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0246:スマートレンダリングはライトな動画編集の役に立つ

 私が広義の動画編集に手を染めたのは、十代半ばの頃だ。「広義の」という言葉が示すように、自分が撮影した動画をどうこうするのではなく、録画したテレビ番組のコマーシャルカットなどの編集作業のことだ。

 小学生の頃、好きなテレビ番組はラジカセで録音し、カセットテープで音声だけ聴きながら脳裏に画面を思い浮かべていた。当時は映画館での録音も特に禁止されておらず、宇宙戦艦ヤマトなどを録音して、入れ替え制ではないから続けて最低2回見て、家に戻ると音を聴きながら名場面の数数を思い浮かべるのだ。

 昭和五十年代後半くらいからビデオレコーダーが一般家庭に普及し始め、我が家にも導入された。音だけじゃなくて絵も録れる、夢のような機械だった。しかしティーンエイジャーにはビデオテープも高価なもの、うる星やつらを録り溜めるのに120分テープに3倍録画していたが、途中に挟まれるCMの時間が勿体なかった。やがて2台目のビデオが導入されると、CMカットダビングが必須の作業となる。後にバイトをしてジョグシャトル付きのビデオデッキを購入した時には、その便利さに喜んだものだ。あれから40年経つが、デジタル機器になり便利さは遥かに向上したけれど、やってる事は変わらない。オタクは死ぬまでオタク、ということか。

 自分で動画を撮影するようになるのは、やはり子供が生まれてからだ。だって可愛いじゃないか、永遠のメモリーに残したいじゃないか。MiniDV規格、やはりカセットテープ形式で、編集するにはVHSビデオデッキを介する必要があった。その後、家庭用パソコンの性能が次第に向上し、世の中ではPCでのデジタル編集が普及してきたが、その頃には子供も大きくなり、動画を編集する需要がなくなったことから、しばらく手を出さなかった。たまにネットに転がっている動画をトリミングしたり繋げたり、といった単純なことはする事もあったけれど。

 その状況が大きく変わったのが数年前、家業のYoutubeを始めた事による。まったく事前知識のないところからPremiere Proを使い始め、初歩的な編集は継続的にこなすようになった。ただし、豊富な機能の1%くらいしか使ってないのではないかとは思っている。

 Premiereについては今更説明する必要もあるまい。プロ用ツールとして『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の編集にも使われていることは、Adobeのサイトで解説されている。

 さて。この高機能なPremiereにも、できないことがある。それが「スマートレンダリング」だ。厳密には「できない」というより「仕様として制限している」のだろう。

 ノンリニア動画編集ソフトは、素材となる動画ファイルを加工(オリジナルを変えてしまうという意味で「破壊」)することなく編集作業を行える点が非常に大きなメリットだ。その代わり、編集後の完成動画を動画ファイルとして保存する際、あらためてレンダリングが必要になる。再エンコード、といってもいい。その際に、書き出し設定によっては画質が微妙に落ちたり、ファイルサイズが膨らんだりしてしまう。その辺りの調整がまたいろいろとややこしい。

 スマートレンダリングは、そうした再エンコードを最小限に抑え、元ファイルのデータを可能な限り生かすやり方だ。そのため画質の劣化はないし、サイズが膨らむこともないし、所要時間も非常に少なくて済む。

 最近、ネット環境のないところでも動画を見たり音声を聞いたりできるように、キャプチャをするようになった。ソフトはOBS(Open Broadcaster Software)、GNUライセンスにより無償配布される高機能ソフトだ。

 当初は使い方に戸惑ったが、慣れればキャプチャ自体は簡単にできるようになった。問題は、複数のキャプチャ画像を繋げたり、キャプチャ途中の不要な箇所をトリミングしたりする作業だ。最初は当たり前にPremierewでやってみたのだが、スマートレンダリングはごく一部のファイル形式しか対応しておらず、MP4などの一般的な動画形式では何故か(何故?)対応していない。仕方がないので普通にレンダリングしてみると、画質劣化またはファイルサイズ増のどちらかが免れない状況に陥った。その過程でいろいろ調べて、「スマートレンダリング」の存在を初めて知った。

 スマートレンダリングのできるソフトはいくつかあるようだ。最初に目に入ったのはサイバーリンクのPower Directorだが、これは動画編集ソフトなのでPremiereを使っている私には不要な機能が多いし、1万円を超えてしまう。スマートレンダリング周りの機能だけに絞り、1万円を切る価格というのが私のニーズに合う。フリーソフトも見つけたが、あれこれ見当した結果、TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6 を導入することにした。

 「動画のトリミングをする」「複数のファイルを繋げる」「スマートレンダリングによる無劣化」という三要件の周辺に特化した、まさに私の求めるソフトウェアだ。早速目当てのキャプチャデータの編集に使ってみた。マニュアルを読まなくても直感的に作業できる操作性の良さ。ソフトを立ち上げてからドラッグ&ドロップでファイルを取り込み、トリミングして、データを書き出すところまで、ほぼ迷うことなく使えた。完成したデータは期待どおり「無劣化」かつ「トリミングした分だけファイルサイズダウン」というものになった。

 youtube花盛りの今、Premiereなどの高機能動画編集ソフトを使っている人は少なくない。けれども、TMPGEnc MPEG Smart Rendererでもテロップ挿入や音声ノイズ除去といった、ごく基本的な加工はできる。最小限必要な機能に特化しているからこそ獲得した操作性の良さ、そして安価であることを考えるなら、実は高機能ソフトよりもライトな動画編集ニーズには合うのではないだろうか。もちろん、私のようにPremiereとの併用して用途による使い分けをするのにも向く。

■本日摂取したオタク成分
『ドラゴン桜2』第5話、ようやく放送に追いついた。初回から出ていた彼がついに参戦。『ゾンビランドサガ リベンジ』第8話、『聖女の魔力は万能です』第8話、『ましろのおと』第6話、いずれもBGV的に視聴したので話がよく分かってない(ましろは一応追ってた)

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