30歳という数字の重み②

25歳で夢を諦めたその後〜

25歳の時芸人を辞めた。事務所にも入ってないし 劇場でのネタとたまにある営業だけだからプロの芸人とも言えないかもしれない。目指してただけのフリーターと言われたらそうでしたとしかいえない。でも毎日チラシ配りして劇場にお客さん呼んで舞台に立って自分なりには必死だった。毎日映画の中にいるみたいだった。でも辞めた。

ある時から人前にでるのが怖くなった。他の人を見て自分の表現力の低さや度胸、立ち回りの下手さを感じるようになった。ネタを考えても全く浮かばなくなった。それでも毎日くる舞台の出番。今思えば少し休むという選択肢もあったのに。

「ここで休んでたら怖がってたら この先仕事が増えた時どうなる」って思った。心の調子が上がったり下がったりするのは自然なことなのに下がっている時は何もできないような無力感に苛まれた。

逃げたかった。

ある日劇場の出番を飛ばした。朝起きて、なにもする気になれず、入り時間が来ても家から出られなかった。 夕方になって先輩が家に来て いろいろ話をしてくれたけど、もう限界だった。

それからしばらくして辞めることを伝えて残り1カ月の出番はなんとかこなして、2014年の年末に僕は普通の人になることを目指して夢を追いかけることを辞めた。

それからの日々は楽は楽だった。日々ネタを考えることにおわれなくてもいい、常に緊張感を持って会話しなくてもいい、ただなんとなくその時やっていた飲食店のバイトに行く日々だったけど、少しして物足りなさはすごく感じた。普段の会話が全く面白くない。今でこそ感じないけど 芸人の楽屋にずっといてから 一般の人と話すとうまく会話ができなかった。常にどこかオチをつけようとみんなで会話をふったりしていると、1番の目的が笑いにもっていくという共通認識がない人たち(お笑いじゃない人たち)とふつうに話すことは難しかった。何者でもない芸人かぶれがなに言ってると思われるかもしれないが、本当に難しかった。笑いなど求められてない相談話や、世間話が苦痛でしょうがなかった。器用な人はうまくやるし、テレビだとロケや番組でも素人の人と絡んで面白くしなきゃいけないのに、自分にはできなかった。

ひょっとして自分自身が芸人を名乗ってるだけのただの勘違いしたイタイだけの素人なのかと思った。

続く




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