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とある喫茶店のこだわり 1/3 夏
北海道洞爺湖。温泉街が有名だが、その喫茶店は温泉街から離れた高台にあった。
小さな店内に入ると、そこには大きな窓があり、視界一面に広がる湖に浮かぶ中島と浮見堂が眼下にうかがえた。
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その景観だけでも息を呑むようだが、カウンターに1枚の絵が飾られている。季節ごとに絵を交換するとのことだ。
初めて入る店に勝手がわからず、店主におすすめを聞くと、
「アイスクリームセット」らしい。
四季折々に変わる景色に合わせたアイスクリームと、それに合ったオススメの飲み物を出すとのことだった。
私が初めて、その喫茶店に訪れたのは夏だった。
アイスクリームを食べるにはちょうど良い季節だった。
私が注文し終えると、喫茶店のドアベルが鳴り、エゾシカが入ってきた。
エゾシカは中島から来たらしく、地域のお客様にあたるらしい。
エゾシカもアイスクリームセットを注文していた。エゾシカは絵を見て、これは何の絵かたずねる。
「アルフレッド・シスレー『ガレンヌ村の橋』でございます。この洞爺湖にも遊覧船がございます。
景色と重なる部分を楽しんだり、絵画の余韻などたのしんでいただければ幸いです」
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夏のアイスクリームセットは店主お手製の緑色の焼き物の器に、濃い抹茶のアイスクリームにナッツ類が添えられている。飲み物は緑茶。
「中島の緑を再現したアイスでございます。青々しい緑をご覧になりながらお召し上がりください。
お茶は天竜茶と言いまして、サミットが行われた際、首脳や関係者たちにふるまわれた静岡県浜松市のお茶です」とエゾシカに語る。
エゾシカは満足そうに帰っていた。
私も満足して帰ることにした。
秋にまた新しいアイスと、絵を見にこようと思った。北海道の夏は短いから、次に来るのは早そうだ。
店主は帰りに洞爺湖町では4月末から10月末まで夜に20分程度の花火大会が開かれていることを教えてくれた。
※こちらはフィクションです。登場する店や人物等は実在しません。
洞爺湖周辺の魅力を存分に味わっていただけると幸いです。
お題『緑、アイスクリーム、クレシェンド 三つの素材を使って何かを作る』ハン@世界のお弁当様
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