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0044:『セイギとミライ』全三巻読了

 今日、実家の町のコンビニで、ある集まりでご一緒している司法書士の先生とばったり会った。先生は都市部で事務所を構えながらご自宅は私の実家と同じ町にある。しばし会話を交わしてお別れした。

 先生にはまだ、私が司法書士試験を受けると決めたこと、来年3月に公務員を早期退職することを、お話ししていない。というより、家族と庁内人事系以外の誰にも話していないというのが正しい。来年3月の内示の日までは、秘密だ。

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 最初に司法書士という資格名を知ったのはいつのことだったろう。最初は行政書士との違いもよく分からずにいた。二十年近く前に自宅を建てた際、手続で司法書士・行政書士それぞれにお世話になったが、建築会社が間を取り持ってくれていたのであまり意識をすることもなかった。

 やがて、幾人かの弁護士・司法書士の先生方と数年間共に仕事をする機会に恵まれた。その過程で、法律系では法曹三者(=司法試験)に次ぐ資格であることや、行政書士との業務範囲の違いもなんとなく理解するようになった。私が公務員退職後の生業(家業は生業ではない)として司法書士を目指すことに決めたのも、そういうこれまでのご縁が背景的理由のひとつであることは間違いない。

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 世の中のドラマやマンガに、弁護士は頻繁に出てくる。行政書士も『カバチタレ!』のおかげである意味メジャーになった。一方、司法書士が活躍する物語を、私は寡聞にして知らなかった。

 9月末から司法書士受験講座を始め、観始めた講義動画の中で本書『セイギとミライ 熱血司法書士の事件簿』(漫画:神山丈瑠/法律監修:高橋恭司(ロウタス法律事務所)/株式会社KADOKAWA BRIDGE COMICS)が紹介されていた。へえ、これは読んでみなきゃ。ということでkindle版で全三巻(ひと区切りだけど続く余地はあるみたい)を購入し、読了した。

 物語は、司法書士試験に合格し司法書士事務所に補助者として就職した竹林正義・柳場未来の二人の青年を主人公として紡がれる。三巻までは幾組かのクライアントの案件に対応するのと平行して、主人公たちの家庭背景も描かれている。

 司法書士試験勉強では登記が中心になるが、登記が必要な場面はすなわち権利の変動が生じる場面だ。そこには必ずドラマがある。なるほど、これまであまり司法書士が物語で取り上げられることはなかった(知らないだけ?)が、実は物語の舞台としての広大な沃野がここにあるのだなあ。

 本書全三巻の事件のモチーフは、全て相続にまつわるものだ。そこが一番人間関係が描きやすい、ということなのだろう。しかし土地や法人の登記を巡っても、物語は生まれる筈だ。私がかつて親から相続した田舎の空き地を売り、都市部に自宅用の土地を求めた時にも、また近年になって家業の代表役員を先代から承継した時も、いろいろな私的ドラマがあった。もちろん私的ドラマは必ずしも誰もが面白がれるドラマではない。そこをどのように調理し表現するかに、作家の感性と技量が顕れる。続刊が実現し、相続以外の司法書士のフィールドが描かれることに期待したい。

■本日摂取したオタク成分
『異種族レビュアーズ』第1~4話、ほぼ予備知識なしで観た。唯一Twitterで「よくこれ放送できたなあ」という感想を見かけたことがある。余所事しながら一気に4話まで観た私の感想。「よくこれ放送できたなあ」

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