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【ショート】私と「応援」について~CHEER UP! HEARTS UP!とバトンタッチ~

 私は努力が苦手です。

 得意ですって人もそんなにいないと思いますけどね。

 何かを頑張ろうとしても、すぐに苦しくなって、もしくはめんどくさくなって止めてしまいます。基本的に「何もしない」をしてたい人なので、自分の時間から空白が無くなってしまうのがとても嫌なのです。

 ただ、それ以上に苦手なものがあります。それは他者の努力を見ることです。どうしてこの人はこんなに苦しい顔をして頑張っているのだろう、どうして諦めたりしないのだろう……と、見てるこっちが辛くなってしまいます。
 そんな私なので、他者に対して応援するですとか、「頑張れ!」と言うなんて、できる気がしません。そう、「頑張れ!」なんて、大嫌いな言葉でした。なんで命令口調なんだよ、頑張ってる人に対する追い打ちみたいじゃないか、そう思えてしまって。

 大嫌いな言葉、でした。

 2022年5月、MTSのLOVERS HEART楽曲として『CHEER UP! HEARTS UP!』が実装されました。メンバーの中に担当の春香がいたので、GWに気合を入れてイベランしたのが懐かしいです。

LOVERS HEARTにおける春香の躍進について|天海春香学会 (note.com)

↑参照。

 この曲を一言で表すなら「応援歌」です。"CHEER"という単語が入る曲のタイトルや衣装「ネバギバ☆ソウル!」等からもそのコンセプトは明らかです。

 ただし、この曲で特筆すべきことがあります。それは、ただ相手に発破をかけているだけではない点です。

 この曲は、そしてコミュは、頑張っている人だけでなく、頑張れていない人や、疲れてしまっている人にも届くような歌詞になっています。だからでしょうか。この曲の歌詞には「頑張れ」というワードは出てきません。

「ありのまま生きる 君はBeautiful」

「輝くキミが好き」

「Everyday Everynight Sing for you」

 といったフレーズから分かる通り、ありのままのあなたを肯定し、これからに向けてのパワーをチャージするという趣旨のコンセプトになっています。
 私はこの曲と出会ったとき、こんな形の応援歌があるんだと驚くと共に、こんなに優しい曲を作れるんだと感動しました。ありのままのあなたを肯定し、ありのままのあなたを「好き」だと伝えるのが応援になるのです。
 実際、なにかと上手くいかなくて疲れてしまい、明るい言葉が響かないな……というときはよくあります。そんなときにCHEER UP! HEARTS UP!を聴くと、マイナスだった心が落ち着きを取り戻してフラットになります。そう、今までの私の中でも応援歌のイメージは「+5を+10にする」にするものでした。しかしこの曲は「-5を0にする」ものです。たぶん私に必要だったのはそういう曲だったのでしょうね。

 そんな出会いもあって私の中で「応援」という言葉の捉え方が変わって、しばらく経った頃。私は、もうひとつの応援歌と出会いました。その曲は、クリティカルに私の嫌いな――嫌いだった言葉を高らかに歌っていました。

「Ah 『頑張れ!』ってきっと 想いをつなぐ言葉」

 そう、ミリアニの最終話で流れていた『バトンタッチ』です。
 バトンを繋ぐように思いを繋いで、公演を作っていく……まさにミリアニのストーリーそのものを体現しているような曲です。未来とエールを交わした紗代子の掛け声、曲が流れた瞬間、一通り見た後に映画館でボロボロに涙を流したこと、まるで昨日の様に覚えています。なんて暖かい曲なのだろう、なんて暖かい歌詞なのだろう!
 まあ、やはり極み付けはこの部分ではないでしょうか。

「Ah 『頑張れ!』ってきっと愛してるって言葉」

 本当に頭に電流が走ったようでした。今までの人生において「頑張れ」と「愛してる」が結びついたことがなかったからです。しかしよくよく考えてみると、当たり前のことなのですね。
 相手に対して応援をするとき、「頑張れ」っていうとき、私にとって相手とはどんな存在なのでしょうか。

 相手は、大切な人ですよね。大切な人だから、大きな舞台に立つのならパフォーマンスをしてほしいと願います。大切な人だから、元気がないときでもありのままの相手を肯定したいと願います。

 ここで私は気づきました。「頑張れ!」という言葉で一番大事なのは、その願いの裏にある気持ちなんですね。「あなたを愛している」、つまり信頼して、心を寄せていて、そんなあなたに贈る言葉だからその字面なんで本当はどうでもよくて。
 それでも届けたい気持ちが「頑張れ!」なのですよね。

 ここで私は『CHEER UP! HEARTS UP!』と『バトンタッチ』の共通点に気づきました。どんな言葉でもいいんです。どんな相手へのどんな経緯のコミュニケーションでもいいんです。
 大事なのは、「愛」でした。すなわち、相手を思いやり、TPOをわきまえていれば、「ありのままのあなたが好き」も「頑張れ!」も相手にとっては嬉しい言葉たりうるのです。

 そんな、2曲を通して「応援」「頑張れ」という概念を好きになった、という短い話でした。
 明日から『バトンタッチ』のイベントが始まりますね。

 『頑張れ!』

 ”あなた”に、このエールを捧げます。

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