2019/08/22

雨。傘も文字も音も街も、あの子も、境界線が溶けていく、わたしはわたしの輪郭を思い知る。コーヒーに浮かぶ氷でさえもわたしに馴染んでいく。目の前で流れる時間を見つめるわたしは、可能性、愛、というものに触れた気がした。ピアノの線で弾いた雨粒が青い星に水を注ぐようすを想像して、わたしは目を閉じる。記憶の端で祈りに近い今だけを辿る。

いつか、光になる前のはなし


#詩