0278:ファイナルファンタジーのガチャ優良誤認表示認定
(1)今回の違反事案
オンラインゲームる「WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争」を巡って、ガチャの誇大広告があったとして消費者庁の行政処分があった。
消費者庁の報道発表PDF(ヘッダ画像はその冒頭に当たる)をじっくり読もうと思ったが、まさかの97ページにわたる資料(大半は違反事実の整理資料)で、あっさり挫けた。概要はネットニュースで取り上げられているので、基本線はそちらで掴める。
要は「ガチャで提供される筈の組み合わせの大半が提供されていなかった」というものだ。ファミコン時代の初代FF発売時から夢中になってやりこんだ私も、オンラインゲームになって以降のFFには手を出しておらず、この作品もやっていない。ただ、ガチャが特に若年層の消費者問題のひとつになっていることは知っていた。
(2)誇大広告に対する行政規制
誇大広告の行政処分は景品表示法(正式名称「不当景品類及び不当表示防止法」)に基づく。「景品」及び「表示」という、事業者が消費者を誘引するふたつの活動について、公正を確保するために行政規制するものだ。このうち広告等の表示規制は、大きく優良誤認と有利誤認がある。優良誤認とは、実際の商品やサービスよりも著しく良いものであると誤認させるもの。例えば「飲むだけで痩せる!」というダイエット食品の広告や、水素水など根拠が実証されていないのに効果があると謳うような広告は、これに抵触する。有利誤認は、実際より著しく有利であると誤認させるもの、たとえば「一般価格10,000円のところ今だけ4,980円!」と広告しながら実は10,000円で売ったことはなくて元々の販売価格と変わらない場合、アウトだ。
※今回の消費者庁報道発表資料より
今回はガチャの表示から期待できるものと実際のガチャの設定が大きく乖離していたわけで、モロに優良誤認と認定され、本日の行政処分となったわけだ。
(3)事業者の営業の自由、消費者の選択の自由、行政規制のバランス
日本国憲法の前提的な考え方とて、まず国民は自由だ。事業者には広告の仕方を含む営業の自由があり、消費者には自分の利害を自分で判断し選択して契約する自由がある。
けれども、何でも自由な社会は、様々な欺罔や錯誤に満ちた不安定なものとなる。だから自由には「公共の福祉に反しない限り」という留保がつく。公共の福祉を実現するために、国民の自由に一定の制限を課す、それが行政規制の役割だ。
景品表示法によって、優良誤認・有利誤認に当たる誇大広告・虚偽表示は規制される。それは消費者を護ることで消費経済社会の信頼と安定を確保するための、国会が定め行政に与えられた最小限の刃だ。その刃の及ばぬところでは、自らの利益は自ら守る必要がある。
オンラインゲームやガチャは、そもそも消費者の「行動嗜癖」を強烈に喚起する仕組みだ。事業者はビジネスとしてゲームサービスを提供している。莫大な開発費用・広告費用をかけ、それを回収し更に大きな利益をあげるだけの消費行動を、消費者に取らせなければならない。ゲームに長時間はまり、有利にゲームを進めたいと思わせ、ガチャを回す射幸心を煽り、課金させる。少額でも課金してくれるユーザーを少しでも増やしたい、際限なく課金する沼ユーザーを少人数でも生み出したい、そのための様々な仕組みがゲームの演出やシステムの設定に仕掛けられている。
行政は、誇大広告など最小限の規制はする。それを越えた部分は、自由と引き換えの自己責任の世界だ。事業者は消費者の生理・心理を研究し、突いてくる。私たちが自分の自由意志で遊んでいると思っているそのゲームは、事業者の誘導に満ちたものであるのだということを、肝に銘じたい。
■本日摂取したオタク成分
『オーバーロード2』第6~7話、いろいろキャラが格好良いのが本作の魅力。『WWW.WORKING!!』第11話、チョコでここまで引っ張るとは。『東京リベンジャーズ』第12話、まあまたアウトなんだろうなと思ったとおり。初回と違いひなが亡くなる場面に立ち合う分、次への決意は強いな。『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』第9~最終話、ながらで一気に5話視聴。ラストシーンはうまいことやろうとして蛇足感、でも話は面白かった。前~中盤あんまりちゃんと観て無かったけど後半はなかなかヘヴィ、全体としてきちんとしたドラマだったように思う。
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