「有った方がいい」という言葉が現実を潰す

プロダクトや新規機能を企画したり要件を詰める際に頻繁に出てくる「有った方がいい」という言葉。僕も何度もを要件を詰める時に聞くのですが、この言葉を鵜呑みすることは危ないと、つくづく感じているので言語化したと思います

足し算が現実を潰す

機能開発を行う場合、目的を整理し必要な機能を洗い出していくことが必要であり、そのために色々な判断材料をもとに取捨選択をしていく必要があります。
例えば、実験的な機能をローンチして、市場の反応を見たい場合は、最低限の機能とユーザーに届けられる最低限のUIUXで良いです。
言い換えると本質的に必要なものを突き詰めてそれ以外を捨てるという引き算の行為といえます。対して「有った方がいい」とは足し算の言葉です。

そして、「有った方がいい」という足し算を無限にしていくと、かかる費用や時間も無限に増え続けて無限のbetterに現実が押しつぶされます

よく「要件がまとまらない」という言葉を聞きますが、これは無限の足し算の典型的な例です。機能を足し算しすぎて、真に突き詰めるべき機能や問題の輪郭がぼやけてきており、それを無理くり論理で解決しようとして、さらにこじれていくのだと思います。

終点から始めよう。

なぜ、無限にbetterが増えていくのか?,
原因はシンプルで、必要/不必要の境界や現実の制約を全員が明確に認識できてないからです。

例えば、マイホームを考えてみましょう。
* 通勤時間を減らしたいから駅の近くに住みたい。
* 部屋は少なくていいからコストを抑えたい。
など,自分の目的や幸福への価値観という基準によって選択肢はどんどん削ることができます。

なので、要件をまとめるために、必ず終点からを突き詰めましょう。つまり、先に以下を決定するのです。

1. 最終的に満たすべき解決したい課題は何か?/ 何を試したいのか?
2. 1.のために何が必要なのか?
3.  最低限何があれば1.を満たせるのか?
4. いつまでに必要なのか?

その結果、目的やそのために必要な価値観と基準を関係者全員に共有した状態になるので、個々の要望と終点を比較して客観的に議論ができるようになります。

基準は何度も合意しながら変えよう

終点から逆引きして基準を決めたとしても、守り通すことが全員の幸福になるとは限りません。なぜなら環境は常に変化するので、当初に決めた基準が現在にも転用できるとは限らないからです。

もし、基準から逸脱した要望があれば、一度は耳を傾けるべきです。要望が出てきた背景や温度感を考えて重要だと感じれば基準を変えることも視野に入れて議論すべきです。

最後に

議論が発散して話がまとまらないなど、辛酸や実力不足を痛感した人も多いでしょう。そんな方の一助になれば幸いです。それでは良き要件詰めライフを




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