し纏まって書くのを心がけたいですね。
ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?