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ジェンダー・イデオロギーというカルトはついに崩壊する

若年者への性別適合医療の問題は、ジェンダーイデオロギーの広まっている諸外国ではかなり深刻です。トランス目的での思春期抑制剤の使用、医学の資格のない人間が子どもたちの医療に介入するという問題、活動家団体が学校で「ジェンダーアイデンティティ」について広めること、これらは私たちがいま知っておくべきことでもあります。
こちらは英国のジャーナリストのスザンヌ・ムーアさんが2023年5月30日にテレグラフ紙に寄稿した文です。

スザンヌ・ムーア

昨年「突然」辞任したマーメイドの元最高責任者、スージー・グリーンの姿は、あまりにも長いあいだ見えたり見えなかったりだったので、今こそはっきりと見えるようになることを心から願っています。この女性が、医療関係者でないにもかかわらず、影響を受けやすい子どもたちにこれほど大きな影響力を持つことが許されていたとは、率直に言って憂慮すべきことです。彼女は元ITコンサルタントで、医学的な訓練を受けていません―――2016年のスパークル・ダイバーシティ・チャンピオン・オブ・ザ・イヤーを受賞したという事実を専門的な資格としてカウントするなら話は別ですが。私はもちろんそれをカウントしません。彼女がどれほどの権力を持つようになったかという話は、今でも衝撃的です。
 
彼女が運営していた組織である「マーメイド」は、かつては議論の的になるようなものではありませんでした。彼女が手をつけるまでは、ジェンダー問題を抱える子どもたちやその親たちの支援団体でした。それが、活動家・ロビー団体となり、宝くじ基金や助成金で何十万ポンドも受け取ようになり、教育省に雇われて学校で「ジェンダー・アイデンティティ」に関する研修を提供するようになりました。ストーンウォール(※1)のように、主要な機関に大きな影響力を持ち、そのへんの間抜けなセレブの支援を受けるようになりました。
 
今や、グリーン本人がタヴィストックの若年者用ジェンダークリニック(Gender Identity Development Service、GIDS)の方針に直接的な影響を及ぼしていたことがわかったのです。タヴィストックにはグリーンとの面会記録はないと言われてきましたが、訴訟がおこなわれそうになったとき、奇跡的に300ページもの記録が見つかったのです。
 
そこには、グリーンがタヴィストック・ジェンダークリニック責任者のポリー・カーマイケル博士と直接話をしていたこと、2つの研究で顧問を務めていたこと、そして何よりもスキャンダラスなことに、該当する子どもたちのかかりつけ医が何度も反対していたにもかかわらず、子どもたちにタヴィストック・ジェンダークリニックでの治療を紹介することができたと書かれていたのです。キャス報告書(※2)により、タヴィストック・ジェンダークリニックは、目的にそぐわないとして見事に閉鎖されました。
 
タヴィストック・ジェンダークリニックはてんやわんや状態で、性別不合の悩める若い女性たちという新たな集団に対処していました。そのような少女の数は7年間で5,000パーセントも急増しました。思春期抑制剤を処方するよう紹介されたほぼすべての子どもが次に異性化ホルモン剤(生物学的性別から希望する性別への移行に使用されるホルモン剤)に移行したにもかかわらず、長期間のフォローアップがない、ということにキャス博士は気づきました。
 
思春期抑制剤は、その影響を本当に理解するのに十分な長期的研究がないため議論を呼んでおり、そのためスウェーデンやノルウェーなどいくつかの国では使用を中止しています。国民保健サービス(NHS)のサイトでは、たんに可逆的なものではないとしています。研究結果によると、悩みを抱えたティーンエイジャーがセラピーを受けると、性別の変更を望まなくなり、多くの人が自分が同性愛者であることを受け入れるようになるそうです。思春期抑制剤は、異性化ホルモンや手術につながる医療経路の最初のステップとなる傾向があります。グリーンがよく知っているはずのもう一つの問題は、あまりに早い時期に思春期抑制剤を与えると、生殖器が十分に発達せず、満足のいく「新しい形」を作ることができないということです。このような子供たちは、生殖能力を失い、性的快楽を得る機会も失うかもしれません。
 
自分の息子に起こったことを語るグリーンの恥ずべきTEDトークやYouTube動画があります。彼はバービー・ラプンツェルなど女の子のものを欲しがりました。彼女の夫は、この「女の子らしい」男の子が好きではなかったと彼女は主張します。その後、彼は12歳で思春期抑制剤のためにアメリカへ飛び、14歳でエストロゲンを投与されました。16歳の誕生日には、タイの手術台で7時間かけて、婉曲的に「ジェンダー肯定」手術と呼ばれるものを受けました。
 
グリーンは、この手術について「基本的にペニスの皮膚を使って膣を作ります。彼女は第二次性徴期を十分に迎えていなかったので、あまり細かいことを言うつもりはありませんが、使えるものが少なかったのです」と説明しています。思春期抑制剤はそのように作用するのです。
 
この手術は、イギリスでは16歳に行うことは違法であるため、タイで行われました。タイでも現在は違法です。このよく知られた情報は危険信号以外の何ものでもないでしょう。しかしグリーンには、精神科医や医学者の意見を無視して怪しげな計画を推し進める白紙委任状を与えられていたことが分かっています。その計画とは何でしょうか?それは、トランスチャイルドという儲かる発明です。なぜ儲かるかというと、アメリカでは、時には4歳で診断された13歳の子どもたちに生涯続く医療を提供することで、外科医や製薬会社が何十億ドルも儲かると予想されているからです。
 
グリーンは今、英国にあるトランス医療推進団体GenderGPの、かつて停職処分を受けたヘレン・ウェバーリー博士と仲良くしています。この人物は、英国では認められていない異性化ホルモン剤を16歳未満に販売しています。販売はカウンセリング無しでオンラインで行われています。
 
このようなことは、大人のトランスの権利の問題ではありません。苦悩する子どもたちに極端なジェンダー・イデオロギーを押し付けるということなのです。セーフガードの基本的なモデルはすべて消え失せています。『害を与えてはならない』という医療者の義務の完全な否定であり、その中心には、決して権限を与えられてはならなかった一人の女性がいるのです。
 
スージー・グリーンにとって遂にゲームオーバーとなることを、私は心から願っています。
 


※1 ストーンウォール
イギリスのLGBT団体であるが、近年はトランスジェンダーの権利伸長を中心課題とするようになっていた。「ダイバーシティ・チャンピオン・プログラム」によって、企業や団体等のLGBTへの貢献度の格付けを行っている。この団体が引き起こした問題は以下のウェブページを参照のこと。
https://massage-yuto.com/2023/05/27/controversy-over-stonewall/
 
 イギリスのLGBT団体、ストーンウォール(Stonewall)の問題点
https://what-is-trans.hacca.jp/1364/
 
 ストーンウォールは、政府の政策から「母親」という言葉を削除させた
https://note.com/teteteaa/n/n271f8e1b29c3
 
 BBCとオフコムへのストーンウォールの影響が明らかになりました

※2 キャス報告書(Cass Review)
正式名称は「子どもと若者のためのジェンダーアイデンティティサービスに関する独立報告書」。2020年秋にイングランド国民保健サービスと国民保健サービスインプルーブメントによって委託され、調査・提言を行った。責任者であるヒラリー・キャス博士の名前からキャス報告書と呼ばれている。


原文:https://www.telegraph.co.uk/columnists/2023/05/30/the-cult-of-gender-ideology-finally-crumbling/


訳文担当:YW