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8月29日

 夜間に日記を書いて6時頃に就寝し、9時少し前に起きて在宅勤務を開始。21時頃に終わって、適当にお夕飯を食べて、シャワーを浴びて眠る。
 以上である。

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 それでいいのか。お前の人生は。
 いいんだ。別に苦しいわけではないし。
 今日の夕飯は、お米にお味噌汁に、ピーマンとツナ缶を一緒に炒めたものになった。割とピーマンという野菜が好きなので、内なる狂信的な野菜信仰を黙らせるためにちょくちょく食べている。ピーマンはビタミンCが豊富らしいので、とりあえず食べておけば良かろうという感じだ。思えば、小さい頃から青椒肉絲とか好物だったな……。

 他には特に何もなかったので……本当に何もない日だった。

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 先週の土日くらいから、慣らし感覚でSNSのアプリをiPhoneに戻して、閲覧行為を行なっている。約1ヶ月離れていたからと言って別にどうということはないのだけれど、やはり情報の更新が目まぐるしいな、という感覚はある。毎日何かしらの話題が生まれて、それを見たらとやかく言いたくなるという『大喜利』的感覚だ。まあそれが悪いとかそういうわけではなくて、なんだか朝の会社で煙草吹かしながら「朝刊を見たか? 世界はこうなっていてな……」という、旧世代的おっさん行為をみんなやっているなあという印象を受けた。あるいは、トレンドドラマの感想で沸き立つ平成初期のOLみたいなイメージ。情報量が増えて、流行り廃りのサイクルが早まり、全員が一家言を持つコメンテーターになったという部分以外、本質的なところは多分江戸時代とかから変わってないのかもしれない。人間の基本は「共通の話題」の中で抜きん出ようとする性質なのだろう。

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 そんな中、今日もご飯を食べながらTwitterをチラ見していたのだけれど、AI学習で自分の絵柄を取り込んで、自分が描きそうな新規絵を吐き出すサービスが盛り上がっていた。ので、その辺を漫然と眺めていた。
 肯定的な意見はほぼなく、否定的な意見ばかりである。誰だって自分が身に付けてきたアイデンティティをAIに取り込まれるのは嫌だし、様々な問題が発生するだろうという未来への危惧が意見の大半を占めているように思えた。
 実際、どれくらい上手くいくのか、どれくらい上手くいかないのか、というのは使用者のモラルに依るので、今からルールを責めるのも理に適っていない気がする。現状の意見の大半は「銃は危険だからこの世にあるべきではない」という理論みたいなものだ。
 もし、これが「絵を自動学習する」ツールではなく、「音楽を自動学習する」ツールだったら、声を上げる層は違ったことだろうと思う。むしろ、SNS上では肯定/否定が半々くらいになるんじゃないかと予想される。「物語を自動学習する」ツールなら、いっそ肯定の方が増えるんじゃないだろうか。要は、絵を趣味にしている人、絵でお金を稼いでいる人、絵を職業にしている人が多いということだ。だから自分ごととして捉えて、危機感を覚えており、声を上げるのだろう。絵柄はきっと、そういう人たちにとってのアイデンティティであり、誇りなんだろう。

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 あともうひとつ、話題になっているAI学習ソフトに対して心情的にNOを突き付けたくなる理由のひとつに、「精度の低さ」があると思う。どういうことかというと、「なんとなく絵柄に合わせた生成物が出来上がるが、詰めの作業は別途やる」という部分。最終調整というか、基本的に面倒くさい部分が残っているのが、受け入れられない要因だろうと思う。
 音楽界隈、特に個人で音楽制作をしている人にはお馴染みなのだけれど、最近はAIによる自動EQ、自動ミックス、自動マスタリングソフトが「発売」している。で、それがめちゃくちゃ売れている。売れている且つ、人気を博している。
 絵と音楽を同等には扱えないが、何故「自分の絵柄からある程度を作成するAI」が肯定されず、「曲作りの最終詰め段階をAIの力ですっ飛ばす」が肯定されてしかも金を生むのか。これ、曲作りする人からしたら「便利」なツールだけど、考えてみればミックスを生業としている人からしたら「商売上がったり」だと思う。けど否定的な声はあんまり聞かない。要は人口比率の問題でしかない、ということかと思う。
 Instagramやtiktokのフィルターにしてみても、本来「そういう仕事」はあったはずなのだ。現像でお金を稼いでいた人もいるだろうし、編集でお金を稼いでいた人もいるだろう。そういう人たちの仕事を奪ったであろう「AIフィルター」には肯定的で、今回の「自動学習AI」には否定的な層はいるはずだ。で、やはりこれは「やっと当事者になった」に過ぎないということかと思う。無関係の人からしたら、相変わらず「AIって便利だなあ」でしかない。僕自身、絵は嫌いだけど自分の絵柄を見てみたいので、件のサービスは利用してみたい気持ちが強い。

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 既にAIの躍進は始まっていて、ある程度地位まで確立している。それが今更騒ぎになっているので、なんだか面白いなあと思ってTwitterを眺めていた。何十年単位で自動化により仕事を奪われてきた人たちがいる一方で、今回は当事者の人口比率が(Twitterには)多いから、急に大騒ぎになっているように見える。昔から「AIに仕事を奪われる!」と騒いでいたのに、今更感がすごくて、なんだか楽しい。ようやく人間に脅威を感じさせるレベルに到達したということなのだろう。
 多分、「小説をAIに読み込ませて新作を作成するツール」が出来たとしても、今騒いでいる人たちは騒がないと思うし、ゴーストライターの食い扶持がなくなることに言及したりはしないんだろうと思うと、人間は本当に自分のことにしか興味を持てないから面白いな、という感じだ。
 ……なんて書き方をするとまるで一歩引いて対岸の火事を眺めているようだけれど、僕も広い目で見れば当事者であるし、今回の件に色々と思うところはある。が、僕は創作スタイルが「思い付いて仕方ないので世に出す」なので、人気が欲しい、お金が欲しい、スタイルを確立したい、承認欲求を満たしたい、というところに依存しない。そのため、もし自分のアイデンティティを奪うAIが登場しても、なんとも思わないだろう。むしろラッキーと思うかもしれない。
 基本的に、過去に作ったものは二度と作りたくない。であれば、過去からしか学習出来ないAIなど脅威でもなんでもないと思うが、小説と絵は違うってことなのだろう。絵描きの皆さん、大変ですね、という感じである。

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