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鉄の柱

ある日突然近所の裏山の枯池から錆びた金属の太い柱がせりでできた。いつもの散歩コースを歩いていると異質な気配に気付いた。直径は3メートルぐらいで、周りの木よりも断然高い。15メートルはある気がする。表面は黒い錆でボコボコで、血みたいな匂いがあたりを漂う。試しにマグネットを近づけてみたらくっついたので材質は鉄らしい。なんとまあ不思議なことがあるもんだと思って、写真をとっておいた。魔が差して、舐めると身体が喜んでいる感がするので、鉄分を含んでいることをきっと確信した。この頃は鉄の柱を毎日観察するのが習慣になっている。昨日見たよりも、今日見たほうが高くなっている気がする。付箋でマーキングすると実際に日を追うごとに伸びているようで、どこが植物でいうところの成長点なのか根本を掘り出してみたいと思った。この鉄の柱について、すでに地元の新聞社も目をつけているらしい。この鉄の柱で金を稼いだ場合、誰がその金を有する権利があるというのだろう。とりあえずこの土地の所有者か。見つけたのは私だ。うーんなんだか癪に障る癇に障るぞ。少なくともマスコミは、おそらく第1発見者の私をまっさきにインタビューするべきだと思う。

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