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とある喫茶店のこだわり 3/3 冬

北海道で1番長い季節。それは冬。空も、地面も、中島も白一色に染まる景色。
いつもの喫茶店の帰り道に温泉街に泊まろうと思っていた。
温泉街近くにわかさいも本舗がある。わかさいもとは、さつまいもはご存知南の文化であるが、南の方でしか食べられない焼き芋を食べさせたいと創業者が焼き芋を模して作ったお菓子。ほの本店が温泉街にあるので、それをお土産に持ち帰ろうともしていた。

そして、いつもの喫茶店へ。

AI アート作成用のプログラム Stable Diffusion 1.5 (または 2.0) がデザインした画家クリムト風のアート

今日の絵は抽象的な絵だった。
AIが描いた絵らしい。私はこういう抽象画はわく分からないと言うと店主は
「そうですねぇ。分からないことをじっくり楽しめばいいと思います。
色使いとか配置とか絵と話し合って、意味を探ってみたらいいんです。
正解、不正解なんてないですし、きっと画家さん同士だってよく分からないかもしれません。
大事なのは時間をかけて、その絵と対話して意味とか価値とか好き嫌いとかを探る過程にあるかもしれませんね」と語った。
そんなもんかなぁと思いながら、アイスクリームセットを頼んだ。
しばらくすると、ドアベルがなり、女性が入ってきた。彼女は湖の女神らしい。
女神様もアイスクリームセットを頼む。神様もアイスクリームを食べるのかと興味がそそられてしまった。
今日のアイスは真っ白な器に、大量のミルクジェラートだった。飲み物はチョコレートドリンク。
真っ白な器は全てが白に染まるこの景色を。
ミルクジェラートをよく見ると純氷が微量にかけられている。雪の煌めきを表現したかったらしい。
チョコレートドリンクにゆずのピールが入れられている。「お風邪を召しませんように」との店主の心遣いだった。
「長い冬をこちらで温まるように過ごしていただきたく、少しでも暖まる時間が長くなればと濃いめのチョコレートドリンク。長い間滞在していただきたい気持ちもありジェラートの方多めになっています。
私や絵と語り合いながらでもいいですし、本でも読みながらでもいいと思います。ごゆっくりおくつろぎください」と話す店主に
「そういえば、春はどんなセットになるんですか?」と聞くと
「すみません。北海道の春は遅くて短いのです。だから、私は春を探すために一旦店を閉めているんですよ」と目を伏せる。

そしたら、夏にまた会いましょう。そう約束して、会えない時間を惜しむように店主と閉店まで話すことにした。
女神様も約束を保証してくれるような笑顔で一緒に話に参加してくれた。

※こちらはフィクションです。登場する店や人物等は実在しません。
洞爺湖周辺の魅力を存分に味わっていただけると幸いです。

お題『緑、アイスクリーム、クレシェンド。3つを使って何かを作る。』

【後書き】
北海道の洞爺湖町に2年ほど住んでいました。
雪道の運転は怖いし、不便な町ですが、
大好きなのは伝わったでしょうか?
3つを使って、洞爺湖町への愛を語りました(о´∀`о)
詰め込みすぎましたね 苦笑

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