究極の選択
娘の腫瘍の種類を確定するためには
手術をして、腫瘍そのものを摘出する必要がありました。
癌であることには間違いないため
種類が確定次第、治療を開始する
あるいは、無治療にするかを手術前に決めなくてはなりませんでした。
結果が出てからでも、遅くはないように思いましたが
全身麻酔をして手術をするついでに、治療に必要な点滴の管を埋め込む手術も
してしまおうと言う理由からです。
通常、点滴の管を埋め込むには部分麻酔で十分可能ですが
全身麻酔下で行えるなら、される側もする側も都合がいい
のです。
長年の抗がん剤治療、骨髄移植を受けてきた娘は
見た目には分からないけれど
身体は、かなりのダメージを受けていました。
なので、この先治療出来るかどうか、耐え得る身体かどうかも
考慮する必要がありました。
手術前に受けた検査では
化学療法は可能であるとの判断でした。
腫瘍は局所的で、血液検査、髄液検査では
急性リンパ性白血病の全身への広がりは認められませんでした。
どうする?
どうしたいと思ってる?
今までは、娘に起きた病気で
娘が受ける治療だけれど
一度も、どう思っているかを
娘に尋ねたことはありませんでした。
年齢的に理解するのが難しいと判断し
私が娘に代わって決めて来ました。
もうそろそろ、娘に聞いてみてもいいかも知れない
というのが、今回の私の感覚でした。
私「お顔のたんこぶ、入院して治療しなきゃならないんだって」
娘「痛いの?」
私「うん、痛いこともあるよね」
娘「ママ、一緒にいられるの?」
私「ずっと、一緒にいるよ〜」
娘「うん、わかった!」
私は娘との約束を絶対に守ると、指切りをしました。
娘は腫瘍の摘出と化学療法のための点滴の管を
体に埋め込む手術を受けました。
手術から戻ってきた娘は、未だボーっとしていました。
「終わったからね」そう言って頭を撫でました。
顔に貼られた絆創膏、鎖骨下から出ている点滴の管
私は複雑な心境でした。
私の判断は間違ってはいないだろうか
この治療の先に未来はあるのだろうか
そう思っていながらも
「治療ができるってことは、可能性があるって事だよね」
そう夫に強がって見せたのでした。
治療をするにしても、しないにしても
どちらを考えてみたところで
私は未来の可能性を描く事は出来なかったのでした。
それでも、治療することを選んだのは
過去に無治療を選択したことに
未だに後悔していたからだと思います。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。またの訪問をお待ちしています : )