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2024年2月の東京都青少年健全育成審議会資料を読む

東京都青少年健全育成審議会 会議資料議事録 令和5年度
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/tomin_anzen/about/kaigi/jakunen-shien/kenzensin/0000002166.html#no_753

諮問図書類:自主規制団体からの意見聴取結果
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/tomin_anzen/about/kaigi/jakunen-shien/kenzensin/files/0000002166/02_0207jisyuikencyousyu.pdf

今回は1冊だけなので読むのが楽ですね

前提

この資料は審議会前に出版業界自主規制団体との打合せ会に参加したメンバーの意見です。審議会の委員が指定の参考にするために用意された資料であり、審議会の委員の発言ではありません(委員の発言は議事録にて)

1本目(指定やむなし)

一部画角の工夫はあるが、性器や結合部は薄く見えており、配慮が少し足りない。借金の返済のために性行為をしている部分は人格否定と受け取られ兼ねない。最初はレイプ要素があり段々気持ちよくなる表現は誤った認識を広めかねない。薬物の使用・拘束(暗示ではあるが)でのレイプ場面がみられる。指定該当やむなし。

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1本目でいろいろわかると思いますが、とりあえず性器・結合部の消し、人格否定、薬物・道具の使用が判定のポイントになります。この辺に着目して読んでいくとわかりやすいかも

2本目(指定やむなし)

コミカルに描かれてはいるものの、意識不明の時に発生した借金返済のために肉体関係を強要されているという構成。本人が当初、望んでいない行為から快感を得ていくというストーリーは人格否定という見方も出来るかもしれない。性器の描写も生々しい部分があり指定該当。

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3本目(指定やむなし)

薬物を混入させることで本人の自由を奪い同意なき性行為に及んだり、身体的に拘束したうえで性行為をするなど、ストーリーは全体的に人格否定的要素が多い。局部のアップも多く、性器の描写において修整がない。または著しく不十分。指定該当やむなし。

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4本目(指定やむなし)

人格を否定する性的行為そのもの。暴力団の手口をベースとした内容。指定該当やむなし。

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5本目(指定やむなし)

イケメンヤクザと若いサラリーマンのBLもの。最終的には両想いのカップルとなるものの、物語の終盤まで若いサラリーマンは借金の代償としてセックスをさせられる。その借金もヤクザが経営する店で騙されたような形で背負わされたもの。理不尽な理由で性行為を強いられる展開は、人格否定そのもの。他の読切作品も含め全体的に性器の修整が甘い。総合的に見て指定該当やむなし。

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6本目(指定やむなし)

BL短編集。画力もネーム力もあり、非常に読みやすい作品集。タイトルからの印象通り、強制から始まり、恋愛になっていく。コミカルタッチも含まれているので嫌悪感はうすいが、強制は否めない。性器の消し方は工夫されているが、消しの甘さが青年レベルを超えているので、指定該当やむなし。

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こんな風にたまに漫画としていい評価がされる場合もあり(判定とは関係ない)

7本目(指定非該当)

各話30p前後の中で、直接的な性行為の描写は10p前後で割合としては多くはない。性行為描写以外の部分で登場人物の関係性もしっかり描いており、ただ性的な描写を見せたいための作品ではないと判断できる。しかし性行為の場面では、性器の消しが甘い、擬音が多い、開脚した結合部の描写があるなど問題となる点も多々ある。ドSというキャラ設定もあり、ひどい言葉もあるが、作中での関係性をしっかり描いているのでお互い了解の上でのことであると理解できる。ギリギリだが指定非該当。

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3分の1が直接的性行為なら男性向けの18禁エロ漫画とかガチでそうなんですが……
あと擬音もこの判定では重要な要素になります

8本目(指定非該当)

性描写はやや多いと思われるが、性器はうすく描かれており、ストーリーとしては、恋愛ものの域であり指定該当とまでは言えない。指定非該当

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9本目(指定非該当)

ヤクザにハメられ借金返済のためにご奉仕エッチをするストーリー。120p前後の連載に書き下ろしと読み切り2本。エッチなシーンが多数あるが、卑わいを感じないので指定非該当。

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それ、あなたの感想ですよねw
でも感想でいいのがこの資料の本質なんです。結局主観で決まるんです、こんなの

10本目(指定非該当)

1作目については、本人の意志に反して一方的に性交を強いられる場面もあるが、次第に同意する流れになるよくあるパターン。性交シーンも背後からの描写など配慮は見られる。性器描写はうすくてかえって不明瞭になっている。2作目は所々性器描写にリアルさを感じる場面もあるが、全編大部分とは言い難い。指定非該当。

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分量についても主観が支配する部分ですね。

というわけで、指定該当6、非該当4ということになったわけですが、ここの参加メンバーは審議会の委員ではないので、該当が多数だから指定になるというわけではありません。実際過半数が非該当でも指定になるケースはあります(というか、ここに出てきた時点で100%指定されます)
とはいえある程度の直接的な意見が聞けるという意味では結構面白い資料ではあります。拾う余裕があるときには記事にしますが、そうでなくとも公開されたら読んでみると面白いと思いますよ


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