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『黎の軌跡Ⅱ』はいかにして前作からの進化を果たすか【発売1カ月前に期待する5つのポイント】

Posted by: key
2021年に発売された軌跡シリーズ最新作『黎の軌跡』を初めてプレイしてから、もうすぐ1年が経とうとしている。
2022年7月にはPS5版も発売され、まだまだユーザーの熱量も高い。私自身PS5版を含め4周ほど楽しませてもらっているし、気に入ったキャラクターのグッズやサントラなどは極力買って作品を応援するようにしている。
そうすると『黎の軌跡Ⅱ』を期待する気持ちも自然に膨れ上がっていくというもので、それは私だけに限らず軌跡シリーズのコアなファンなら誰しも持っているはずだ。

この記事は『黎の軌跡Ⅱ CRIMSON-SiN-』の発売約1ヵ月前(2022年9月上旬)にまとめた内容なのだが、これまでに様々な情報が公開されてきているので、本稿では私が『黎の軌跡Ⅱ』に期待するポイントを5つの大まかな項目に分けてみた。

ストーリー

1.大人向けのシナリオが成功したその先

前作『黎の軌跡』のシナリオは、大人向けのダークな雰囲気で物語が展開していくのが大きな変化であり特徴だった。残酷な描写や、やや下品な表現が垣間見られたものの、マフィア抗争や共和国における裏解決屋の立ち位置など、表の世界では内情を知ることが難しかった側面を表現しており、SNSではユーザーから概ね良い反応が得られているように感じる。
それは10代の時に軌跡シリーズを経験していた層が成人になり、大人として得た経験があるからこそ今回のシナリオに感情移入出来ている、というのも理由の一つとしてあるだろう。
ロングトレイラーを見る限り『黎の軌跡Ⅱ』でも前作同様、もしくはそれ以上に大人が遊んで没入出来る展開が期待出来るので、軌跡の世界観を保ちつつどこまで緊張感あるストーリーが見られるかが楽しみだ。

2.シリーズにSF的魅力が合わさる可能性

『黎の軌跡Ⅱ』の映像に度々現れる、分岐図を示すような演出。時間が巻き戻るような演出や可能世界についての描写はこれまでの作品でも登場していたが、今作ではより直接的に切り込んでいくように見える。
いよいよ世界の真相に繋がる設定が多数登場するかもしれないのだが、私はそれ以上にSF要素(ここでは時間遡行や世界線分岐)がどのようにしてキャラクター達を巻き込んでいくのかが気になっている。
STEINS;GATEやYU-NO、最近で言えば東京リベンジャーズなど、時間に関わる設定が盛り込まれた作品は緻密な描写で人気を博しているが、もし『黎の軌跡』がその容易ではないハードルにチャレンジするならとても素晴らしいことだと思うし、期待したいと思う。
ロングトレイラーではヴァンとエレインに危機的状況が訪れるシーンが流れるのだが、この時分岐図のような演出が挿入されているので、これが後々重要な展開へと繋がっていく伏線なのは明らかだろう。


戦闘システム

3.アクション戦闘とコマンド戦闘が融合したシステムの更なる洗練

コマンドRPGとしてのゲームメカニクス自体はシリーズ作品に準拠しているが、『黎の軌跡』ではフィールドでのアクション戦闘からシームレスにコマンド戦闘へと切り替えることが可能となった。爽快感は過去作よりかなり向上しているし、コマンド戦闘中にもキャラクターを移動させられるのでより柔軟にアーツやクラフトの使いどころを考えられるようになった。
一方で敵と味方の行動順表示が格納され確認に手間がかかるようになっていたり、フィールド戦闘は通常攻撃と溜め攻撃程度しかなく単調だったりと一部粗削りな部分も確かにあった。
『黎の軌跡Ⅱ』ではこれらの点を見直し、行動順表示が敵と味方で2ライン表示がデフォルトになっていたり、フィールドでアーツが使用可能になっていたりとブラッシュアップ及び改善が図られている。
今回の戦闘システムは快適性という意味ではかなりの進化を感じているので、改良を重ねていけば素晴らしいシステムに発展していく可能性は十分にあると思う。そういう意味でも『黎の軌跡Ⅱ』でどこのポイントに変更が入るかは注目だ。


キャラクター

4.多角的な視点からキャラクターを見せられるチャプター選択方式

創の軌跡でも3人の主人公、3つのルートを分けて物語を見せる手法は取られていたが、個人的には群像劇である軌跡シリーズとの相性はかなり良いと感じている。
前作のように初登場の人物が多数の場合では、キャラクター性の把握が難しくなる為このシステムはそれほど適していない気もするが、続編である今作では裏解決屋以外の視点を多く見せることで各組織の目的や行動理由が分かりやすくなる。
片方のルートが裏解決屋メンバー固定では選択方式の意義が薄まってしまうので、出来ればヴァンにはチャプターごとに様々な組み合わせのグループと行動を共にしてもらい、それぞれの関係性を見てみたい。


5.大人の主人公であるがゆえの関係性が表現されたヴァンと幼馴染エレイン二人の今後

『黎の軌跡』をクリアすると分かるが、主人公ヴァンと彼の幼馴染エレインは今までの軌跡シリーズの男女の恋愛とはまた少し違った関係にある。
疎遠になっていた幼馴染という意味ではThe3rdのケビンとリースを思い浮かべるが、ヴァンとエレインは既に想いを伝えて恋人になっている過去がある為、それよりも更に進んだ関係である。
二人の関係が今後どのように進展していくのか、気になっているユーザーは多いだろう。発売前には明かされていなかった関係でもあった為、その反響も大きかったように思える。
二人共キャラクター単体としての人気もかなりのもので、ファルコムのWebアンケートではヴァンは男性女性票共に2位、エレインは男性票3位、女性票1位を獲得した。

更に今年に入ってからは電撃オンラインでの人気投票も行われた。
おおよそ予想はしていたが、結果として『男性キャラクター部門』『女性キャラクター部門』共にヴァンとエレインが1位を獲得。
更には『好きなシーン』や『好きなコネクトイベント』でも二人のイベントがトップに近い得票となり、カップリング面でも非常に高い人気を集めていることが窺える。

また、エレインについて特筆すべきは多くの女性ユーザーからの支持の強さで、これは閃の軌跡以前ではあまり多く見られなかった傾向に見える。
女性ユーザーから人気が高い女性キャラクターというのは、男性からの人気と比較すると多くはなく、ビジュアルである程度安定した数字が見込める男性人気と比べて、狙って生み出すことは難しい。
従って彼女の人気の一因にはビジュアルだけでなく、そのキャラクター性やヴァンとの関係性によるものが起因していると思われる。
筆者は男性なのであくまでも推測になるが、『黎の軌跡』はヴァンを取り巻く女性との関係性をあくまでメインストーリーで骨太に描いていたのが大きかったのかもしれない。
これによりヴァンから女性キャラクターへの感情/行動が筋が通ったもの(有体に言えば八方美人でない)となり、既にヴァンからの好意が少なからず向いていながら彼の手を取りたい自らを律し、過去の出来事に苦悩する姿を見せるエレインは、多くの女性ユーザーにとって共感を得やすい等身大の大人の女性として上手く表現されている。
誰しも完成された人間より、悩み、足掻く人を応援したくなるもので、そういった点で彼女は強みも弱みも内包したリアルなキャラクターだと筆者は感心した。
主人公と共に前に出て戦う女性、というのも多くの同性から支持された一つの要因かもしれない。
とはいえ、物語上のヒロインであり、ともすると成長型主人公のようにも思えるアニエスも設定上非常に重要な立ち位置におり、今後も『黎の軌跡』の中心人物であり続けると思われるので、そこは二人の方向性の違いと言ったところだろうか。
(そういう意味では『東亰ザナドゥ』のアスカとシオリ二人のヒロインを彷彿とさせる)
アルマータとの戦いを経てお互いに少しずつ歩み寄り始めたヴァンとエレインが『黎の軌跡Ⅱ』でどのように進展していくのか注目したいところだ。
少なくとも、相応の展開が用意されないまま他の女性キャラクターに靡くような流れになれば、正直なところエレインを支持していた女性ユーザーから見てヴァンの魅力はやや薄くなってしまうだろう。
ヴァンが一歩引いた大人でありながら内心で一人の女性一筋であり続ける魅力的な主人公なのか、そうでないかは今後の続編や好感度システムの実装次第である。

総括

『黎の軌跡Ⅱ -CRIMSON SiN-』で期待しているポイントは細かいところを含めればまだまだあるが、まずは前作の正統進化が成されているかどうかを筆者は注目してプレイしたい。既にⅡでは完結しない可能性が示唆されているが、後味の良いエンディングを見られるのであれば急いで完結させる必要もないと感じているので、前作のような素晴らしい締めくくりを楽しみに9/29を迎えようと思う。

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