人生の最初の日

キリスト教的に、「自殺は罪だ」と決めつけて、悪いことだと認識させるのは本当にいいなのか。そこまで決意をするのにとてつもない勇気が必要です。彼らを有罪にするのではなく、理解をしてあげることは1番いいことだとPaolo Genovese監督は映画の後のインタビューに話しました。

今回のイタリア映画祭の中で自分にとって1番にお印象に残った映画は「人生の最初の日」です。自殺は重いテーマ、イタリアではタブーで話題に出しにくいテーマです。このテーマをどう向き合うのか。ハッピーエンドな映画ですと日常から離れて、空想の世界になります。日常を振り返る疑問やつかみどころを与えてくれません。けれど、この映画のような「助からない人もいる」、そこで初めてこのタブーであるテーマは映画の世界から日常と交えて考える材料や疑問を与えてくれます。

映画の中の登場人物もそれぞれの事情があります。幸せではない。毎日ハッピーはだれもけっしてなれません。「お互いの事情を受け入れて理解する」のはこの映画の全てのシーンを繋ぐ糸です。

久しぶりのいい作品でした。

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