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KIKIAU KOTONO ENERUGII #26

         院内学級


娘は院内学級に入学しました。

「学校は行きたくない」そう言っていましたが
渋々と病室から、徒歩1分の教室に
のらりくらりと通っていました。

最初は渋々だったにも関わらず
亡くなる前日、39度の熱があっても
授業を受ける程の気に入り様でした。

養護教諭の先生が、余命幾ばくもない娘に
創作活動を勧めてくださりました。
色とりどりのビーズ、プラスチックで出来た花
昆虫、いろいろな形に切られた木片など
それを組み合わせて木工ボンドで形作っていました。
娘はとても真剣に、そして楽しそうに作っていました。

粘土板に乗る程の小さな世界に
娘は、花が咲き蝶々がいっぱい飛んでいる
そのような美しい世界を創っていました。

養護教諭の先生が私に言いました。
「〇〇ちゃんの心を表現しているのですよ
それが証拠にたくさんの色、材料から
全て自分で選んで作っています」
そう言って、材料を見せて下さいました。

その言葉を信じたい、そうであって欲しい
私はそう思いました。
娘の世界は亡くなる前日、完成しました。

亡くなった数日後
「娘はどこにいるんだろうね、もう天国に着いたかな」
そんなことを夫が言いました。
ハッと思い出した私は、病院から持って帰ってきた荷物から
娘が創った世界を急いで探して夫に見せました。

娘が創った世界は、残された私たち家族に希望を
感じさせてくれました。







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